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マイペース母さん
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「あとは物資の輸送だけど、それはあんまり気にしてないからなあ」
ユズユズ夫婦が、2人でああでも無いこうでも無いと、すでに製作予定の御守りに関して色々と話し合っているのを横目に、俺はぼんやりと他に後方支援で何が出来るかを考えていた。
敵は15万。もの凄い大軍だ。
対するグーダイド王国・アーテリオス神国の連合軍は、頑張っても7万。
頑張ってという事は、職業軍人や戦闘を生業とする者以外も動員するという事だろうから、7割として5万ぐらいかな?
5万と仮定して、食料は両国であれば1ヶ月分とまではいかないまでも、戦時の間だけならば十分に用意できるだろう。
その他に必要な物資も、そう問題なく準備できると思う。
何せ、我が国の食料自給率は非常に高く、ほぼ100%。
年間を通して大きな寒暖差も無く、主食である麦は最大で3回は収穫できるのだから、備蓄は十分なほどある。
まあ、そのせいで農業を営む人々から麦を安く買い上げたり、重税を掛けたり、果ては国に報告していない隠し畑を作り、脱税に精を出す性根の腐った悪徳貴族も出て来てしまうのだが。
有用金属を非常に多く、しかも長年に渡り算出し続けている金属鉱脈年も国内には複数ある為、武具などは十分な量が用意出来る上に、この世界で最大と言われるほどに成長したダンジョンも素材を産出し続けているのだから、物資の心配など元よりしてはいない。
いや、もしかすると金属鉱脈やダンジョンが狙いなのか?
他国に…隣国であるアーテリオス神国ですら、これらの情報は噂程度にしか入っていないはずだから、俺の考え過ぎだろうか。
それはさておき、最低限の食事や必要物資が確保出来るとなれば、次は輸送手段だが、それこそ心配はしていない。
何たって国内に関しては、父さん名義で設立した蒸気トラックでの運送会社がある。
こいつはアルテアンから王都を経由してアーテリオス神国までのルートをすでに確立しているのだ。
蒸気トラックを大至急増産し、輸送ルートを戦時という事で軍事物資の輸送用に転用したりすれば間に合うだろう。
どうしても足りなければ、ホワイト・オルター号を一時的に使用しても良い。
ついでに蒸気バスでの兵員輸送も行えば、大幅な時間短縮が出来る。
もちろん軍馬は自走してもらわなきゃ駄目だが、それなら軍馬だけ先に出発させればいいだけの事。
これで物資の輸送と時間短縮は出来るはずだ。
支援としては輸送関連か…まあ、これぐらいなら陛下もお金を出してくれるかな? また儲かるなあ~。
あ、そうじゃない。ここは俺が身銭を切ってこの仕事を請け負わなきゃ駄目だ。
御守りだけは原価が出たら陛下に請求するけど…。
ん~あんまグダグダ考えてても、上手く纏まらないなあ。
元々、俺って頭良くないからなあ…何が出来るかわからんけど、とにかく問題が起きた時に考えれるとしますかね。
そんなグチャグチャの頭のまま、嫁達や妹達に視線を向けると、ちゅどーーん! ずがーーん! しゅばばばばばば! と、何やら恐ろしい効果音と、遥か遠くの砂浜に砂煙と共に騎士達が巻きあがるのが見えた。
横ではまだユズユズが悩んでいたが、そっちは…まあ、悩み抜いてもらうとして、騎士さん達が心配だから見に行くべ。
どう考えても嫁達や妹様達に怪我とかあるとは考えづらい。脳筋な父さんも、まあ無事だろうし。
俺が歩きづらい砂浜をボチボチ歩きながら騒動の大元へと近づくと、またもや母さんは優雅にビーチパラソルの下で、ドリンク片手に模擬戦を眺めていた…やっぱ母さん大物だよ。
「母さん、心配じゃないの?」
思わず声を掛けたが、母さんの答えは、
「あらトールちゃん。心配って、誰を?」
…そう言われると、答え難い。
嫁達はもちろん、コルネちゃんもユリアちゃんも、練度の低いあの騎士達では傷1つ付ける事は出来ないだろう。
父さん? 考えるのも馬鹿らしいが、無傷のはずだ。
うん、何の心配もいらんね。
「…騎士達?」
なので俺の答えは、この一択なのだが、疑問形。
「そうねえ…確かにあの子達の方が心配よねえ」
騎士さん、みないい歳なんだけど、母さんにかかると子ども扱いか…
「あれじゃ訓練というより拷問だよ。ってなわけで、ちょっと止めて来る」
戦争に行く前に、心がボッキボキに折られまくって挫折しちゃうからな。
「そうねえ~そろそろお茶の時間だし、休憩にしましょうって言ってくれるかしら?」
うん、マイペース母さん健在。
「了解。んじゃさっさと止めてくるよ」
背中越しに母さんに片手を挙げて応えると、俺は模擬戦の嵐の中へと歩いて行った。
ユズユズ夫婦が、2人でああでも無いこうでも無いと、すでに製作予定の御守りに関して色々と話し合っているのを横目に、俺はぼんやりと他に後方支援で何が出来るかを考えていた。
敵は15万。もの凄い大軍だ。
対するグーダイド王国・アーテリオス神国の連合軍は、頑張っても7万。
頑張ってという事は、職業軍人や戦闘を生業とする者以外も動員するという事だろうから、7割として5万ぐらいかな?
