上 下
644 / 1,457

どうなるのじゃ?

しおりを挟む
 俺の人生は、たまにイベントが発生するが、大した見せ場も無く、ごくごく平坦なストーリーでイベントが終了する。
 これがデフォであり、この平坦さこそが、俺なのだそうだ…何故だ?
 
 ま、まあ…そこは横に置いといて、呆気なくもテスカトリポカ戦は終了した。
 具体的には、地下200kmという、とんでもない場所に送り込み、そこに壊す事が出来ない壁や天井を持つ迷路を創り閉じ込めたんだと言う。
 そこまで落としてしまったら、シールド発生放置では結界に閉じ込める事は出来ない。
 なので…多分、10kmぐらい落下したら、結界は消えていたはずなんで、もしかしてあいつが地面から出てくるのではと心配もしたんだが、
「ああ、あ奴が落ちるのと同時に全長100m程の土の棒を造り出しての、一緒に落としたんじゃ。何と喩えればええんじゃろうか…おお、そうじゃ! 天突き棒でところてんを押し出す様な感じじゃ! その上、奴が落ちれば落ちるほどに棒が伸びて行くんじゃよ。じゃから、途中で両手両足を踏ん張って落下を止めようとしても無駄じゃな。10kmでシールドが消えるじゃと? ならば、シールドとやらが消えたあ奴の頭上には、9km以上の長さの土の棒が乗っかるはずじゃ。壁は磨き抜かれた陶器の様に一切の引っかかりもなく、手足を突っ張るしか落下を止める方法は存在せん。そこに乗っかる9kmの棒じゃぞ? しかもあ奴が落ちれば落ちるほどに棒の長さも重量も増え続けるのじゃから、耐えられるはずもなかろう。そもそもカジマギーがきっちりと地下200kmにその存在を確認しとるでの、二度と陽のあたる場所には出られぬよ」
 という、ボーディさんの説明でした。

 でも、そんな迷路を造って、制約とかルールとか大丈夫なのか?
「別に、入口も出口も地上に造らねばならないなどという制約なんぞ、どこにもありゃせんぞよ?」
 という、迷路型ダンジョン作成に関する制約の穴を、ボーディは見事なまでに突きまくった様だ。 
 確かにそんな地下深くに入口と出口を持つ迷路型のダンジョンなんて、普通は考えない…いや、考えつかない。
 誰も出入りできないダンジョン造ったって、普通はダンジョンマスターに利益なんて、これっぽっちも無いはずだからな。
 まあ、ごく小規模なダンジョンに、初めから閉じ込める予定の者を内包しているダンジョンであれば、収支的には微妙だが大きな損失はなさそうだし、俺の手渡したエネルギーが膨大だったので、協力した方が大幅に収益が見込めたからとの事。
 それなら、誰も損をしていないうえに問題も解決したんだから、ベストでは無かったが、ベターな方法ではあったのかもしれない。
 しかし…地下200kmかぁ…酸素は間違いなくないし、水分なんてあるはずも無いだろう。
 とどめにかなりの高温に曝されるはずだし、重力だってかなり高いはず。
 って事は、自らの魂のエネルギーをすり減らして生命維持を続けて行くはずだから、大量のエネルギーを消費して次元の壁を越えて他の生命体に憑りつくとかいう行為は出来ないだろうなあ。
 真っ暗で超重力下で出口と入口が無限ループしている地下200mの迷路に閉じ込めらるって…想像するだけで、こわっ!
 しかし、何でボーディはメートル法を知ってるんだろう?
 こいつにも、何かおかしな秘密があるんだろうなあ…もう面倒なのは勘弁して欲しいんだけど…あるんだろうな…こいつにまつわる面倒な事が…。

 ま、兎にも角にも、俺達が一番頭を悩ませそうな問題は解決したわけだ。
 実際問題として、あの目玉野郎が本当は何だったのか分からなかったが。
 サラやリリアさんの言う様に、たまたま寄生された人々を取り込んだヒルコが変質して、そこに俺が大量の燃料ぶちまけて燃やした拍子に、どっかからテスカポリトカが次元の壁を越えてやって来て憑りついた…本当かよ? 出来過ぎじゃね?
 あいつに関してはそもそも詳細も分からず、直接対決したわけでもないから分析も出来ず、結局遠目から見ただけ。
 サラもリリアさんも、あれからあいつに関する情報は何一つ言わない所を見ると、何か隠してそうなんだが…。
 ま、無事に終わった事だし、最後の大掃除をしようかな。

「は~い、皆さん注目~! では、あのゾンビだらけの皇都をこの世から消し去りま~す。テスカポリトカを焼いた時の要領で行きますが、ちょっと規模が大きいので、お時間が少々かかります。えっと…」
「マスター、約48時間程かと思われます」
「ありがとう、ナディア。え~丸々約2日間は掛かるそうですので、燃やし始めたら各自自由にして貰って結構です」
 最後の仕上げに関しても、特に大きな山も谷も無い作戦なんだが…。
「のぉ…妾のダンジョンはどうなるのじゃ?」
 燃やし尽くすぞー! と、実際には何もしない家族が意気込んでいると、カジマギーを抱っこしたボーディが俺に近寄って来て不安そうに訊ねて来た。
「ん? あのドラキュラでも眠ってそうな棺桶の事か?」
「どらきゅらが何か知らぬが、妾が眠っていた場所じゃ」
 ドラキュラ知らないの? って、あれって固有名称だっけか。
 確か、吸血鬼なんだから…バンパイアってのが正しいのかな。
 そういや関係ないけど、本当のドラキュラの意味って竜の子だったっけ?
 ドラクルが竜って意味だった様な…吸血鬼とドラキュラを混同しちゃ駄目って事だな、うん。
「お主、何を考えておるのか分からぬが、絶対に妾のダンジョンの事とは別の事を考えておろう!」
 あ、何故かロリダンマスにばれた…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?

初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。 俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。 神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。 希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。 そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。 俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。 予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・ だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・ いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。 神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。 それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。 この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。 なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。 きっと、楽しくなるだろう。 ※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。 ※残酷なシーンが普通に出てきます。 ※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。 ※ステータス画面とLvも出てきません。 ※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

母親に家を追い出されたので、勝手に生きる!!(泣きついて来ても、助けてやらない)

いくみ
ファンタジー
実母に家を追い出された。 全く親父の奴!勝手に消えやがって! 親父が帰ってこなくなったから、実母が再婚したが……。その再婚相手は働きもせずに好き勝手する男だった。 俺は消えた親父から母と頼むと、言われて。 母を守ったつもりだったが……出て行けと言われた……。 なんだこれ!俺よりもその男とできた子供の味方なんだな? なら、出ていくよ! 俺が居なくても食って行けるなら勝手にしろよ! これは、のんびり気ままに冒険をする男の話です。 カクヨム様にて先行掲載中です。 不定期更新です。

処理中です...