神速の凡才剣士

藤堂 鷹獅

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19話

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対人戦で輝きを放ったのはやはりこの4人だった

「それじゃ!いっくよー!」
サーシャは持っていた二本のダガー
神から授かったものウェンディを投げる
彼女曰く、1組揃ってる、初めて「ウェンディ」の能力を使えるらしい
ダガーは研ぎ澄まされたように相手の方向に向かって行く
「なんのっ!」
サーシャと戦っていたホロ=ターンは間一髪でダガーを避ける
そのダガーはホロを挟むように左右の地面に突き刺さる
「よし!これでサーシャは武器無しのただの少女だ!貰った!!!」
ホロは勝利を確信した
しかし、その時、サーシャの顔に笑みが浮かぶ
「んーん。あたしの勝ち」
そう宣言した時、ホロの足元の地面に突き刺さったダガーが生きているかのように動き、地面に模様を描いていく
「なんだ?」

「えへへ。なんだろうね」
そして、ホロを囲むように円が地面に刻まれた時、刻まれた場所から光が溢れる
「なんだこれっ!?出れないぞ!」
ホロはヤバさを感じ取ったのか、脱出を試みるが、見えない壁か何かがあるのだろう、その円の中から出ることが出来ない
「魔力結界があるから壊さない限り無理だよ」
そう行っている間にもダガーは何かを刻んでいく
ホロは中に入ってしまったため、ダガーからも逃れないといけない
「ほら、早くしないと、負けちゃうよ?」
そこで俺は感じた
あのダガーが止まるとともに勝負が決まると
だんだんとダガーが刻もうとしていたものの形が見えてくる
「もしかして!?」
ここでホロは気づいたらしい
(なるほどね)

「これは、魔法陣か!」

「へへへ、ご名答ー」
そういうのと同時にダガーは動くことを辞め、サーシャの手に戻っていく
「へへへ、あたしの勝ち!」
魔法陣が煌めく
周りにいる人たちもそこからの魔力を感じることができる
すごい魔力だ
激流咲菫ウォーターバイオレット

「う!?」
大量の水が地面から重力によって逆らうように立ち登る
ホロは水に巻かれて姿が見えなくなる
そして、水の菫の花が天空で花開く
その中から出てきたホロは意識を失っていた
「トウヤーみてたー?勝ったよ!」
戦いを終えたサーシャはぴょんぴょんと跳ねるような足どりで俺に近づいてくる
「おう!おめでとう!」

「ありがとう!」
俺たちは拳をぶつけ合う
「それにしても激流咲菫か。洒落た技じゃん」

「でしょー!私の中で一番綺麗な技使ってみた!」

「それで勝てるんなら言うことないわー」

「ほら!次始まるよ!」


次に出てきたのは、学年主席 ガイエル=ベニファニスだった
赤髪を短く切ったガタイのかなり良い男だ
165cmの俺からみたらとても妬ましい
しかも筋肉ゴリゴリ
これらを見る限り、もう、戦闘スタイルは見えてくる
そして、俺の予想は的中した

「こいよ!俺様の天下無双の斧「ミルニョル」!!!」
そういうと、ガイエルの身長に届くかどうかのくらいの大きさの巨大な漆黒の戦斧が姿を現した
それをみて、彼の対戦相手 ナード=アルミという少女は武装を展開したままの姿で固まっている
「こいよ!小娘ちゃんよ!」
ガイエルは手をくいくいと動かし挑発する
こいつ、こんなキャラだったのか
総代挨拶の時の姿はどこに行った
「そうか。来ないようなら、俺様から行くぜぇ!」
ガイエルはその巨体からは考えられないほどの速さでナードに向かって行く
「!?!?!?」
それに驚愕しているのか、それとも反応できていないのか、ナードは動かない
「うぉぉぉぉ!!」

「!?!?!?」
ナードが少しでも抵抗しようと剣を出す
しかし、この戦斧の前では無力
木の枝を折るように軽々と破壊される
そして、砂煙が巻き起こる
ガイエルは、ナードもろとも大地を叩き割ったのだ
地割れもできている
しかし、砂煙が晴れるとさらに驚くべきことに気づく
地割れの根源の隣で意識を失っている、ナードの体には外傷がないのだ
その理由は戦斧の突き刺さっている位置を見れば分かる
戦斧は、ナードの体の真横に振り下ろされていたのだ
あんな重そうな武器でこんな器用なことができるなんて
すごいとしか言えない
まぁ、こんなガツガツ行くスタイル変えないと厳しくなると思うけど
それにしても、勝利が決まった後、ガイエルが俺の方を見ていた気がしたけど、気のせいだよな

そして、ここで、イケメン ヴルム=シュナイデン登場
黄色い声援がえげつないほど飛び交っていた
まぁ、この試合は、説明する必要のない試合だった
とりあえず、瞬殺
何も異能を使わず、神の武器も固有能力を使わず、相手の意識を落とした
どれほどの強さなのかは、俺には見当もつかない
でも、昔やった時よりは格段に強くなっている
でも、俺は、それ以上に感じたことがある
ぜったい、あいつ、早く俺とやろうぜって言ってるよな

そして、最後に出てきた メリア=フェルシア
俺はメリアの戦い方を見て驚いた
もう、衝撃を受けたよね
だって、自分で攻撃をせずして相手を倒したんだもん


「神の寵愛…」
メリアは開始早々、いつも身につけているロザリオを握り祈るようにして能力を発動した
外見も相成ってか
この姿は、聖母にさえ見える
柔らかい光がメリアを照らしたかと思うと、その光がメリアを包み込み、メリアを守る膜のようなものになる
相手のカーズ=フェゴーは警戒の色を浮かべるが自らの剣型の武装を持ちメリア討伐に向かう
しかし、メリアは、両手でロザリオを握ったままだ
そして、それが起こったのは、カーズが、光の膜に触れた時だった
待っていては何も始まらないと思ったであろう、カーズはメリアを守る光の膜を斬りつけた


しかし、斬りつけると同時に、カーズは、意識を失い、戦闘不能に陥った
この時、この場は騒然となった
だって、何もせずして勝ったのはもちろんだが、メリア相手に攻撃することは勝負を諦めると同じことだとわかったんだぜ
俺にも勝ち方がわからない
多分、周りの奴らもわからないだろう
隣にいるサーシャも、少し離れたところにいるヴルムも、固まっている
その中、彼女は、パタパタと俺の方にやってくる
「勝ちましたよ!」

「お、おう」

「あれ、どうかしました?」

「いや!なんでもないよ!おめでとう」
くそ、どう反応していいかわからん!

他の試合も、目を引くものはあったが、これらに比べると(メリアを除く)比較的、インパクトが欠けていた
まぁ、他の奴らの能力が分かっただけでも良しとしよう

こうして、改めてライバルになるだろうクラスメイトの強さを知ることができ、いろんな意味で衝撃を受けた初実技訓練は幕を閉じた

あ?俺は何をしてたかって?

ずっと、ブルエンのクソ野郎の隣で試合見てたよ!
途中で、サーシャが来てくれて助かった
おかまとずっと話してるのちょっと…

でも、薄々感じたことがあった
この人は、只者じゃない
俺のことを見抜いたことといい、今日の試合を見ている中で見せた鋭い目
この人もなんか隠してるだろう

まぁ、いいや
なるようになるさ
だから、俺は、本気で強くなろう
学生のトップに立つ
そして、最後に、親父を超えるために
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