5万と仮定して、食料は両国であれば1ヶ月分とまではいかないまでも、戦時の間だけならば十分に用意できるだろう。
その他に必要な物資も、そう問題なく準備できると思う。
何せ、我が国の食料自給率は非常に高く、ほぼ100%。
年間を通して大きな寒暖差も無く、主食である麦は最大で3回は収穫できるのだから、備蓄は十分なほどある。
まあ、そのせいで農業を営む人々から麦を安く買い上げたり、重税を掛けたり、果ては国に報告していない隠し畑を作り、脱税に精を出す性根の腐った悪徳貴族も出て来てしまうのだが。
有用金属を非常に多く、しかも長年に渡り算出し続けている金属鉱脈年も国内には複数ある為、武具などは十分な量が用意出来る上に、この世界で最大と言われるほどに成長したダンジョンも素材を産出し続けているのだから、物資の心配など元よりしてはいない。
いや、もしかすると金属鉱脈やダンジョンが狙いなのか?
他国に…隣国であるアーテリオス神国ですら、これらの情報は噂程度にしか入っていないはずだから、俺の考え過ぎだろうか。
それはさておき、最低限の食事や必要物資が確保出来るとなれば、次は輸送手段だが、それこそ心配はしていない。
何たって国内に関しては、父さん名義で設立した蒸気トラックでの運送会社がある。
こいつはアルテアンから王都を経由してアーテリオス神国までのルートをすでに確立しているのだ。
蒸気トラックを大至急増産し、輸送ルートを戦時という事で軍事物資の輸送用に転用したりすれば間に合うだろう。
どうしても足りなければ、ホワイト・オルター号を一時的に使用しても良い。
ついでに蒸気バスでの兵員輸送も行えば、大幅な時間短縮が出来る。
もちろん軍馬は自走してもらわなきゃ駄目だが、それなら軍馬だけ先に出発させればいいだけの事。
これで物資の輸送と時間短縮は出来るはずだ。
支援としては輸送関連か…まあ、これぐらいなら陛下もお金を出してくれるかな? また儲かるなあ~。
あ、そうじゃない。ここは俺が身銭を切ってこの仕事を請け負わなきゃ駄目だ。
御守りだけは原価が出たら陛下に請求するけど…。
ん~あんまグダグダ考えてても、上手く纏まらないなあ。
元々、俺って頭良くないからなあ…何が出来るかわからんけど、とにかく問題が起きた時に考えれるとしますかね。
そんなグチャグチャの頭のまま、嫁達や妹達に視線を向けると、ちゅどーーん! ずがーーん! しゅばばばばばば! と、何やら恐ろしい効果音と、遥か遠くの砂浜に砂煙と共に騎士達が巻きあがるのが見えた。
横ではまだユズユズが悩んでいたが、そっちは…まあ、悩み抜いてもらうとして、騎士さん達が心配だから見に行くべ。
どう考えても嫁達や妹様達に怪我とかあるとは考えづらい。脳筋な父さんも、まあ無事だろうし。
俺が歩きづらい砂浜をボチボチ歩きながら騒動の大元へと近づくと、またもや母さんは優雅にビーチパラソルの下で、ドリンク片手に模擬戦を眺めていた…やっぱ母さん大物だよ。
「母さん、心配じゃないの?」
思わず声を掛けたが、母さんの答えは、
「あらトールちゃん。心配って、誰を?」
…そう言われると、答え難い。
嫁達はもちろん、コルネちゃんもユリアちゃんも、練度の低いあの騎士達では傷1つ付ける事は出来ないだろう。
父さん? 考えるのも馬鹿らしいが、無傷のはずだ。
うん、何の心配もいらんね。
「…騎士達?」
なので俺の答えは、この一択なのだが、疑問形。
「そうねえ…確かにあの子達の方が心配よねえ」
騎士さん、みないい歳なんだけど、母さんにかかると子ども扱いか…
「あれじゃ訓練というより拷問だよ。ってなわけで、ちょっと止めて来る」
戦争に行く前に、心がボッキボキに折られまくって挫折しちゃうからな。
「そうねえ~そろそろお茶の時間だし、休憩にしましょうって言ってくれるかしら?」
うん、マイペース母さん健在。
「了解。んじゃさっさと止めてくるよ」
背中越しに母さんに片手を挙げて応えると、俺は模擬戦の嵐の中へと歩いて行った。
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