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余興…余興?

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「侯爵様、素晴らしい乾杯の音頭を有難うございました。さあ、皆さんご着席ください」
 ユズカ、マジで司会上手いな…完全に流れを掌握してる様に見えるぞ。
「では皆さまお待ちかねのお食事とご歓談タイムですが、ここで有志たちによる余興を披露いたしましょう」
 さあ、ゆっくり寛げる…と思ったのもつかの間、ここで余興を挟むのか! 一体、誰が何をするのかは、実は俺達は聞いて無い。
 ここはお愉しみに~っと言われてたので、俺と嫁~ずも愉しみにしてたのだ。約1名だけ、危険な事をしそうな予告をしていたが…

「最初に余興を披露していただくのは、なんと新郎の実の妹様である、コルネリア様だ~! 皆様、拍手でお迎えください!」
 何と! あの可愛い可愛い天使のようなコルネちゃんが、一体どんな余興を披露してくれるというのだ!?
 お兄ちゃん、めっちゃ愉しみ!
 パチパチと拍手の中、父さん達の座ってたテーブルから、コルネちゃんがトテトテと歩いて俺達の前までやって来る。
「お兄ちゃん、あたらしく私のお姉さんになってくれるお嫁さん。今日はおめでとうございましゅ!」
 噛んだ…でも可愛いから許す! 頑張れ、コルネちゃん!
「今日は、ふだんの練習のせいかを見てもらいます!」
 何故かナディアと天鬼族3人娘がでっかい石板を何枚も…えっと5枚? 地面に置いたブロック状の石の上に重ね始めた。
「では、いきま~す! めたもるふぉ~ぜ!」
 げっ! 変身したよ!
『おお!』『あれが神具ですか!』『美しい!』『可愛い!』『踏まれたい…』
 誰だ、最後の変態は! 俺が代わりに踏んでやる!
 場に飛び交う声などまるで聞こえてないかの様に、コルネちゃんは積み重ねられた石板の前まで進む。いや、まさか…
「んんんんんんん……」
 肩幅に足を広げて、少しだけ腰を落とし…コルネちゃんは右拳を握りしめると、振りかぶって…
「てやーーーーーーー!」
 ちょっと気の抜ける掛け声と共に、その右拳を振り落とした…石板に。
 どぐわぁぁ~~~ん! と、とんでもない轟音がしたかと思うと、石板は二つに…ではなく、木っ端微塵に粉砕された。
「ふ~~~」
 コルネちゃんは、銀色に輝く仮面の上から、汗をぬぐう仕草をしているが、コルネちゃん汗なんて出て無いでしょうに。
 やり切った感をめっちゃ出してる。
 この場の人々は思っただろう…この娘、何やってんの!? と。
 ところが、『すご~い!』『お見事!』『格好いい!』『素敵~!』『殴って~!』『蹴って~!』と、大歓声。
 いや、確実に変態が混ざってるぞ! しかも声がおっさんだった! トール君イヤーは地獄耳なのだ!
 どこだ、どこに変態は居やがるんだ! 駆逐せねば!
「はい、素晴らしい余興でした、コルネリア様。どうやら参列者の中に変態さんが混ざってるようですが、コルネリア様に殴られたり蹴られたりしたら、見ての通り確実に天国に召される事なりますよ~。それでなくとも、超シスコンの伯爵様の顔が怖いので、ここから生きて帰れるかどうか分りませんけどね~」
 うむ、ユズカよ良く言った! 俺が変態は駆逐する!
「超シスコンも変態に入るかもしれませんけど、本日はめでたい席なので、見逃してあげましょう」
 途端に沸き起こる大爆笑。俺、笑いのネタにされたの? シスコンは変態じゃないよね? ね?
 左右に並ぶ嫁~ずに同意を求めてみたが…誰も視線を合わせてくれませんでした…悲しい…。

「さてさて、次の余興です。トールヴァルド邸の使用人としては、最も新人であるリリアによる曲技です。さあ、どうぞ~!」
 次がリリアさんか…いや、本当の変態ってのはコイツの事なんだからな? 俺よりも変態なんだからな? 信じてよ…
 リリアさん、普段のメイド服で俺達の前までやって来た。
 サラがテーブルを持って来て、ワインの瓶をその上にに並べ始めた…何が始まるんだ? テーブルクロス引きとかかな?
「ではリリアさん、準備が出来ましたら、お願いいたします」
 サラのトークに、小さく頷くと、おもむろにスカートをたくし上げた。
 え、ナニしてんだ、コイツ!? 来賓の男性陣の視線が一点に集まる。
 もちろん、パートナーを同行している方がほとんどなので、そのパートナーである女性から男性へと冷たい氷柱の視線がグサグサと突き刺さったのは言うまでもない。
 太ももが見えるかどうかという…純白のストッキングと肌色のあの禁断の絶対領域が見えるかどうかというギリギリまでたくし上げられたスカートの中から出てきた物は、ある意味リリアさんらしいというか…何というか…鞭だった。
 SM用のじゃないぞ? 乗馬用のでも無いからな? あのインディ・ジョ〇ンズが持ってた様なカウボーイが牛を追い立てるのに使ってた、ブルウィップっていう革製の奴だ!
 ちょっとおまいさん…何をする気なんだい? いや、想像は付くけど…  
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