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11. 憤激
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リュシイはまだ、腕の中で泣き続けている。
その涙が枯れるまで、泣けばいいと思った。
ふと顔を上げる。視線の先にバーダンという少年が倒れていて、親衛隊の一人が歩み寄っていた。
バーダンに刺さっている矢を親衛隊が引き抜くと、彼は「痛い!」と叫んだ。
お前が斬りつけたという兵士だって痛かっただろうよ、と思いながら、冷めた目で少年を見つめる。
それでも親衛隊は、簡単にだが治療を施していた。
小屋の中に入っていった親衛隊の男が出てきて、こちらにやってきて言う。
「陛下、ライラという女は、やはりいません」
「まあよい。後ほど確保できれば、今のところは」
森から、三人の親衛隊が出てくる。
彼らは木の上からずっと機会を伺っていた。仕留めたのは、彼らだ。
「よくやってくれた」
「恐悦至極に存じます」
三人は誇らしげに胸を張る。
そうしているうち、腕の中のリュシイが泣き止んだ。
それでも何となくそのままの体勢でいたが、しばらくすると、腕の中で彼女が硬直しているのがわかった。
つい抱き締めてしまったが、まずかっただろうか。
急に気恥ずかしくなってきて、身体を離す。
彼女はまた、俯いてしまっていた。
「あ、あの……すみません、泣いてしまって……」
「い、いや……。大事ないか?」
「はい、大丈夫です」
そう言って彼女は顔を上げた。
だが、その顔を間近で見て、息が止まる。
頬が、赤く腫れているではないか。
「……殴られたのか」
カッと頭に血が昇った。握った拳が震える。
何ということをするのだろう。
彼女は慌てたように、自分の頬に手をやった。
「あ、は、はい」
「他に酷いことはされなかったか?」
倍返ししてやろう、と心に決めた。
「……あの……えっと」
そう言って、なぜか急に落ち着かなくなる。
ますます俯いてしまって、手の指を組んだり離したりしている。
「あの……、ね、念のために……言うんです……あの……」
「どうした?」
「えっと……、て……」
「て?」
そして彼女は、小さな、聞こえるか聞こえないかの声で言った。
「貞操は……守ったので……」
そうしてまた、黙り込む。
もしも彼女にあの男がそんな汚らわしいことをしたのなら、八つ裂きどころでは済まなかった。
そんなことをされたら、彼女はどんなに傷ついただろう。
「……それは、良かったな」
そう言うと、彼女は小さくうなずいた。
いや待て。
今、守ったと言ったか?
では危機はあったということか。
何ということだろう。
自分以外が彼女に触れるなどと、考えたくもない。
「陛下」
親衛隊に呼び掛けられ、振り向く。
「いかがなさいますか?」
そう言って、矢が刺さったまま倒れ込んでいる占い師を指した。
彼はまだ呻いている。
「急所は外しておりますが」
「そうか」
言われて、占い師の元へ歩み寄る。
「無様だな」
そう言って、鼻で笑ってやった。
彼は恨みがましそうに、こちらを見上げる。
「……背後から狙うとは、国王ともあろう者が、卑怯なことで」
この状態で、よくそんな口を叩けたものだ。
「人質を取って逃げようとした者が、よく言う。それになぜこの私が、お前などに正々堂々と勝負を挑まねばならない?」
その占い師の忌々しい顔を見ていると、過去のことがいろいろと思い出された。
父の死に顔。
母の最期。
崖崩れで一緒に逝ってしまった者。
あのとき皆が流した涙。
倒れたままの占い師に更に歩み寄り、手を伸ばす。
そして背中に刺さった矢を一本、勢いよく引き抜く。
男の体はびくりと痙攣したように揺れた。
そしてその傷を、足を思い切り振り上げて、踏みつける。
「ぐあっ……!」
「減らず口は相変わらずのようで、何よりだ」
そのまま傷を踏みにじる。
「本当にお前には、いつもいつも辛酸を舐めらされる。私の人生から消え去ってもらいたいものだ」
「や、やめろ……」
足の下で、男が呻く。
なぜ、やめなければならない。
こんなものではない。この怒りを抑えるためには、この程度で終わらせられるわけがない。こんなもので終わらせてたまるか。
死んだ方がまだ良かったと思えるほどに、苦痛を味あわせてやる。
腰に佩いていた剣を、鞘から引き抜く。
あのときはジャンティに止められてしまったが、最後まで引き抜けたことに、快感すら覚えた。
占い師の顔のすぐそばに、剣を勢いよく突き立てる。
「ひっ……!」
「何から切り落としてやろうか? まずは、そのうるさい口から舌を切り取ろうか」
剣をゆっくりと引き抜くと、そのまま顔に当てる。撫でるように剣を動かすと、顔に一筋、血の線が入った。
さすがだ。切れ味がいい。
「やめ……」
