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警備員さん死す
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あれ・・俺どうしたんだろう・・?
確か夜勤で交通誘導をしてたはずなのに。
今夜は国道の切削オーバーレイ工事で、一番ややこしい三車線が交差する交差点の規制するために確か信号を滅灯して警備員に無線で指示を出していたのに・・何があった?
そういえば二月に入って公共工事も大詰めで仕事詰まってて、昼夜昼夜の連続勤務続行中。
一服してるうちに疲れて寝ちゃった?
いかんいかん、今日は資格者俺しかいないんだからしっかりしなきゃ。
たま~に警察がまわってくるんだよな・・こんな有資格者配置路線の工事の時は、
「資格持ちの警備員さん、資格者証見せてくださ~い」ってね。
でも工事の現場監督さんがちゃんと道路使用許可も取ってくれてて、資格証も持ってるからモーマンタイ!
しかし日銭欲しさにはじめた警備の仕事も、気が付くと資格も取って本業になったなあ・・。
普通の会社員と変わらぬ給料にまでなったし、まあ体力の続く限りやろうかな。
さって、そろそろ起きなきゃ。
みんな睡魔と戦ってるはず。
隊長が休憩してちゃ・・ね。
ん?なんかすごく暖かいし、なんだかぼんやり明るい。
そういえば手も足もうまく動かないし・・何も見えない・・。
あれ?俺、本当にどうしたんだろう?
▲
「救急車!こっちです!早く!・・さん!しっかりしろ!救急車来たぞ!・・さん!・・さん・・」
現場は騒然としていた。
舗装工事で交通規制中の現場に、仕事帰りの飲酒&居眠り運転の乗用車が突っ込んだのだ。
規制のために並べていたコーンを跳ね飛ばし、規制車両の後ろで重機やダンプの出入りを見ていた警備員を撥ね飛ばし、規制車両と乗用車の間に押し込み止まった。
規制車両は2トン車だが、それが1m近く動いた。
サイドブレーキをかけていたにも関わらず。
それだけ乗用車のスピードが速かったのは言うまでもない。
警備員は口から大量の吐血をし、すでに息もしていない。
救急隊員も、手で目を覆うほどの状態だった。
2020年2月15日0時38分ごろ、国道〇〇号線▽▽交差点にて、道路工事で規制中の警備会社社員 大河 芳樹(おおかわ よしき)さん42歳が、乗用車に撥ねられ死亡しました。
乗用車を運転していた△△の会社員・・・・・
▲
気が付いた時、周囲は暗い様なぼんやり明るい様な変わった空間だった。
いやいや、よく見ると空間そのものは真っ暗だ。
なんかぼんやり光るソフトボールぐらいの球が、無数に浮いてるだけだ。
その球もふわふわ動いてどこかに飛んでいく。
なんだこの球・・と思って触ろうとしたが、手が動かない。
俺も気づくと光る球の後ろをゆっくり移動する・・?何かに引っ張られてる?
そうじゃない!手がない!足がない!俺も光る球なのか!?
あ・・でもこの方向には行きたくないなあ・・なんとなく。
よく見たら色んな方向に列をなして球が動いてる。
ん~どうなってんだ?流れに逆らって全力バックギア!後ろにGO!
振り返って一目散に逃げようと思ったら・・何かに捕まった!?
「珍しい・・意識があるのか?」
はっきりわからないけど、点描で輪郭書いたみたいな白い巨大な何かに摘み上げられていた。
「ん~このまま輪廻転生の輪に戻せないなあ・・どうしよ?・・君どうしたい?」
んっ?輪廻転生の輪?って事は、俺死んだの?
「そうそう、君なかなか話し早いねえ。君の現在生はすでに終わってるね。未来生は・・ああ!そうか、君の転生先が未定になってるね。だから意識が戻ったのかな?ん~システムのバグかあ。まあいいや」
そういうと、光の巨人(勝手に名付けた)は、光の球の俺?を摘まんだだまま歩き始めた。
いや、歩いてんの?なんか動く歩道みたいにスーって移動してるよね?
なんか気色悪いな、この移動。
しかも流れる景色からして、かなりのスピードの様な気がする。
やがてぼんやり明るく光っていた無数の球がはるか後方に流れ見えなくなり、ほとんど明りのない空間に着いた。
よく見たら大きな両開きの木の扉が目の前にあった。
・・この球の体に目があるのか知らないけど・・。
「よし、着いたっと。君はこの先に転生ね。ここって魂の総量が足りなかったんだよね。ん~君の魂なかなか面白い経歴持ってるみたいだし、この先で暮らしてみてよ」
・・あのお・・それって異世界転生ってやつですか?
「ん?ちょっと違う。他の星に転生だね。僕たち輪廻管理局としては、困ってたんだよね。君が前いた地球ってさ、魂のエネルギー総量が偏ってるの。あちこちの星からすごい数の魂が流れ込んでるんだよ。困るんだよ、ほんと。この先の星の魂のエネルギーなんて、地球の200分の1しかないんだよ?」
えっと・・ちょっと何言ってるかわかんないんですけど。
「あれ?地球人ってこんな話に詳しいんじゃなかったけ?」
ああ・・異世界転生でチートで無双とかっすか?
