元の鞘に収まれない!

小貝川リン子

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8 夏休み④ ※

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 運動会が終わるまでは放課後も毎日忙しく、桐葉と会ったのはその後になってからだった。その日は運動会の振替休日で、「空いてるディズニーランドに行ってくる」なんてやつらも多かったけど、俺たちは相変わらず桐葉の部屋で乳繰り合っていた。庭木が金色に匂い、部屋の中まで蜜の味がした。
 
「なぁ、桐葉って気持ちいいこと好きだよな」
 
 一戦交えた後、俺は言った。二人とも裸で、大の字に寝転んでいる。桐葉は肩で息を整えながら、俺を睨んだ。相変わらず目付きが悪い。
 
「あぁ? おれを馬鹿にしてんのか」
「違う違う。ただ、確認っつうか……気持ちいいこと、好きだよな?」
「……好きじゃねぇ」
「はいうそー。好きじゃなかったらこんなことしねぇだろ。恥ずかしがることないんだぜ? みんな同じようなもんだ。俺だって気持ちいの好きだもん。だからお前とこうやって、朝から晩まで手扱きし合ってんじゃねぇか」
「お前、朝は起きられねぇだろ」
「今のはそういう意味じゃありませんー。いや、あのな、他の気持ちよくなれる方法、最近知ったんだよ。試してみねぇ?」
 
 桐葉は面倒くさそうに頭をもたげた。
「今やってるので十分だろ」
「でもほら、ものは試しって言うじゃん? やってみようぜ、なぁあ」
 
 俺はしつこく食い下がる。桐葉は怪訝な顔をする。
「具体的にどうするんだ。面倒なのは嫌だぞ」
「お前は心配しなくていいよ。俺が全部やるから」
 
 カバンの奥にひっそり潜ませていたローションを取り出した。
 コンドームもローションも前もって準備しておいた。わざわざ電車で三十分もかけてドンキまで買いにいったのだ。近所のドラッグストアにも売っているだろうけど、知り合いに見つかったら気まずいので足を延ばした。
 
 桐葉に腹這いになってもらい、俺は足の上にまたがった。尻にゆっくりローションを垂らす。冷たかったらしく、桐葉は文句を言う。
 
「おい、なんだ今のは」
「滑りをよくするやつ。細かいこと気にすんな」
「何しようとしてるのか言え」
「ただのマッサージだよ。大丈夫だって。ちゃんと気持ちいらしいから」
 
 ローションでぬるぬるになった桐葉の尻を揉む。女の人の尻とは違うだろうけど、それなりに柔らかくて丸みがある。桐葉はさすがにこの段階では感じていなかったが、日向ぼっこ中の猫みたいにのんびり気持ちよさそうにしていた。
 ローションを足し、尻の割れ目にも塗り込んでいく。輪郭に沿って尻を撫でる。足の付け根をそっとなぞる。尻たぶを少し開かせてもらって、会陰部を指で押した。際どいところを触られて、桐葉がこちらを振り向く。
 
「っな、なんで、そんなとこ」
「やだ?」
「やじゃ、ねぇけど……」
 
 会陰をぐっぐと押すと、桐葉の腰が小さく跳ねた。
「気持ちいの?」
「ちがっ、アっ、わかんね」
 
 声も跳ねている。これはもしかしたら、才能があるかもしれないぞ。案外簡単にセックスできちゃうかもしれない。待てなくなって、ローションでぬるぬるになっているアナルに親指を突っ込んだ。抵抗もなくつるりと入ってしまった。
 
「ぃあっ!? あ、なに、いま」
「ん? 指入れただけ」
「はぁあ!? い、意味わかんね……やだ、やだってぇ、抜けよ!」
 
 桐葉がじたばたと暴れるが構わない。くるくると指を回して穴を拡げていく。もう片方の親指も入った。二本の指で穴の縁を押し広げ、くぱくぱさせる。桐葉は堪えるように背筋を震わせ、下に敷いた座布団にしがみつく。
 
「これもマッサージの一環だから、ね。お尻柔らかくなったらいいことあるんだって! ほんとだぜ」
「へ、へんだ、こんなの。そんなとこ、汚ぇし……」
「汚くねぇよ。なに、気持ちよくないの?」
「っき、きもちわりぃ……背中、ぞくぞくする」
「それ気持ちいってことじゃん。大丈夫、立派なケツマンコにしてやっからな」
「けつ……なに?」
「ケツが第二のチンコになるって話!」
 
