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お買い上げ有難うございます
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「国王陛下に置かれましては、ご機嫌麗しゅう。これが、我がアルテアン商会が今回開発した呪術式加熱調理器具と卓上式呪術式計算機でございます」
謁見間で、部屋の両側に並ぶ多くの貴族達の前で、俺は玉座に向かい跪いていた。
その横には、俺がこの場に持ち込んだ呪術式加熱調理器具と卓上式呪術式計算機。
なんか、めっちゃ綺麗なクロスが敷かれたテーブルに鎮座しているけど、実用品だからね?
これ、宝飾品とかじゃないからね?
「ふむ…なるほど。これがアルテアン伯爵が開発を主導したという呪法具か。確かに通信の呪法具が優れたるは誰もが認めるところであるし、先の戦では御守りといったか…あの呪法具で多くの兵達が助けられたとも聞いておる」
そう言って何段か高い場所に設置れている玉座から立ち上がり、壇上からゆっくりと下足取りで俺の前まで下りてきたのは、我がグーダイド王国の国王陛下、サンデル・ラ・グーダイド国王陛下その人だ。
一般的に謁見の場で、国王陛下が玉座から立ち上がる事までは良く見るが、跪く者の目の前にまで来る事は無い。
国王陛下のそんな姿を見た謁見の間に居た貴族は、皆一様に「おお…」と、どよめき声を上げた。
「して、アルテアン伯爵よ…これはどのように使うのだ?」
ま、俺の義父にあたる人でもあるからか、少し砕けた口調になった陛下だが、駄目ですよ? ここは謁見の間なんですから。
もちょっとの間だけ、真面目な顔で国王を演じてください。
「はっ。これの使い方は、先ほど王宮料理長殿と内政事務官殿に説明をしておりますので…」
そう答えてから振り返ると、玉座に続く毛足の長い紅い絨毯の上を、料理人の象徴とも言える存在である白くボタンが沢山付いたコックコートと、真っ白でちょっと高めのコック帽を被った王宮料理長がちょっとおどおどしながら、きっちりと丈の短いダブルのスーツを着こんだ内政事務官が、しっかりとした足取りで俺のすぐ横まで歩いて来て跪いた。
「この2人に使い方はすでに教授して御座います。もっとも、ごく短い時間で使い方を習得できたのは、2人が優秀である事もさることながら、この呪法具の操作が非常に簡単な事も一因でございますれば、是非陛下にもこの2人と共に使ってみられる事をお勧めいたします」
そう言って、俺はもう一度深く頭を下げるのであった。
その後、王宮料理長が冷めたスープを部下に持ってこさせ、それを呪術式加熱調理器具で温めて陛下に差し出すと、あっという間に加熱されたそのスープに驚愕し、自分にも加熱させろと騒ぎだした。
ま、加熱終了の合図でもある、「チーン!」という音に、陛下だけでなく並み居る貴族も吃驚していたのは、ちょっと笑えた。
次いで、珠算1級を誇るこの俺でも暗算なんて無理っていうぐらいの桁数の計算を内政事務官が卓上式呪術式計算機で行うと、これまた貴族達は「おお?」と、どよめいていたが…お前らも暗算できなかったんだろ?
だから計算が正しいか分からなかったんだよな? うん、分かるぞ。俺にも分からんからな。
一応、最高10桁までの四則演算は出来る様になっているので、間違いはないはずだ。
まぁ、実質消費税はあるこの世界だけど、税率とか結構いい加減だから、パーセント計算はつけてない。
当たり前だけど、グランドトータル(GT)とかルート(√)とか付けてない。
だって、あまりに複雑なんで、再現できなかったんだよ。
そもそも、ルートなんてこの世界の人は知らないし…ユズカだって覚えてなかったし…。
あいつ、よく高校入試を突破できたな…まあ、入学前に転移してきちゃったわけだけど…。
とにかく、王宮料理長と内政事務官が、この呪法具の有用性を強く陛下に訴えていたのと、献上品だけでなく追加で発注する事を陛下に確約させてくれた。
お買い上げ有難うございます。
もちろん、この場に居た貴族連中もそれを見ていたので、とても良い宣伝になったと記しておこう。
ちなみに驚いていた貴族の中に、俺の父さんも居たのには、ちょっと笑った。
さて、結構ばたばたとした謁見を終えた俺と父さんは、場を王族のプライベートスペースである応接間へと移動した。
ここには、元グーダイド王国第四王女であるメリルひきいる嫁ーず一同が、3人の王妃様とお茶を愉しんでいた。
いや、メリルの腹違いの弟もいるな…えっと、名前忘れちゃった。
ちなみにこの場に王妃様は3人居るけど実は陛下の奥方様は過去4人居たそうだ。
うち、最も年若い第四王妃様は、ずっと以前に病で亡くなっているとか。
メリルとの結婚前にそう聞いている。
亡くなった第四王妃様と陛下の間には、子供が出来なかったとか…とても残念な事である。
そもそも、ずっと王妃様は3人だと思ってたよ。
ところで、このお子様は、一体どなた?