「そうそう!君の魂は、この先の星の人より200倍はエネルギーあるから無双簡単だよ~」
マジっすか!でも・・俺、見た目不細工で背も低かったし・・もてる要素無い人間が無双したら嫌われますねえ・・はあ・・
「君・・えらく後ろ向きだね。ん~じゃあ君の新しい肉体は君自身でデザインしていいよ」
それはすごく嬉しいお申し出ではありますが、もてる容姿は時代・地域・宗教などの環境によって変わりうるものですから、見たことも聞いたこともない星の人類の容姿をデザインしろと言われましても、私としましてはお任せしたいところですが・・
「面倒くさいね・・君。つまり君は、あの星でもてる男になりたいと?それなら難しくないよ。基本は地球の劣化コピー。新しい輪廻転生の輪を作るための実験星だから基準はそんなに変わらないっていうか、地球人の考えたファンタジーの世界を参考に作ってるからね。君だってそんな物語とか知ってるでしょ?」
はい、それは好きなジャンルの本ですけど、いざ自分が行くとなったら色々と怖いですね。
「まあ気楽に生きなよ。んじゃまあ君はあの星に行く転生者第1号ってことで、粗品もつけちゃうよ」
だ・・第1号・・ゎぁ~ぃ・・ぅれしぃなぁ・・。
「あんまり嬉しそうじゃないね。まあ便利グッズ詰め合わせと思ったらいいよ。転生したら開けてね」
はい・・もうあの星に行くのは確定なんですよね・・便利グッズなんですよね・・はぁ・・わかりました。神様を信じます。
「あれ?僕、神様なんて言ったっけ?」
こんな事出来るのは神様だけでしょう?あんまり信心深い方じゃなかったけど、信じますよ神様。
「ふふふ・・君、なかなか面白いね。まあ新しい生では別に使命とか運命とか無いから、本当に好きに生きてくれて良いからね。それじゃ新しい輪廻の輪にいってらっしゃ~い!」
重厚な造りの両開きの扉が開き、目を焼く光が漏れ出したかと思うと、俺の体(球?)は吸い込まれた。
▲
光の球を吸い込むと、扉は音もたてず閉じた。
後に残ったのは光の巨人(神?)だけだった。
巨人は扉をしばし見つめた後、来た方に向かい動き始めた。
光だけなので表情も何も見えないが、その後ろ姿はどこか楽しそうだった。
確か夜勤で交通誘導をしてたはずなのに。
今夜は国道の切削オーバーレイ工事で、一番ややこしい三車線が交差する交差点の規制するために確か信号を滅灯して警備員に無線で指示を出していたのに・・何があった?
そういえば二月に入って公共工事も大詰めで仕事詰まってて、昼夜昼夜の連続勤務続行中。
一服してるうちに疲れて寝ちゃった?
いかんいかん、今日は資格者俺しかいないんだからしっかりしなきゃ。
たま~に警察がまわってくるんだよな・・こんな有資格者配置路線の工事の時は、
「資格持ちの警備員さん、資格者証見せてくださ~い」ってね。
でも工事の現場監督さんがちゃんと道路使用許可も取ってくれてて、資格証も持ってるからモーマンタイ!
しかし日銭欲しさにはじめた警備の仕事も、気が付くと資格も取って本業になったなあ・・。
普通の会社員と変わらぬ給料にまでなったし、まあ体力の続く限りやろうかな。
さって、そろそろ起きなきゃ。
みんな睡魔と戦ってるはず。
隊長が休憩してちゃ・・ね。
ん?なんかすごく暖かいし、なんだかぼんやり明るい。
そういえば手も足もうまく動かないし・・何も見えない・・。
あれ?俺、本当にどうしたんだろう?
▲
「救急車!こっちです!早く!・・さん!しっかりしろ!救急車来たぞ!・・さん!・・さん・・」
現場は騒然としていた。
舗装工事で交通規制中の現場に、仕事帰りの飲酒&居眠り運転の乗用車が突っ込んだのだ。
規制のために並べていたコーンを跳ね飛ばし、規制車両の後ろで重機やダンプの出入りを見ていた警備員を撥ね飛ばし、規制車両と乗用車の間に押し込み止まった。
規制車両は2トン車だが、それが1m近く動いた。
サイドブレーキをかけていたにも関わらず。
それだけ乗用車のスピードが速かったのは言うまでもない。
警備員は口から大量の吐血をし、すでに息もしていない。
救急隊員も、手で目を覆うほどの状態だった。
2020年2月15日0時38分ごろ、国道〇〇号線▽▽交差点にて、道路工事で規制中の警備会社社員 大河 芳樹(おおかわ よしき)さん42歳が、乗用車に撥ねられ死亡しました。
乗用車を運転していた△△の会社員・・・・・
▲
気が付いた時、周囲は暗い様なぼんやり明るい様な変わった空間だった。
いやいや、よく見ると空間そのものは真っ暗だ。
なんかぼんやり光るソフトボールぐらいの球が、無数に浮いてるだけだ。
その球もふわふわ動いてどこかに飛んでいく。
なんだこの球・・と思って触ろうとしたが、手が動かない。
俺も気づくと光る球の後ろをゆっくり移動する・・?何かに引っ張られてる?