 この姿勢では限界がある。桐葉に膝を立ててもらい、アナル拡張を続行した。人差し指から挿入する。中はキツキツで、とても俺の息子が入れる余裕はなさそうだった。だけど、このキツキツさがいい。入れたらさぞ気持ちがいいだろうと思った。
 
 桐葉はバックで犯される女の子みたいに、腕の中に顔をうずめ、腰を高く上げていた。勃起したちんこは股の間で揺れていた。蜜壺を掻き混ぜると、背中を急カーブに反らして喘いだ。
 
「苦しくねぇか?」
「ア、あ、やぁっ! へん、へんだ、そこっ、やめ」
「ここ?」
 
 カリリと引っ掻いた。腹側の箇所だ。桐葉は悲鳴を上げ、大袈裟に腰を揺らした。
 
「やッア゛! ぅあ゛! だめっ……そ、こ、だめぇえッ!」
 
 確かに、前立腺はこの辺りにあると読んだ。でも探すの難しそうだし、見つからないかと思っていた。桐葉が自ら申告してくれてよかった。そこを引っ掻く度、桐葉は狂ったように善がった。気づけば指は二本入っていた。人差し指と中指だ。アナルも大分解れたように思う。そろそろいいかな。
 
「ねぇ桐葉。俺も気持ちよくなりたいんだ。協力してくれるよな?」
「は、あ? なに……」
 
 股の間から桐葉が顔を覗かせる。ちんこの向こうに桐葉の顔が見える。
 
「桐葉のケツにハメさせてよ」
「ハメる……?」
 
 ここまで言ってもわかってなさそうだったので、イチモツを取り出して桐葉の尻になすりつけた。俺の先走りとローションとでぬるぬる滑った。
 
「これ、ハメさせろっつってんだよ。言ってる意味、わかんだろ?」
「? なんで、んなこと……は、入るわけねぇだろ。そんなでけぇの……」
「入れれば入るんだよ! そのためにねちねち解してたんだろーが。おら、もっと足開け」
 
 俺は無理やり桐葉の腰を引き寄せ、勢いのままに挿入した。
 十分解れたと思ったけど足りなかったかもしれない。陰唇は限界まで広がり、中は食い千切らんばかりの圧で締め付けてくる。俺のちんこは特別でかいわけではないのに、桐葉の尻と比べるとものすごく巨大で凶暴に見えた。
 
「おい、もちっと緩めて」
「……はっ、クソ、痛ぇ」
「えっうそ、痛いの?」
 
 桐葉は苦しそうに身をよじり、俺を睨んだ。涙の流れた痕が見えた。
「痛ぇに決まってんだろ! てめえも突っ込まれてみろ!」
 さっと血の気が引きかけたが、桐葉の股間にぶら下がっているものが見えたので、そのまま前に突き進んだ。
 
「はぁ!? おい、抜けって! なに続けようとしてんだ」
「でも、お前のちんこ全然萎えてねぇじゃん。バッキバキに起たせといて抜けはねぇよなぁ? ほんとは気持ちいいんだろ。それか、痛いのが好きなのかな」
「ばっ、ばか言ってんじゃ、あア゛っ!」
 
 奥まで入ってしまった。根元までずっぽりだ。おめでとう、俺。これでやっと童貞卒業だな。
 
「ほらほら、もう入っちゃったよ? 桐葉のケツは優秀だねぇ」
 桐葉は金魚みたいに口をぱくぱくさせ、必死に酸素を取り込んでいる。
「やっ、やめ、ぇ、むり」
「無理じゃない無理じゃない。でもちょっと動けそうにねぇから、しばらくこのままでいような」
 
 よしよしと頭を撫でながら背中にキスを落とすと、強張っていた体から少し力が抜けた。
 こうして見下ろしてみると、桐葉はずいぶん細身だ。身長も俺の方が高いから、ますます華奢に見える。乱暴したら壊れてしまいそうなのに、壊してみたいと思う自分もいる。
 
「すぎ、もと……」
 
 桐葉がこちらを振り向く。目で何か訴えかける。
 
「なぁに? 苦しい?」
「くち……」
「ん?」
 
 桐葉は口をもぐもぐさせた後、つんと尖らせた。
 
「ちゅうしたい」
「!?」
「ちゅ……きす、したい。して」
 
 桐葉からしたいと言ってきたのは初めてだった。いつも俺がしたくてしていた。何となく、エロいことをしているとキスしたくなるのだ。口寂しいというやつだろうか。桐葉も俺と同じ気持ちなのかと考えたら嬉しくなった。
 