「そうか、舌は嫌か。まあ、今回のことをいろいろしゃべってもらわないとならないからな。では耳にしようか? それとも、指を?」
「やめろ、やめてくれ!」
親衛隊は、その様子を黙って見つめている。
彼らだって、きっと同じ気持ちだろう。
「やめてください!」
だが、背中から、リュシイが抱き着くようにして止めてきた。
「なぜ止める」
この男に、慈悲など必要ないのだ。欠片も。
それに、酷い目に遭わされたのは、他ならぬリュシイではないか。
「穢れます!」
「何が」
「陛下が……」
少女は震えていた。
その震えが、身体に伝わってくる。
そして気付いた。
今、自分が、口元に残忍な笑みを浮かべていたことに。
「……ああ」
剣を占い師から離す。男は安堵のため息をついた。
口元を、開いた左手で隠した。そして大きく息を吐く。
『あなたは今、冷静さを欠いておられる!』
ジャンティがそう言っていた。本当だ。まったく冷静ではいられなかった。
剣を鞘に戻す。
「止めてくれて……感謝する」
彼女の方を見られなかった。
今、とてつもなく醜い姿を見せてしまった。
怖かったと泣いていたのに、更に怖い思いをさせてしまった。
「すまなかった」
「いいえ。いいえ、陛下。ごめんなさい……」
なぜ彼女は謝ったのだろう。
もしかしたら、少し心情を想ってくれたのかもしれない。
親衛隊が、占い師を拘束しにかかった。
多少力が入っているように思えるのは、気のせいではないだろう。
それくらいは許してもらいたい。
縛り上げたバーダンと占い師を、馬車に乗せる。
オルラーフの誰がこの馬車を占い師に与えたのかは知らないが、活用させてもらう。
かの国の紋章が入った馬車。それを一介の衛兵が止められなかったことを責められない。
こちらとしても抗議はするが、おそらくは白を切られる。そして占い師は切り捨てられる。腹立たしいことだが、これが限界だろう。
「では、帰ろう」
自分の馬に乗って、そしてこちらを見上げる少女に手を差し伸べた。
リュシイは少し、手を伸ばしてくるのを躊躇っているようだった。
やはり、怖がらせてしまったか。
馬車を操る者の馬が余ってはいる。そちらに乗せるべきなのかもしれないが、けれど、彼女を傍に置いておきたかった。
「嫌か?」
そう言うと、少女はふるふると首を横に振って、手を伸ばしてきた。
彼女の二の腕を掴んで、ぐっと引っ張る。少し身体が浮いたところで腰を抱えて、自分の前に、横座りさせた。
そのときだ。
「どこに行くのよ」
女の声がした。
その涙が枯れるまで、泣けばいいと思った。
ふと顔を上げる。視線の先にバーダンという少年が倒れていて、親衛隊の一人が歩み寄っていた。
バーダンに刺さっている矢を親衛隊が引き抜くと、彼は「痛い!」と叫んだ。
お前が斬りつけたという兵士だって痛かっただろうよ、と思いながら、冷めた目で少年を見つめる。
それでも親衛隊は、簡単にだが治療を施していた。
小屋の中に入っていった親衛隊の男が出てきて、こちらにやってきて言う。
「陛下、ライラという女は、やはりいません」
「まあよい。後ほど確保できれば、今のところは」
森から、三人の親衛隊が出てくる。
彼らは木の上からずっと機会を伺っていた。仕留めたのは、彼らだ。
「よくやってくれた」
「恐悦至極に存じます」
三人は誇らしげに胸を張る。
そうしているうち、腕の中のリュシイが泣き止んだ。
それでも何となくそのままの体勢でいたが、しばらくすると、腕の中で彼女が硬直しているのがわかった。
つい抱き締めてしまったが、まずかっただろうか。
急に気恥ずかしくなってきて、身体を離す。
彼女はまた、俯いてしまっていた。
「あ、あの……すみません、泣いてしまって……」
「い、いや……。大事ないか?」
「はい、大丈夫です」
そう言って彼女は顔を上げた。
だが、その顔を間近で見て、息が止まる。
頬が、赤く腫れているではないか。
「……殴られたのか」
カッと頭に血が昇った。握った拳が震える。
何ということをするのだろう。
彼女は慌てたように、自分の頬に手をやった。
「あ、は、はい」
「他に酷いことはされなかったか?」
倍返ししてやろう、と心に決めた。
「……あの……えっと」
そう言って、なぜか急に落ち着かなくなる。
ますます俯いてしまって、手の指を組んだり離したりしている。
「あの……、ね、念のために……言うんです……あの……」
「どうした?」
「えっと……、て……」
「て?」
そして彼女は、小さな、聞こえるか聞こえないかの声で言った。
「貞操は……守ったので……」
そうしてまた、黙り込む。
もしも彼女にあの男がそんな汚らわしいことをしたのなら、八つ裂きどころでは済まなかった。
そんなことをされたら、彼女はどんなに傷ついただろう。
「……それは、良かったな」
そう言うと、彼女は小さくうなずいた。
いや待て。
今、守ったと言ったか?
