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第87話 餌食

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ヴィンデにいるまでは分かったが、なんせ貿易都市。広いのだ。
「ソルリア、熱源感知魔法でちかにひとがたくさんいるばしょわかる?」
「わかるが、魔力を辿れば良いでないか」
「うん、リアスがね、もううばってるんじゃないかなぁって」
「ああ、彼奴ならやりそうだな」

ソルリアの誘導で来てみると。
「?何も無いです」
ヨウハがくびを傾げる。
「いいえ、なにかある」

何かはわからないが何か引っかかる。なんかフリ兄様の実験室みたいな感覚。そう、トラップ‼︎フェリアの人間ならば一度は通るフリ兄様のトラップ地獄。あれは痛かった。頭に金だらいが落ちてきた。
コントかよ‼︎と思ったのは懐かしい話。

感知魔法を使えない人はみんな餌食になる。私が魔力を貰って真っ先にしたのは感知魔法の習得だった。あの手練れの使用人達でも手こずる。フリ兄様のトラップ。

「なるほどな」
と、ソルリアはフンっと鼻息をした。
バリィィンと何かが割れる音がしたら屋敷があった。
「ソルリア」
「ちゃんと手加減したぞ、屋敷は残ってる」
や、残ってるけど、窓割れてる‼︎
「おそらくあれが感知魔法の魔法具だろうしかしあれは流通禁止の物、闇取引でもしていたか」
「まどうぐをつかっているということはまほうはつかえない?」
「それを確かめます」
ハルバがゼウスを地面に刺して 

「エンシャントボルト‼︎」 

ドッゴーン。屋敷に雷が落ちる。
「ハルバやしき、もえる‼︎」
「だからいいんです、消す人間が現れなければ屋敷に人はいない」
いや、たとえいても今の君の雷魔法で死んだよ、とは言えない。
「ふむ、いないならいいな」
ん?
ソルリアは風魔法を纏った右足をブンと振った。
屋敷はなくなり更地になった。
「ソルリア」
「手加減したぞ、他の屋敷は無事だ」
「ほんとにここのちかにひとが?」

どう見ても更地。隠し扉は?
ん?水?
兄様がニコニコと水魔法で探っていた。
「お、あったよ」
ベリィ‼︎
隠し扉ってもっと小さくない?何、見つけて下さい言わんばかりのでかい床だったもの。
「にいしゃま、わなでは」
「いや、本物だね、エア写真見ただろうあの豚が入るにはこのサイズがいる」
あー、現当主。
「さて、このまま水魔法で窒息させてもいいけど時間がかかる」
ソルリアはじーと下を見てる
フンっ
ドッゴーン。
大穴が開いた。
もう何も言わない。
あ、人。
バリバリィ‼︎
ゴォォ‼︎
ギャァァァ‼︎
ザシュ‼︎
ドゴォ‼︎
あっという間に血の海になり、残りは豚…じゃない、当主だけ。
「さて逃亡ご苦労様、貴方の家族も私兵も使用人もいない」
「わ、わたしが何をした‼︎」
「やましいことがなければかくれなければいいのです」
でなければ全てを失う事は無かったのに。
「さようなら」

その朝ハルア伯爵家一同が無残な姿の死体で見つかる。

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