上 下
169 / 1,457

そりゃ殴られるって…

しおりを挟む
 バタバタと慌ただしい空の旅を終えた我がアルテアン家一同は、やっとこさ自宅までたどり着いた。

 両親とコルネちゃん、ナディアと妖精さん達を、実家で降ろして一服したら、今度は俺の家に向かって飛びます。
 もういい加減になれてきたのか、領民たちも大騒ぎするわけでも無く、ただ手を振ってくれていた。
 うん、我が領の民は、色々と順応力と言うか適応力と言うか、高い気がするんだ…という話を、メリル達にしたら、
「このアルテアン領では、色々な奇跡や世界初の物が溢れていますからね。そもそも女神様の御膝元ですし、皆さんも変わった事があるのも慣れっこなのではないでしょうか」
 メリルにそう言われた。
「私は、子供の頃からトールさまが突拍子も無い事をやらかして来たのをずっと見てましたし、この伯爵領に古くから居る人達も見て来てますから、もう誰も気にしませんよ」
 ミルシェには、何か酷い事を言われた気がするんだけど…騒ぎが起きなければいいか~、そっかあ~俺が突拍子も無い事をするのは、もう当たり前になってんのかあ…
「だ…大丈夫です! トールさまは、とてもお優しい方だというのは、みんな知ってますから!」
 うん、ありがとうミレーラ。慰めてくれて嬉しいよ。ちょっと方向性が違うけど。
『奇妙奇天烈かつ奇想天外で破天荒なヲタクが大河さんの持ち味ですから!』
 なあ、それって褒めてないよな? むしろ貶めてるよな? 
 そこんとこどう考えてるの、サラ!

 そんなお喋りしてる間に、ダンジョンが鎮座する山脈を越えて、我がトールヴァルド地区に戻って来ました。
 何故かダンジョン中層の窓から、モフリーナや魔物が旗を振っていたが…見なかった事にしようと思う。

 家の裏庭に着陸して、全員が降りたのを確認したら、ホワイト・オルター号は自動操縦にて湖の中へと移動してもらいます。
 次の出番まで湖底で待機しててね。

 うん、久々の我が家はいいなあ~! めっちゃ落ち着く!
「お帰りなさいませ、トールヴァルド様」
「ただいま、マチルダさん。長い間留守を任せて申し訳ない」
 見るからにやつれたマチルダさんが、玄関で出迎えてくれた。
 髪の毛はボサボサで、目の下にクマが出来てるけど…大丈夫? 
「子爵様がお戻りになるのを、首をなが~~~~~~~くして、お待ちしておりました。子爵様、早速ではありますが執務室の方へ。文字通りお仕事が溜まっておりますので。あ、そうそうサラ。あなたにも山の様に仕事がありますので、覚悟してください」
 俺とサラの顔から血の気がひいて真っ青になったのは、仕方が無い事だと思う。
 ヤダヤダとジタバタ暴れて駄々をこねるサラは、抵抗虚しくドワーフメイド衆に引きずられ屋敷の奥の闇の中へと消えて行った。
 俺は抵抗は無駄だと知っているので、おとなしく超不機嫌なマチルダさんの後につて、トボトボと執務室に向かいました。
 この後、もう右手の握力が無くなってしまったにもかかわらず、無理やりペンを括り付けられて、書類の山が無くなるまで滅茶苦茶サインさせられました。
 マチルダさんには、普段から色々と迷惑を掛けてるし、頑張って仕事したいけど…戻ったばっかりだよ? あんまりだ。

 夕食も食べずに頑張ったおかげで、日付が変わる前には何とかベットに潜りこむ事が出来た。
 腹減ったけど、食う気力が無い…ただひたすら眠い…おやすみ… 

 翌日、目が覚めたのはもう昼前だった。
 旅の疲れってよりも、昨日のマチルダさんの強烈な熱量に圧されて熟した仕事の疲れのせいな気がするけど。

 さて、気分直しにユズキとユズカの装備でも渡そうかな。
 出発前に話した内容とは大分違うけど、実はこっそり旅の間に創っておいたんだよ。なんせ都合が良いのか悪いのか、サラがくっ付いて来てたから…旅に…

 2人の新装備に立ちはだかる問題とは…!? 
 おや、匠が変わったカードを手に持って裏庭に現れました。一体何をするのでしょう? 仲良し2人組が数日振りに我が家へと帰ってきましたが、はたして匠からのプレゼントを、2人は喜んでくれるでしょうか?
 な~んて脳内ビフォー・〇フター風ナレーションで遊びながら、裏庭(とは言っても、日当たり良好! あだち先生じゃないけど…)で洗濯物を干すユズカと、それを手伝うユズキの元へとやって参りました。