では危機はあったということか。
何ということだろう。
自分以外が彼女に触れるなどと、考えたくもない。
「陛下」
親衛隊に呼び掛けられ、振り向く。
「いかがなさいますか?」
そう言って、矢が刺さったまま倒れ込んでいる占い師を指した。
彼はまだ呻いている。
「急所は外しておりますが」
「そうか」
言われて、占い師の元へ歩み寄る。
「無様だな」
そう言って、鼻で笑ってやった。
彼は恨みがましそうに、こちらを見上げる。
「……背後から狙うとは、国王ともあろう者が、卑怯なことで」
この状態で、よくそんな口を叩けたものだ。
「人質を取って逃げようとした者が、よく言う。それになぜこの私が、お前などに正々堂々と勝負を挑まねばならない?」
その占い師の忌々しい顔を見ていると、過去のことがいろいろと思い出された。
父の死に顔。
母の最期。
崖崩れで一緒に逝ってしまった者。
あのとき皆が流した涙。
倒れたままの占い師に更に歩み寄り、手を伸ばす。
そして背中に刺さった矢を一本、勢いよく引き抜く。
男の体はびくりと痙攣したように揺れた。
そしてその傷を、足を思い切り振り上げて、踏みつける。
「ぐあっ……!」
「減らず口は相変わらずのようで、何よりだ」
そのまま傷を踏みにじる。
「本当にお前には、いつもいつも辛酸を舐めらされる。私の人生から消え去ってもらいたいものだ」
「や、やめろ……」
足の下で、男が呻く。
なぜ、やめなければならない。
こんなものではない。この怒りを抑えるためには、この程度で終わらせられるわけがない。こんなもので終わらせてたまるか。
死んだ方がまだ良かったと思えるほどに、苦痛を味あわせてやる。
腰に佩いていた剣を、鞘から引き抜く。
あのときはジャンティに止められてしまったが、最後まで引き抜けたことに、快感すら覚えた。
占い師の顔のすぐそばに、剣を勢いよく突き立てる。
「ひっ……!」
「何から切り落としてやろうか? まずは、そのうるさい口から舌を切り取ろうか」
剣をゆっくりと引き抜くと、そのまま顔に当てる。撫でるように剣を動かすと、顔に一筋、血の線が入った。
さすがだ。切れ味がいい。
「やめ……」
「そうか、舌は嫌か。まあ、今回のことをいろいろしゃべってもらわないとならないからな。では耳にしようか? それとも、指を?」
「やめろ、やめてくれ!」
親衛隊は、その様子を黙って見つめている。
彼らだって、きっと同じ気持ちだろう。
「やめてください!」
だが、背中から、リュシイが抱き着くようにして止めてきた。
「なぜ止める」
この男に、慈悲など必要ないのだ。欠片も。
それに、酷い目に遭わされたのは、他ならぬリュシイではないか。
「穢れます!」
「何が」
「陛下が……」
少女は震えていた。
その震えが、身体に伝わってくる。
そして気付いた。
今、自分が、口元に残忍な笑みを浮かべていたことに。
「……ああ」
剣を占い師から離す。男は安堵のため息をついた。
口元を、開いた左手で隠した。そして大きく息を吐く。
『あなたは今、冷静さを欠いておられる!』
ジャンティがそう言っていた。本当だ。まったく冷静ではいられなかった。
剣を鞘に戻す。
「止めてくれて……感謝する」
彼女の方を見られなかった。
今、とてつもなく醜い姿を見せてしまった。
怖かったと泣いていたのに、更に怖い思いをさせてしまった。
「すまなかった」
「いいえ。いいえ、陛下。ごめんなさい……」
なぜ彼女は謝ったのだろう。
もしかしたら、少し心情を想ってくれたのかもしれない。
親衛隊が、占い師を拘束しにかかった。
多少力が入っているように思えるのは、気のせいではないだろう。
それくらいは許してもらいたい。
縛り上げたバーダンと占い師を、馬車に乗せる。
オルラーフの誰がこの馬車を占い師に与えたのかは知らないが、活用させてもらう。
かの国の紋章が入った馬車。それを一介の衛兵が止められなかったことを責められない。
こちらとしても抗議はするが、おそらくは白を切られる。そして占い師は切り捨てられる。腹立たしいことだが、これが限界だろう。
「では、帰ろう」
自分の馬に乗って、そしてこちらを見上げる少女に手を差し伸べた。
リュシイは少し、手を伸ばしてくるのを躊躇っているようだった。
やはり、怖がらせてしまったか。
馬車を操る者の馬が余ってはいる。そちらに乗せるべきなのかもしれないが、けれど、彼女を傍に置いておきたかった。
「嫌か?」
そう言うと、少女はふるふると首を横に振って、手を伸ばしてきた。
彼女の二の腕を掴んで、ぐっと引っ張る。少し身体が浮いたところで腰を抱えて、自分の前に、横座りさせた。
そのときだ。
「どこに行くのよ」
女の声がした。
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