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使わねーよ!

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 色々と衝撃的な内容の話が連続するんだが、リリアさんの真の姿がポンコツであるという事は理解出来た。
 もしかして、管理局の局員って、エロ方面に特化した奴ばっかりなんじゃねーのか? ものすごく怪しい機関に思えてしまう…。
 
 何の話してたっけ? そうだ、思い出した! UFOだよ! 
 前世で大好きだったUFO特番の事件の数々は、実は管理局の仕業だったって話だったな。 

 実は俺…UFO見た事あるんだよね。
 あれは小学校の夏休み…何年だったかは忘れたけど、田舎へ向かう電車での事だった。
 誰が最初に気付いたのかは定かではないが、車窓から見える遠くの山の上に、何やら変な物体が浮かんでいたのだ。
 それは奇妙な光を放っていた。そう、まるで当時当たり前の様にあった、派手派手なパチンコ屋のネオンの様に、色取り取りに光り、それが空に浮かぶ物体の下部から上部へと移動していた。
 問題はその物体の形と大きさだ。完全な球体であり、近くの山と比較しても、非常に大きい事が分かる。
「あれは何だ?」
 車内の誰かが呟いた。そう電車の中なのに、その呟きがはっきりと聞こえる程、誰もが声を押し殺し息を飲みそれを見つめていた。
 誰もが、そう車内の誰もがそれを見ていたんだ。
 それは浮かびつつ回転している様だった。
 当時、良く空を飛んでいた飛行船とは明らかに違う。もちろん大きさ的に考えて、気球なんかである訳が無い。
 しかも車窓からずっと同じ位置を飛んでいた。つまり、電車と同じ速度で並走していたのだ。
 あまりにも非常識なその浮遊する物体に、誰かがこう叫んだ。
「UFOだ!」
 その一言で、車内に音が戻った。
 夏休みという事も有り、旅行などで乗車していた人も多かったんだろう。
 多くの人々がカメラを取り出して、シャッターを切った。そのバシャバシャというシャッター音が、一瞬車内を覆った。
 カメラを取り出した父さんも俺を押し退けて、シャッターを切った。
 誰もがUFOに遭遇した事に興奮していた。
 そして、唐突にUFOは消えた。
 何の前触れも無く、唐突に、実に静かに空から消えたのだ。
 あれは、何十年経った今でも忘れる事の出来ない夏の想い出だ。
 ちなみに写真はピンボケではあるが、確かに空に浮かぶ不思議な物体を捉えていた。父さんは、会社でその写真を自慢げに披露してまわったそうだが…俺も焼き増ししてもらい、学校で自慢したな、うん。

「え~、またまたファンタジーな回想をされているようですが、私のエロい話の何処に妄想に到るポイントがあったのでしょう? ムッツリニストですか? 現実逃避ですか? 理解できません。エロは赤裸々なのが一番快感なのですよ?」
 はっ! 思わず懐かしい思い出に浸ってしまった! って言うか…
「あんたは、明け透けすぎるんだよ! それにエロい妄想じゃねーし! ムッツリニストって何だよ!」
「まあ、それは良いとして、もうそろそろ話を続けさせてもらっても宜しいでしょうか?」
 え~何の話だったっけ…もう横道に逸れすぎて…
「あ、ああ。どうぞどうぞ」
「では、もう一度サラへの施術に関してですが…よいしょっと!」
 あ、そう言えばそんな話でしたね。マジで閑話が長すぎて忘れてたよ…。
 唐突にリリアさんが、虚空から引っ張り出したのは、素っ裸のサラだった。
 あんた、一体何してんの!?
「これが現地活動用のサイバネティックス・ボディの素体です。現在、電源はOFFになっておりますし、精神体をインストールした超小型ポジトロン電子頭脳も移植していないため、オリエ〇ト工業のラブドールとかわりません」
 おま、何を言い出すんだ! 良い子…じゃなかった、大人の高級な玩具と一緒にしてやるなよ! ってか、固有名詞を出すな!
「……ちょっと確認したいんだけど…」
「こんな、何の反応も示さないボディーを抱いた所で、何の愉しさもありません。そもそもツルペタですが…あ、もしかして興味がおありです? ロリですか? ご使用になられますか? 今でしたら新品ですよ、色々と。」
 何を言いだすんだ、このポンコツは! 婚約者~ずが聞きつけたら、俺の命が危ういわ! 
「絶対に使わんわ! そうじゃ無くて、そのボディーって人造なんだよな?」
「ええ、そうですよ。だから、思う存分に猛るナニでナニしても、私は一向に構いませんが?」
 うがーー! 話が進まん!
「使わねーよ! 何があろうともな! そうじゃなくて、人造ならそのデザインって変えられないのか?」
「ああ、そういう事ですか! ツルペタは好みではないと! そうですね、確かにオ〇エント工業のラブドールにも色々なボディータイプがラインナップされてましたね。ボンキュッボン! がお好みですか?」
「違う! そうじゃない! そこから離れろ!」
 何でこいつ、こんなにその方面に詳しいんだよ!
「そうじゃない? はて…では一体?」
「サラは、好みのボディータイプになる事も出来るのかって事だよ! 何で全く同じボディーなんだ? 人の世界では、みんな少なからず成長するもんだ。だがサラは出会った時から、ずっと同じ見た目なんだよ! 人の世界では違和感バリバリだ!」
 
 そう、サラは出会った時から全く姿形が変わってないのだ。髪の毛の長さすら一緒。
 うちの妖精達も一見して何も変わらない様に見えて、実は微妙に成長している(本人弁)らしいのに、サラは全く一緒。
 ネスの遣いっていう設定だから、まあそれでも良いんだが…

「確かに仰ることは理解できますが、変える事が出来ないのです」
「物理的に?」
「ええ、物理的に」

 サラの、『成長したらナイスバディーになるんです!』という淡い夢は、どうやら物理という巨大な壁に阻まれている様だった。
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