神速の凡才剣士

藤堂 鷹獅

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18話

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「全員集まったわねぇ?」

「「はい!」」

「それではぁ、今年度初めての実技訓練を始めまぁす」

「「よろしくお願いします!」」
こうして入学して始めての実技訓練が始まった
俺は、昨日、シェニアさんとの戦いで、ここを使用したので、それほど凄みを感じないが、他の生徒は
「なにここ!すげぇ!」

「ね!広いし、綺麗だし!強くなれそう!」

「それは、努力次第だろってー」

「そうだった!」
など、やり取りをしているが、感動している様子
「この学園の訓練場にはオートメディカルシステム、通称「OMS」が導入されているのでー、大きな怪我など気にせず、鍛錬することができますよぉ」

「OMS?」
なんだそれ、聞いたこともないぞ
オートメディカルシステム?
なんかかっこいいな
「「え?」」
しかし、そう言った瞬間、周りの奴らが俺の方を振り向いた
「え?」

「…お前、どんな環境でトレーニングしてきたんだ?」

「それは…」
俺は今までの特訓を思い出す
俺の家は山の中にあり、そして、その山そのものを所有していた
さらに、その山は、あらゆるトレーニングができるように改造されていたのだった
俺はその山の中でトレーニングしてきた
例えば、山の中にある訓練場で、週に5回以上は、父であるジョウタロウと本気で打ち合いを行なってきた
また、トレーニングの最中に、たまに、現れてはいけない生き物が乱入して来るもあった
そして、現れたものは討伐しなければならなかった
そんな中で生き延びてきたのだ
擦り傷だけで済むこともあれば、大怪我をすることもあった
言い換えるなら、死線の中で鍛えてきたのだ
そこで俺は気づいたのだ
強くなれば気付くかなくて済む。ってね。

「まぁ、何もないところで一心不乱に剣を振り続けて来ただけかな」

「…ほんとかな~」

バレないかなぁ
俺のトレーニング内容については、俺のことをよく知らない人には言いたくないからなぁ

「そろそろOMSの説明してくれないかな?」
俺が気になってることを先生にチラチラと目線を配りながら口に出す

「OMSっていうのはね」
よし乗ってきた

「簡単に言えば、どんな傷でも直してくれる魔法みたいなものかなぁ」

「なんだそれーー!!大雑把やな!」
突っ込んじまった
詳しいこと知りたくなっちまうだろ!
「詳しいこと知りたいなら専門の人に聞くといいわよぉ。私たちも知らないこと多いしねぇ」
なるほど
教えなかったんじゃなくて、教えられなかったのか
「とりあえずぅ、どんな怪我しても痛いだけで大丈夫だからぁ、頑張ってトレーニングしてねぇ」
…わかってたよ
痛いものは痛いよな
はぁ
「それじゃあ、今日はぁ、各自の現在の能力を知りたいから、対人戦やってもらうわよぉ。対戦相手はぁ、隣の席の人ねぇ」
ほう
隣の先の人か
あれ、俺の隣の人ってどんな人だったっけ
気にして見てなかった
「あと、トウヤ君はぁ、今日の個人戦は参加しなくていいからぁ」

「なんで!?」
なんでだ!
俺も戦いたいぞ
理不尽だ!
「あなたの能力を図り切るまで立ってられる生徒は何人かいると思うけどぉ、最初からそんなハードにはできないからぁ」
なるほど
生徒のためってことか
「わかりました」
しょうがないなぁ
「それじゃあ、10分後開始するからぁ、各自ストレッチとかしておいてねぇ」

「「はい!」」
そう言って、バラバラになる
「…ねぇ、トウヤ君」

「はい」

「君は、色々制約を受けてると思うけど、制約が解けたとしたら、どうする?」
この人…
やっぱり俺が制約を受けて戦っていたことに気付いてたのか
「そうですね…今まで溜まってたぶん、吐き出したいですね」

「そう。なら良かったわ」
そう言って、一通の手紙を俺に渡してきた

そして、俺は、手紙の差出人を見て驚いた

ジョウタロウ=キリュウ
俺の父だった
まさか、あの人のことだ、さみしいから手紙送りましたーってことはないだろう

俺は、手紙を開封した
そして、手紙の内容を見て、また、驚いた

お前がそっちに行ってある程度だったが、今の生活はどうだ?
強くなれたか?
お前が思っているほど、学園での生活、トレーニング、校内選抜戦、そして、剣技魔導祭は甘くない
俺は、お前に自身の武器と異能の発動を禁じたよな?
お前はその中でも反発せずに十分頑張った




だから、お前は、俺が認められるくらいに強くなった
技術面の話じゃないぞ?
人間としてだ
だから、俺は、お前を縛っている枷を外したいと思う
お前は、お前なりに自由にそっちで頑張れ
学園を卒業する頃には心身ともに俺を超えて帰ってこいよ
俺も鍛えて待っている

期待してるぞ

「いい父親ね」

「…はい」
親父の気持ちなんて初めて聞いた
いつも冷淡な親父なのにちゃんと俺のことを見て期待してくれた
絶対強くなってみせる







そして、親父 ジョウタロウ=キリュウを超えてやる
待ってろよ親父





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