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玩具の武装

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 俺の本日の予定は、色々な意味で完全フリーだった。
 だが、ここに来て急転直下、仕事が舞い込んで来た。
「この馬鹿夫婦が! 王女様へのプレゼント…いや、献上品の車に、何をかってにオプション追加してんだ!」
 舞い込んだお仕事は、ユズユズ夫妻への説教。
 王女様への献上品に関する事なんだし、そもそもその献上品はCM料みたいな物なんだから、これは立派なお仕事だ。
「え~~~? だって伯爵様の仕様書って、普通じゃん! ちょっとは面白装備追加しなきゃ、王女様だって飽きちゃうよ~」
 ナニ言い出してんだよ、このミリオタ馬鹿妊婦!
「いや、普通で良いだろうが、ユズカ! ってか、何でユズキは嫁の悪だくみの手助けしてんだよ!」
「え、だって柚香のお願いですから当然では? 伯爵様だって奥様方からのお願いは断らないでしょう?」
 むぐっ! 痛い所を突いて来る。
「いや、それはそうだが、それところは別だろう! 大体、どんな武装のオプションなんだよ!」 
「武装だけど、危なくないよ~?」
 …武装なのに危なくない武装って、意味不明だぞ、ユズカ。
「まあ、そこは僕も確認しましたので、基本的には安全ですね」
「いや、お前らおかしくないか? 武装なのに危険じゃないって、どんな武装だよ…それ?」
 俺が知ってる武装って、ほとんどアニメとか特撮や小説に漫画でしか知識ないけど、どれも危険だったと思うんだが。
「ミサイルとかバルカン砲とか火炎放射器だよ?」
 いや、可愛く小首を傾げても、誤魔化されないぞ。
 そのラインナップの何処が安全なんだ?
「だって、ミサイルはスポンジみたいな棒が8連装だし、バルカン砲で打ち出すのはピンポン玉みたいなものだよ? 火炎放射器っぽく設計してるけど、ただの水鉄砲だし…ちょっと威力は高いかもしれないけど」
 ん? それなら危険は無い?
「生身に当たったらちょっと痛いかもしれないけど、鎧を付けてる騎士とかにあたっても無傷じゃないかなあ? まあ、水の代わりに熱湯入れたら火傷とか危ないけど、すぐ冷めると思うよ」
「な、なるほど…玩具みたいな感じか?」
 そう考えたら、確かに安全に遊べるデッカイ玩具なのかもしれない。
 いくらデッカイ王城とはいえ、車を走り回らせるには狭い。
 そんな中で、王女様が車を飽きずに遊ぶためには、そんな玩具も必要か?
 相手の騎士さんも、納入したバギーに乗れば、結構楽しいかも。
「玩具と言えば玩具ですけど…」
 ユズキ、何を言いたいんだ? 
「ん~~~~っと。本物のミサイルとか弾丸とか放射器用の燃料入れたら、戦闘でも使えますよ?」
「あほかーーーーー!」
 ユズカの爆弾発言に、本日何度目か忘れたが、デッカイ雷を2人に落とした俺であった。
 ずっと沈黙を守ていたナディアと妖精は、俺が激おこなのを目の当たりにして、ちょっとガクブルしていた。

「大丈夫、大丈夫! だって、本物は保管して、王女様に届けるつもりはないから」
「その言い方だと、まるで本物は作って隠してるみたいだな?」
 ユズカの言葉には絶対に何かある気がするのは、俺の気のせいだろうか。
「え、だってユリアちゃんのきつねさん号になら、簡単に付けられるハードポイントまで付けたんですから、準備は必要でしょ?」
 あ、そういえばそうだった…って、
「そんな危ないもん、付けんわーーー!」
 もう、脳の血管切れそう…。  

 とにかく、王女様には危険な武装オプションを渡さない事を条件に、玩具の様なオプションは許可する事にした。 
 ユリアちゃんの車への武装オプションに関しても、ドワーフ親方の方で厳重に保管をし、俺の許可がない限り渡さない…きつねさん号には取り付けない様に言づけた。
 玩具の武装も、まずは完成品を俺がチェックする事とした。
 もしも玩具として秀逸だった場合は、きつねさん号にも付けてあげたいと思う。
 こんな田舎で長期間過ごすんだから、ユリアちゃんだって退屈だろうからな。
 しかも作成は、あの仕事が早くて精工な、物作りこだわりいっぱいのドワーフ親方だ。
 ひょっとしたら、俺が感心するような出来栄えの玩具武装を作るかもしれない。
 そういや、前世で有線リモコンでBB弾を発射出来る戦車の玩具を持てったけど、夢中で遊んでたな。
 空き缶とかを的にして、独りで遊んでた…ボッチってわけじゃないぞ? 
 いや、マジで独りで遊んでたから、周囲からはボッチに見えたかもしれんが…。
 うん、完成した玩具武装が秀逸だったら、もう1セット作ってもらって、ユリアちゃんと対戦しよう。
 ボッチはかわいそうだもんな、ユリアちゃん。
 …前世の俺は、ホントウニ、ボッチジャナカッタヨ?
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