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一旦、帰宅

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 夢のマイホームの確認が終了したので、とりあえず実家に帰らせて頂きます。
 帰りたくないと駄々をこねるサラを無理やり引っ張ってブレンダーに括り付け、山道を走り抜いた。 
 ダンジョンを横目に山を森を走り抜けて、実家にたどり着いた時には日も暮れた夕飯時だった。

 ▲

「ただいま~!」
「お兄ちゃん、おかえりなさ~い」
 玄関の扉を開けた瞬間に、走って来た地上に舞い降りた天使が抱きついて来た
 そう、この世の至宝、我が妹コルネリアちゃんだ!
 あ、お土産忘れてた……。
「コルネリア、忙しかったから土産ないんだ……ごめんね」
「ううん、お兄ちゃんが元気に帰って来てくれたら、それでだけでいいの!」
 ああ可愛い! 思わずぎゅーーーってしてしまった。
 さすがわが王国のアイドルグループ不動のセンター、コルネちゃん!
「た、ただいま、うぇっぷ……も、もどしそう……もどす……ぐぇぇぇぇぇ」
 ブレンダーに括り付けて山道走ったからな、そりゃ気持ち悪かろう。
 ざまあサラ! ぷぷっ。
「お帰りなさい、トールちゃん。サラちゃんはどうしたの?」
 サラを心配そうに見てるが、母さんそんな奴気にするな。
「あ~ブレンダーで酔ったんじゃない? 山道だったからね」
「トールヴァルドさま、お帰りなさいませ……くんかくんか……(大丈夫そうですね)」
「た、ただいま……何してるのかな?」
 ミルシェちゃんが、俺の匂いを嗅ぎながら周ってる。
 うん、何となく考えてる事わかるけどさ、お風呂入ってないんだから止めてね。
「ミルシェちゃん、汗臭いから止めてね。お母さん、お父さんは?」
「もう帰ってくると思うわよ。先にお風呂に入ってきなさい。サラちゃんもね」
「了解! サラ、一緒には入らないからな?」
 先に釘刺さないとこいつ来るからな……。
 ガーンって顔しても駄目だ! 一緒には絶対に入らない!
 ミルシェちゃんの鼻息が荒いけど……君とも一緒には入らないよ?

 ▲

 風呂からあがってさっぱりして食堂に行くと、父さんも帰っていた。
 取りあえず保存食ばっかりだったので、食べなれたセリスさんの食事が恋しい。
「トールヴァルドが無事に帰ってきて良かった。報告は後で聞くとして、まずは食事にしよう」
 本日の夕食は猪の肉と根菜のシチュー、鶏肉のステーキ、サラダにパン。
 シンプルだけど、転生してからずっと食べてきた味付けでほっとする。
 ドワーフの村で食べた和食も良いんだけど、この身体になったから味覚も嗜好も変わったのかな?
 食べなれたセリスさんの味付けの夕飯を美味しく頂きました。

 食後に落ち着いた頃合いを見計らい、父さんと領地開発について話をした。
 その過程で、湖に眠る巨大な女神像の話になると、父さんが興奮して、
「我が領地は女神様の加護を受けているのか! これからも発展するかもしれないな!」
 すごく喜んでるとこ悪いんだけど……ごめん、俺が創ったんだよ父さん。
 もちろん湖が聖水に近い物となっていて、この湖を聖地としたいと言ったら二つ返事でOKだった。
「お前の領地だからな。当然、こっちの街にも恩恵はあるんだろう?」
 ちゃっかりしてるな、父さんは。
「もちろん。僕の領地には父さんの領地からしか来れないように、防壁を築くつもりだよ」
 俺の領地は森と山と森を越をなければならない。
 通常であれば野営が必要な距離なのだから、父さんの街で宿泊して朝早く出立すると考えるのが普通だ。
 つまりは聖地巡礼が国内に広がれば広がる程、父さんの領地で宿泊もしくは通過する人が増える。
 どう転がっても収入増は間違いない。
 ただし、聖地として広がる事が条件だが。
「年明けに王都で報告をしよう。この前の様に何か手土産を持って行くか?」
 うんうん、王国トップへの袖の下は効くよね!
 お主も悪よのぉ~くっくっく……。
「それは追々考えるよ。前回以上に驚く物を考える」
「うむ、そうしてくれ。それでお前の家は出来たのか? いつ見に行ける?」
「母さんとコルネリア、あとミルシェちゃんも行きたがるだろうから……ちょっと相談かな」
 絶対に見たいって騒ぐからな。
 ダメって言ったら、今度こそミルシェちゃんのご機嫌は天元突破するはずだ。
「うむ……まあそうだろうな。明後日の朝出発にしよう。泊まれるんだよな?」
「ベッドも何にもないけど、大丈夫?」
 寝具もな~んにも無い。
「ああ、食料と着換えと毛布ぐらい持って行けば大丈夫だろう。楽しみだな」
「すごく驚くよ。楽しみにしてて」
 見て驚け、俺の夢のマイホームを!

 ちなみに、俺のマイホームを一緒に見に行けると聞いたミルシェちゃんは、一頻り喜んだ後、
「……私とトールヴァルドさまの未来の愛の巣……」
 赤い顔で何かぶつぶつと呟いていた。
 関わると危険な香りがしたので、知らん顔をしておいた。
 愛しの愛妹コルネちゃんは、
「お兄ちゃんのお家たのしみ~! コルネのお部屋もあるの~?」
 上目遣いで俺を見つめるコルネちゃんに、NOとは言えない!
「もちろん!3階のとっても眺めの良い部屋がコルネのだよ!」
 部屋の隅で話を聞いていたサラが、がーーん! って顔してるけど、当然だろう。
 ラブリー・コルネちゃんと駄メイドを比べるまでも無い。
 愛する我が妹に一番良い部屋を与えるのは当然の事だ!
 そう、俺はシスコンではない。
 これは家族への愛なのだ!
『へぇ~~~~~~~~~~~』
 そう、家族愛なのだ! 
『ふ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ん』
 大事な事なのでもう一度言おう、これはまさしく家族愛なのだ!
『シスコン乙!』
 …………。
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