「お、俺もキスしてぇけど、この恰好だと――」
「ひァっ! 動くなぁ」
「動くのはしょうがねぇだろ!?」
 
 俺もいっぱいいっぱいだ。桐葉の締め付けがちょうどいい具合に緩んだので、すぐにでも達しそうだった。それに耐えて話しているのである。褒めてほしいくらいだった。
 
「すぎもとぉ……きすぅ……」
 座布団に突っ伏し、たどたどしい口調でねだる。かわいい。かわいいけど、急にどうしたんだよ。さっきまで痛がってたじゃん。
 
「ほら、こっち向け」
 ぐいっと体を密着させ、桐葉の後頭部を掴み、唇を合わせた。それだけで桐葉の中はきゅんと締まる。
 
「お前、キス好きなのな」
「んぅ……もっと」
 
 桐葉が舌を出すので、俺は迷わず噛み付いた。たっぷりの唾液を流し込む。桐葉も唾液を送り込んでくる。下の口もねっとりと絡みついてくる。たまらなくなり、ガツンと腰を打ち付けた。
 
「あア゛ッ!」
 
 桐葉は喉を晒して喘いだ。口が離れたのが寂しくて、俺は無理やり桐葉の顔を引き寄せた。唇を塞ぎながら、夢中で腰を振る。桐葉は酸欠で苦しそうだったけど俺の手から逃げようとはしないで、積極的に噛み付いてきた。薄く開いた口の隙間から甘やかな声が漏れる。
 
「かわいい」
 
 キスの合間に囁くと、後ろが激しくうねった。そのせいで、情けないことに五分と持たずに発射してしまった。さっき一回イッたのにあまりにも早い。もっと堪能したかった。
 
「ぅあっ!? な、なんか、でて……」
「うっ……ごめ、中出しちゃった」
 
 驚いたらしい桐葉はがばっと上体を起こして逃げを打つが、俺はその腰をがっちり掴んで大量の白濁を注いだ。桐葉とする時は独りでする時よりも精液が濃くて多い。今も、二回目とは思えないくらいいっぱい出た。
 
「なか、ぁ、あつい」
「そーいうこと言うな!」
「あっあ、おくまで、きて……」
「もぉぉ、お前ほんと、もぉぉ」
 
 一度萎えかけた息子だが、瞬時に元気を取り戻す。桐葉の腰を掴み直し、再度奥まで突き上げる。何度も抽送を繰り返す。嬌声はひっきりなしに上がっていた。落ちていく腰を何度も引き上げた。
 桐葉のちんこも全然萎えていなくて、先走りが垂れて畳を汚していた。心もとなく揺れているそれを扱いてやると、桐葉は頭を振って嫌がった。
 
「やァア゛! あっ、ぃあ゛ッ、だめぇぇえ!」
「なにがだめ? いいでしょ? 中ぎゅんぎゅん締めてくるぜ」
「ちがっ、アぁ! い゛っ、ぎそう、ぎちゃう゛ぅう!」
 
 桐葉もイキそうなんだな。俺は腰を使って前立腺を探し、思い切り抉った。桐葉はひぃっと息を呑み、全身を大きく痙攣させ、声も出さずにイッた。後ろは俺のを搾り取るように蠢き、俺もあえなく達した。
 
 体を支えられなくなったらしい桐葉はべしゃっと崩れ落ちた。ちんこが抜け、ローションやら何やらが混じった粘液が糸を引いた。桐葉の精液は畳の上に飛び散っていて、俺は急いでティッシュで拭き取った。
 
「どうだった? これが――」
 
 言い終わる前に桐葉の拳が飛んできた。が、力が入らないらしかった。弱々しく、こつんと俺の額を叩いた。桐葉は四肢を投げ出し、悔しそうに涙を溜めている。
 
「てめっ、ふざけんな……なんだよ、今の……」
「セックスだよ。知らねぇ? 赤ちゃん作る儀式」
「……知ってらぁ」
「お前、妊娠しちまうかもな」
「子供ができんのは、精子と卵子がくっついた時だって習ったぜ。精子と精子じゃできねぇだろ」
「ありゃ、知ってたのかよ」
「知ってるっつったろ」
「でも今やったのもセックスだぜ。アナルセックスってんだ」
 
 桐葉はごろりと横向きになった。
 
「そんくらい、知ってら」
 
 再度呟いた。たぶん知らなかったと思う。知っていたら、こんな無防備にケツを貸してくれたはずがない。
 
 俺は桐葉に抱きついた。意味はない。したかったからそうした。汗で湿った熱い肌が不思議と心地よかった。キスを迫ると凄い力で押し返された。「なんでだよ」と唇を尖らすと、桐葉は俺の顔も見ないで「疲れた」とだけ言った。
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