 うん、ユズキよ…それは我が婚約者~ずの、おぱんてぃである。
 握りしめて真っ赤になっているのは、俺も男として分かるのだが、ユズカが般若すら裸足で逃げ出しそうな顔で睨んでるから、さっさと籠に戻した方が良いと思うぞ…
「さっさと放せ! このド変態がー!」 
 ユズキの懐へ瞬時に潜りこんで、スタンスを広めにとりつつ腰を落とし、見事な足から腰への回転運動で絶妙に体重を拳に乗せた、破壊力抜群のユズカの右ボディフックが、ユズキのリバーへ突き刺さった! お見事…

「お~い、2人共! 装備をネス様から貰えたから、持ってきたぞ~!」
 ユズカは良い笑顔で「やったー!」と飛んで来た。
 だがユズキは…取りあえずそこの地面に作ったもんじゃ焼きを片付けてね…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

異世界へ全てを持っていく少年- 快適なモンスターハントのはずが、いつの間にか勇者に取り込まれそうな感じです。この先どうなるの?

初老の妄想
ファンタジー
17歳で死んだ俺は、神と名乗るものから「なんでも願いを一つかなえてやる」そして「望む世界に行かせてやる」と言われた。 俺の願いはシンプルだった『現世の全てを入れたストレージをくれ』、タダそれだけだ。 神は喜んで(?)俺の願いをかなえてくれた。 希望した世界は魔法があるモンスターだらけの異世界だ。 そう、俺の夢は銃でモンスターを狩ることだったから。 俺の旅は始まったところだが、この異世界には希望通り魔法とモンスターが溢れていた。 予定通り、バンバン撃ちまくっている・・・ だが、俺の希望とは違って勇者もいるらしい、それに魔竜というやつも・・・ いつの間にか、おれは魔竜退治と言うものに取り込まれているようだ。 神にそんな事を頼んだ覚えは無いが、勇者は要らないと言っていなかった俺のミスだろう。 それでも、一緒に居るちっこい美少女や、美人エルフとの旅は楽しくなって来ていた。 この先も何が起こるかはわからないのだが、楽しくやれそうな気もしている。 なんと言っても、おれはこの世の全てを持って来たのだからな。 きっと、楽しくなるだろう。 ※異世界で物語が展開します。現世の常識は適用されません。 ※残酷なシーンが普通に出てきます。 ※魔法はありますが、主人公以外にスキル(?)は出てきません。 ※ステータス画面とLvも出てきません。 ※現代兵器なども妄想で書いていますのでスペックは想像です。

死んだのに異世界に転生しました!

drop
ファンタジー
友人が車に引かれそうになったところを助けて引かれ死んでしまった夜乃 凪(よるの なぎ)。死ぬはずの夜乃は神様により別の世界に転生することになった。 この物語は異世界テンプレ要素が多いです。 主人公最強&チートですね 主人公のキャラ崩壊具合はそうゆうものだと思ってください! 初めて書くので 読みづらい部分や誤字が沢山あると思います。 それでもいいという方はどうぞ! (本編は完結しました)

異世界へ誤召喚されちゃいました~女神の加護でほのぼのスローライフ送ります~

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

転生したら神だった。どうすんの?

埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの? 人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。

辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~

Lunaire
ファンタジー
壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。 他作品の詳細はこちら: 『転生特典:錬金術師スキルを習得しました!』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/906915890】 『テイマーのんびり生活!スライムと始めるVRMMOスローライフ』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/515916186】 『ゆるり冒険VR日和 ~のんびり異世界と現実のあいだで~』 【https://www.alphapolis.co.jp/novel/297545791/166917524】

転生令息は攻略拒否!?~前世の記憶持ってます!~

深郷由希菜
ファンタジー
前世の記憶持ちの令息、ジョーン・マレットスは悩んでいた。 ここの世界は、前世で妹がやっていたR15のゲームで、自分が攻略対象の貴族であることを知っている。 それはまだいいが、攻略されることに抵抗のある『ある理由』があって・・・?! (追記.2018.06.24) 物語を書く上で、特に知識不足なところはネットで調べて書いております。 もし違っていた場合は修正しますので、遠慮なくお伝えください。 (追記2018.07.02) お気に入り400超え、驚きで声が出なくなっています。 どんどん上がる順位に不審者になりそうで怖いです。 (追記2018.07.24) お気に入りが最高634まできましたが、600超えた今も嬉しく思います。 今更ですが1日1エピソードは書きたいと思ってますが、かなりマイペースで進行しています。 ちなみに不審者は通り越しました。 (追記2018.07.26) 完結しました。要らないとタイトルに書いておきながらかなり使っていたので、サブタイトルを要りませんから持ってます、に変更しました。 お気に入りしてくださった方、見てくださった方、ありがとうございました!

異世界転生~チート魔法でスローライフ

リョンコ
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...