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食糧事情

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 なるほど、とにかく燃料は有ると…ちょっと意味不明な物が燃料なのは別にして…

「それで、食料はどうされてるんですか?」
 やっぱり、これが一番重要だろう。何たって、人は食わなきゃ生きて行けない。
 仙人なら霞でも食ってればいいんだろうけど、俺達同様この洞窟に住んでいるのは人なんだから。
「ここでは、主にモヤシンとエノキンを栽培してます。あとは、マッチュルンとウドチャンですかねえ…」
 …ネーミングにそこはかとなく、誰かの悪意を感じずにはいられないぞ? 答えて下さった奥様には申し訳ないが…
「え~、それはどんな植物なんですか?」
 実物を見てみない事には、何とも言えないが。
「では、栽培場を見てみますか?」
 その御誘いに、俺はしっかりと頷いた。

 案内されたのは、洞窟の一角に造られた石造りの部屋。
 まずはモヤシン栽培場との事だが…これは、まんま萌やしだが…巨大だな!  萌やし1本が大根より太いぞ!
 元の豆類が何なのか、さっぱりわからん。
 ってか、そもそも豆類の輸入でもしてなければ、萌やしも栽培できんだろう。どうやって手に入れてるんだ?
「この種ですか? これはオアシスに生えているモヤという樹の種です。乾燥地帯なので、地上では発芽しないんですよ」
 ほう! 盆地にあったオアシスに生えてる、あの結構な大きさの樹から…って樹!? そっから豆が採れるのか! 
 もしや、ジャ〇クと豆の樹みたいに、普通の豆の樹がでっかく育った物なんだろうか。
 だから豆から育った萌やしもデカいとか? うん、聞いた事も見た事も無い植物だ。
「モヤの樹の種は、こんなに小さいのですが、発芽させるとここまで育ちます。私達にとって重要な植物です。味はしませんが」
 詳しく聞くと、ほぼ無味無臭なのだそうだ。これをみじん切りにし、蒸して主食としているとか。
 ところ変われば食も変わる物なんだな。

 お次は、エノキン。
 こっちは普通にエノキ茸だった。スープに入れると美味しいとか。簡単に想像できて良かったよ。
 ただ、サイズがでかい! エノキの1本1本が、長ネギサイズだ。

 マッチュルンは、マッチュという菌糸類の子実体。普通にキノコだったよ。
 ただ、未成熟な物は卵にしか見えない真っ白な外被膜で覆われているらしく、そこからチュルンっと中のキノコが飛び出して来るらしくて、それが名前の由来とか。
 うん、普通に地球でいう所のタマゴダケだな。
 こいつもデカい。子供の頃に見たワイバーンの卵ぐらいの大きさはある状態から、雨傘ぐらいはあるキノコが飛び出してる。
 見た目は毒々しい紅い色だが、辛くて美味しいとか。ちょっと収穫量が少なく、賞味期限が短いのが難点との事。

 さいごが…一番ネーミングセンスが微妙な、ウドチャン。
 うん、これは間違いなくウド。だけど、やっぱりサイズがおかしいくて、ウドの大木になってる。
 そもそも生え方が変…巨大でカラフルなカタツムリの殻に生えてる。
 いや、マジで変だぞ? だって、カタツムリの殻の直径は3mほどもある。そこから高さ1mほどのウドが何本も伸びてる。
 あのカタツムリって、あんなの生やしてて重くないのか? めっちゃ動き辛そうなんだが…
 ところで、どこを食うの?
「あ、この植物も食用にもなりますが、主に茎周りの皮を剥いで乾燥させたものが、色々な薬の材料になります」
 とにかく体調不良の時、このウドの皮を煎じて飲めば、大体治ってしまうという、万能薬の材料でした。
 あのカタツムリは、何食ってんだろう? 
「ああ、チャンですか? あれは光るコケの枯れたのを食べてます」
 衝撃の事実! チャンってカタツムリの名前だった!
 なるほど、それでウドチャンって名前なのか。

 チャンは結構繁殖力が強くて、毎年数百の卵を産むとか。1年で直径3mぐらいまで大きくなり、産卵をして死ぬとか。
 死んだチャンは、皆の貴重な動物性たんぱく源として食されるとか。
 食べるのかあ…あのでっかいのを…。エスカルゴなら食べたことあるけど、サイズがなあ…

 塩についても聞いてみたが、元は海底だけあって、岩塩が下層で採れるらしい。
 
 なるほどなあ。これで大凡の食料事情は理解した。 
 でも、この地下で食事を出されても、ちょっと食欲湧かないかもなあ…
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