※ 第15回ファンタジー小説大賞 に参加させて頂いてます。
もしも気に入って頂けましたら、是非ぽちっとして頂けますよう、
よろしく <(_ _)> お願いします By 大国 鹿児
謁見間で、部屋の両側に並ぶ多くの貴族達の前で、俺は玉座に向かい跪いていた。
その横には、俺がこの場に持ち込んだ呪術式加熱調理器具と卓上式呪術式計算機。
なんか、めっちゃ綺麗なクロスが敷かれたテーブルに鎮座しているけど、実用品だからね?
これ、宝飾品とかじゃないからね?
「ふむ…なるほど。これがアルテアン伯爵が開発を主導したという呪法具か。確かに通信の呪法具が優れたるは誰もが認めるところであるし、先の戦では御守りといったか…あの呪法具で多くの兵達が助けられたとも聞いておる」
そう言って何段か高い場所に設置れている玉座から立ち上がり、壇上からゆっくりと下足取りで俺の前まで下りてきたのは、我がグーダイド王国の国王陛下、サンデル・ラ・グーダイド国王陛下その人だ。
一般的に謁見の場で、国王陛下が玉座から立ち上がる事までは良く見るが、跪く者の目の前にまで来る事は無い。
国王陛下のそんな姿を見た謁見の間に居た貴族は、皆一様に「おお…」と、どよめき声を上げた。
「して、アルテアン伯爵よ…これはどのように使うのだ?」
ま、俺の義父にあたる人でもあるからか、少し砕けた口調になった陛下だが、駄目ですよ? ここは謁見の間なんですから。
もちょっとの間だけ、真面目な顔で国王を演じてください。
「はっ。これの使い方は、先ほど王宮料理長殿と内政事務官殿に説明をしておりますので…」
そう答えてから振り返ると、玉座に続く毛足の長い紅い絨毯の上を、料理人の象徴とも言える存在である白くボタンが沢山付いたコックコートと、真っ白でちょっと高めのコック帽を被った王宮料理長がちょっとおどおどしながら、きっちりと丈の短いダブルのスーツを着こんだ内政事務官が、しっかりとした足取りで俺のすぐ横まで歩いて来て跪いた。
「この2人に使い方はすでに教授して御座います。もっとも、ごく短い時間で使い方を習得できたのは、2人が優秀である事もさることながら、この呪法具の操作が非常に簡単な事も一因でございますれば、是非陛下にもこの2人と共に使ってみられる事をお勧めいたします」
そう言って、俺はもう一度深く頭を下げるのであった。
その後、王宮料理長が冷めたスープを部下に持ってこさせ、それを呪術式加熱調理器具で温めて陛下に差し出すと、あっという間に加熱されたそのスープに驚愕し、自分にも加熱させろと騒ぎだした。
ま、加熱終了の合図でもある、「チーン!」という音に、陛下だけでなく並み居る貴族も吃驚していたのは、ちょっと笑えた。
次いで、珠算1級を誇るこの俺でも暗算なんて無理っていうぐらいの桁数の計算を内政事務官が卓上式呪術式計算機で行うと、これまた貴族達は「おお?」と、どよめいていたが…お前らも暗算できなかったんだろ?
だから計算が正しいか分からなかったんだよな? うん、分かるぞ。俺にも分からんからな。
一応、最高10桁までの四則演算は出来る様になっているので、間違いはないはずだ。
まぁ、実質消費税はあるこの世界だけど、税率とか結構いい加減だから、パーセント計算はつけてない。
当たり前だけど、グランドトータル(GT)とかルート(√)とか付けてない。
だって、あまりに複雑なんで、再現できなかったんだよ。
そもそも、ルートなんてこの世界の人は知らないし…ユズカだって覚えてなかったし…。
あいつ、よく高校入試を突破できたな…まあ、入学前に転移してきちゃったわけだけど…。
とにかく、王宮料理長と内政事務官が、この呪法具の有用性を強く陛下に訴えていたのと、献上品だけでなく追加で発注する事を陛下に確約させてくれた。
お買い上げ有難うございます。
もちろん、この場に居た貴族連中もそれを見ていたので、とても良い宣伝になったと記しておこう。
ちなみに驚いていた貴族の中に、俺の父さんも居たのには、ちょっと笑った。
さて、結構ばたばたとした謁見を終えた俺と父さんは、場を王族のプライベートスペースである応接間へと移動した。
ここには、元グーダイド王国第四王女であるメリルひきいる嫁ーず一同が、3人の王妃様とお茶を愉しんでいた。
いや、メリルの腹違いの弟もいるな…えっと、名前忘れちゃった。
ちなみにこの場に王妃様は3人居るけど実は陛下の奥方様は過去4人居たそうだ。
うち、最も年若い第四王妃様は、ずっと以前に病で亡くなっているとか。
メリルとの結婚前にそう聞いている。
亡くなった第四王妃様と陛下の間には、子供が出来なかったとか…とても残念な事である。
そもそも、ずっと王妃様は3人だと思ってたよ。
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