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女神像の眠る湖

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 うむ、サラとドタバタしてるうちに、精霊さんが予定地の伐採を終えた様だ。
 集積所に積まれた丸太も、どんどん乾燥してくれてるみたいだな。
 
 では、ここで恒例の精霊さんのおやつタイム!
 まだ大仕事が残ってるんで、しっかり吸って下さいね。
 俺達も、ちょこっと干し肉とパンかじって腹に入れてっと。

 さて、休憩も終わったことだし、お昼からも頑張ろう! (主に精霊さんが)
 次はですね、まずこの図面通りにこう土の精霊さんが掘り下げて……そうそう。
 掘った土は湖のあっち側に置いといてね~あとで防壁の材料にするから。
 んで掘り下げてむき出しになった所の土を、火の精霊さんが焼き固めて……うんうん。
 焼き固まった所は、風の精霊さんがゆ~っくりと冷ましてください。
 水の精霊さんの出番はまだですよ~出番まで休憩してくださいね~。
 ハイ、では作業開始!

 予め図面に書いた図に沿って、どんどん土の精霊さんに掘り下げてもらいます。
 火の精霊さんは水を溜めた時に漏れないように、土を焼締めてもらいます。
 今回は魔法だから灰も出ないから自然釉も無しなので、言ってみればでっかい素焼きの土器みたいなもんですな。
 ホームセンターで売ってるプラスティックの池みたいな感じと思っていいかな。
 おお! みるみる掘り下げられ、焼締められてゆく……すげえな精霊パワー!
 これはもはや魔法では無いな、うん。
 ただ精霊さんが仕事してるだけじゃん……魔法って一体。 

 んでこの人造湖予定地の底に水脈があるのは、水の精霊さんがすでに調べてくれてるわけです。
 なので完成したら、何か所か土の精霊さんに井戸を掘ってもらって水を溜める。
 まあ溜まるまでかなりの時間が掛かるはずだけど、水の精霊さんが協力して水を出してくれるというので数日ぐらいかな?
 んでそこから水の逃げ口として、あの熊の居た川まで水路を掘れば一応完成。
 大体、中禅寺湖とほぼ同じ大きさかなぁ……あそこまで水深無いけどね。
 
 さて大凡の形が整ったので、そろそろ井戸掘り開始ですね。
 水脈の違う10か所を掘ってもらいましょう!
 土の精霊さん、水の精霊さん協力してね。
 風と火の精霊さんは、ここで休憩~おつでした。
 え……もう掘ったの? 仕事が早いねぇ~!
 あ、あっちこっちで水が噴き出てる! こりゃ逃げ口さっさと作ろう!
 土の精霊さん、連続勤務申し訳ないけどオネシャス!
 水の精霊さん、逃げ口出来たらこの辺まで水溜めてね。
 
 夕方には全部出来ました……魔法って素晴らしい。
 黒部ダムなんて多数の死者と長い年月かけて作ったのに……まあダムじゃないけど。
 しかし、まさか数時間でこの湖に水が溜まるとは思わなかった。
 こりゃ渇水の心配はいらないか?
 水を湛えた湖面が夕日でキラキラと美しい。
 ちゃんと逃げ口からも水がさらさらと流れてゆく。
 鮭とか鱒が遡上しないかなぁ。
「白樺〇林抜ければ、女神像眠〇湖……」
「き・よ・し!」
 合いの手せんきゅー!

 ▲
 
 さて、ではいよいよガチャ玉の……あああああああ!
「気付きましたか?」
「ああ……浄化装置って、湖の底に設置しなきゃだめじゃねーか! 忘れてた!」
「馬鹿ですね」
「面目ない……」
 サラに馬鹿にされても仕方ないな。
 金魚の水槽に入ってるブクブクの巨大な物を造ろうと思ってたのに……無念。
 ってか、分かってたなら言ってくれよ。
「いえ、何か考えがあるのかと」
「ごめん、調子に乗ってやっちゃいました」
 
 う~ん、計画修正。
 さっき自分で歌ったけど、浄化機能付き女神像を造って自分で湖の底まで自分で行ってもらおう。
 くそ! 急すぎてイメージが……何か良いのないか~焦るな~焦るな~……あ、あった!
 あのロボットの刑事のKさんが「マザ〇!」って呼んだら来てくれる、巨乳女神の姿をした巨大要塞!
 あそこまで大きくなくてもいい! でもイメージは完璧!
 ロボ〇ト~その名は~K~K~ロ〇ット刑事〇~♪
 子供の頃に歌ってたぐらい好きだったもんね~暗い話だったけど……。
「ふっふっふ……サラよ、完璧なイメージが出来たぞ!」
「ほっほー! では、いよいよですか?」
「ああ……今回は永久機関並みに稼働時間が必要だから、光ってない玉を使うぞ!」
「私、もう興奮で濡れ濡れびちょびちょです! 早く逝かせてください!」
 こいつはいつもの如くほっといてっと。
 
 光ってない玉を握りしめて……イメージ、イメージ。
『願望内容確認。脳内イメージ確認。……必要エネルギー量算出。必要エネルギー補充開始……完了。管理局長への承認申請……承認確認。イメージ補完に伴う物理法則の改変開始……完了。管理システムのバグチェック開始……完了。』
 今回はめっちゃ長いな……物理法則の改変とか言ってるし。
 しかも管理局長の承認も必要なんだ。
 すげえ……これが光ってないガチャ玉なのか。

『ギフトカプセル内包物変換開始……完了。最終確認……OK。カプセル開封を許可します』
 おぉ!開封許可が出た! よ~し、開けるぞ~! ンギギギギギギギギギギイ・・固すぎるだろ!カポッ! ちゅどーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!
「ふんぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
 なんかめっちゃ爆発した爆発した!!
 痛くも熱くもないけど耳がキーーン! ってなったぞ!
 サラなんだこれ! なんだこれ!
「演出です」
「……演出?」
「そうです。派手でいいでしょう?」  
「…………」
 余計な演出つけんなや、局長!

 ま、まあいい。
 目も前には、高さ20mの真っ白な巨乳の女神像が立っていた。
 こいつは半永久的に稼働して湖の水を浄化してくれる女神像で、なおかつ人工知能搭載で会話も出来るし、自立行動も可能。
 もちろん最低限の防衛・攻撃能力は備えている。
 そして緊急時には、俺の脳波に反応して浮上してくる優れもの。
 普段は湖深くに静かに佇み、水を循環・浄化してくれてるだけだが。
 まあ、何らかのイベント時には浮上してもらってもいいけどね。
 海じゃないけど海の女神の名前ネレイスにちなんでネス。
 そうだ!この湖はネス湖と名付けよう!
 なんか危険な香りがするが……まあ大丈夫だろう。
「さあ、行けネスよ、湖の中に! 水の浄化を!」
 真っ白な女神は、しずしずと歩いて(?)湖に入って行った。
 これより悠久の時をこの湖の下で過ごす事になるが、頑張ってほしい……。
「巨乳にする意味あったんですか?」
「ロマンだ!」
「…………」
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