そうじゃない!手がない!足がない!俺も光る球なのか!?
あ・・でもこの方向には行きたくないなあ・・なんとなく。
よく見たら色んな方向に列をなして球が動いてる。
ん~どうなってんだ?流れに逆らって全力バックギア!後ろにGO!
振り返って一目散に逃げようと思ったら・・何かに捕まった!?
「珍しい・・意識があるのか?」
はっきりわからないけど、点描で輪郭書いたみたいな白い巨大な何かに摘み上げられていた。
「ん~このまま輪廻転生の輪に戻せないなあ・・どうしよ?・・君どうしたい?」
んっ?輪廻転生の輪?って事は、俺死んだの?
「そうそう、君なかなか話し早いねえ。君の現在生はすでに終わってるね。未来生は・・ああ!そうか、君の転生先が未定になってるね。だから意識が戻ったのかな?ん~システムのバグかあ。まあいいや」
そういうと、光の巨人(勝手に名付けた)は、光の球の俺?を摘まんだだまま歩き始めた。
いや、歩いてんの?なんか動く歩道みたいにスーって移動してるよね?
なんか気色悪いな、この移動。
しかも流れる景色からして、かなりのスピードの様な気がする。
やがてぼんやり明るく光っていた無数の球がはるか後方に流れ見えなくなり、ほとんど明りのない空間に着いた。
よく見たら大きな両開きの木の扉が目の前にあった。
・・この球の体に目があるのか知らないけど・・。
「よし、着いたっと。君はこの先に転生ね。ここって魂の総量が足りなかったんだよね。ん~君の魂なかなか面白い経歴持ってるみたいだし、この先で暮らしてみてよ」
・・あのお・・それって異世界転生ってやつですか?
「ん?ちょっと違う。他の星に転生だね。僕たち輪廻管理局としては、困ってたんだよね。君が前いた地球ってさ、魂のエネルギー総量が偏ってるの。あちこちの星からすごい数の魂が流れ込んでるんだよ。困るんだよ、ほんと。この先の星の魂のエネルギーなんて、地球の200分の1しかないんだよ?」
えっと・・ちょっと何言ってるかわかんないんですけど。
「あれ?地球人ってこんな話に詳しいんじゃなかったけ?」
ああ・・異世界転生でチートで無双とかっすか?
「そうそう!君の魂は、この先の星の人より200倍はエネルギーあるから無双簡単だよ~」
マジっすか!でも・・俺、見た目不細工で背も低かったし・・もてる要素無い人間が無双したら嫌われますねえ・・はあ・・
「君・・えらく後ろ向きだね。ん~じゃあ君の新しい肉体は君自身でデザインしていいよ」
それはすごく嬉しいお申し出ではありますが、もてる容姿は時代・地域・宗教などの環境によって変わりうるものですから、見たことも聞いたこともない星の人類の容姿をデザインしろと言われましても、私としましてはお任せしたいところですが・・
「面倒くさいね・・君。つまり君は、あの星でもてる男になりたいと?それなら難しくないよ。基本は地球の劣化コピー。新しい輪廻転生の輪を作るための実験星だから基準はそんなに変わらないっていうか、地球人の考えたファンタジーの世界を参考に作ってるからね。君だってそんな物語とか知ってるでしょ?」
はい、それは好きなジャンルの本ですけど、いざ自分が行くとなったら色々と怖いですね。
「まあ気楽に生きなよ。んじゃまあ君はあの星に行く転生者第1号ってことで、粗品もつけちゃうよ」
だ・・第1号・・ゎぁ~ぃ・・ぅれしぃなぁ・・。
「あんまり嬉しそうじゃないね。まあ便利グッズ詰め合わせと思ったらいいよ。転生したら開けてね」
はい・・もうあの星に行くのは確定なんですよね・・便利グッズなんですよね・・はぁ・・わかりました。神様を信じます。
「あれ?僕、神様なんて言ったっけ?」
こんな事出来るのは神様だけでしょう?あんまり信心深い方じゃなかったけど、信じますよ神様。
「ふふふ・・君、なかなか面白いね。まあ新しい生では別に使命とか運命とか無いから、本当に好きに生きてくれて良いからね。それじゃ新しい輪廻の輪にいってらっしゃ~い!」
重厚な造りの両開きの扉が開き、目を焼く光が漏れ出したかと思うと、俺の体(球?)は吸い込まれた。
▲
光の球を吸い込むと、扉は音もたてず閉じた。
後に残ったのは光の巨人(神?)だけだった。
巨人は扉をしばし見つめた後、来た方に向かい動き始めた。
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