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「ミーフィアだけじゃなく、ソーラさんまでうちのパーティーに入れられるなんて。
来てるわ、確実にわたしの時代が来ている。
ソーラさんがいれば、今の最上位階層だっていけるわ。ううん、新階層開拓も夢じゃない。
新層開拓なんてすれば一躍有名人に……」
「これこれ、今回のダンジョンでの冒険は、あくまで学生の勉強としての一環じゃ。そんな危険なとこまでいく予定はないぞ」
今回のパーティーには、ミーフィアやクララがいるのだ。
わしも浅い階層を適当に歩いて帰るつもりじゃった。本当はわしも最深部の奥にいきたいんじゃががまんじゃ。
学生がいるのに、怪我の危険がある場所につれていくわけにはいかない。
「む、わかってるわよ……。ちょっと夢みちゃっただけよ……。でも、学生ではいちばん深いところまでもぐってやるわ!」
クララはなにやら燃えてるようじゃった。
知り合ってさほど時間が立ってない少女じゃが、突っ走る癖があるのはもうわかっておるからのう。
今回の冒険では怪我などしなければいいのじゃが。それとなく見ておいてやるしかあるまい。
「そういえば、なんでお主がおるのじゃ?」
「文句がおありですか?長さま」
ソーラの隣には、すらっと背が高くて美人な、しかし、やたらと冷ややかな目をした少女がいた。
髪の色は美しい白髪で、頭には一本の角が映えている。
「ユーニは狭い場所で戦うのが得意。結界も張れるし、ミーフィアたちも守れる」
そう、この少女、ユーニ――わしはユニ子と呼んでるが――もソーラの使い魔のひとりじゃった。
その正体はユニコーン。しかも、珍しい雌のユニコーンじゃった。
ソーラの言ったとおり、ユニコーンは瞬時に防御力の高い結界を張れ、狭い範囲を驚異的な貫通力で破壊するスキルを多数有している。
局地戦で優れた力を発揮し、狭い場所の多いダンジョン探索では、特に優れた使い魔じゃろう。
広範囲にやたらめったな攻撃力を振るうムー子やフェニ子をダンジョンで使った場合、戦いながらダンジョンを崩壊させかねない。
だから、その使い魔としての選択事態はまちがっておらん……。しかし……。
「YO!YO!かわいこちゃんたち!こんなところ、女の子だけで歩いてどうしたの?!
良かったらおれとデ」
「死ね」
女だらけの集団とみてナンパしてきた男を、ユニ子はセリフがおわるまもなく顔面を蹴りつけようとした。
すさまじい勢いで男の頭頂部の1ミリほど上を通過した上段蹴りは、まるで芝刈り機のように男の頭にハゲをつくっていった。
もし直撃していたら、男はデートではなくデッドすることになったじゃろう。
あたらなかったのはわしが前足でそらしたからじゃ。
「これこれ……、街中でいきなり攻撃してはいかんぞ……?ユニ子よ……」
わしはまだ男を蹴り殺そうと、みしみし言うような力を脚にいれてくるユニ子を前足で必死で止める。
ユニ子をなだめようと顔は笑顔を作るが、全身に脂汗が浮かんでおった。
「寄るな、オス。臭くて吐き気がする」
そんなわしをいないかのように扱い、ユニ子は男を本気の殺意が篭もった目でにらみつけていた。
「ひっ、ひいいいいいいいいいい!」
男は涙目で地面をはいずりながら、すごい速さで逃げていった。生存本能のなせる技じゃろう。
このように、ユニ子は大の男嫌いだった。
ユニコーンという種族は、もともと男嫌いで、非処女も嫌い、清らかな処女だけを好むが、雌になってもその性質は変わらない。
むしろ、ひどくなってる気がする。
確かにダンジョン攻略自体には優れた使い魔じゃが、こんな男ばっかりが溢れる街でだしていい使い魔ではない。
冒険者というのは、男の方が圧倒的に多く、街にもダンジョンの中にも男が溢れかえっておるのじゃ。
き、危険すぎる……。
「ナンパ避けにもなる」
「避けるどころか、キリングトラップになっておるわ!」
よりによって人化しているせいで、男を引き寄せる美少女が、そのまま男を殺すためのトラップになってるのである。
確実に下半身の緩い男たちを殺しに来ていた。
わしがいなかったらどうなったことか……。
この街のナンパ男たちは、全員、瀕死で病院送りにされていただろう。
「長さまも童貞だからぎりぎり許しますが、童貞卒業したら殺します。今までわたしに触った分も殺します」
「やめんか!わしの雄として未来に、暗雲を浮かべようとするのは!」
※
気づいたら二週間近くあっというまに経ってました。
もうすこし頻繁に更新できるようにがんばりますね。
来てるわ、確実にわたしの時代が来ている。
ソーラさんがいれば、今の最上位階層だっていけるわ。ううん、新階層開拓も夢じゃない。
新層開拓なんてすれば一躍有名人に……」
「これこれ、今回のダンジョンでの冒険は、あくまで学生の勉強としての一環じゃ。そんな危険なとこまでいく予定はないぞ」
今回のパーティーには、ミーフィアやクララがいるのだ。
わしも浅い階層を適当に歩いて帰るつもりじゃった。本当はわしも最深部の奥にいきたいんじゃががまんじゃ。
学生がいるのに、怪我の危険がある場所につれていくわけにはいかない。
「む、わかってるわよ……。ちょっと夢みちゃっただけよ……。でも、学生ではいちばん深いところまでもぐってやるわ!」
クララはなにやら燃えてるようじゃった。
知り合ってさほど時間が立ってない少女じゃが、突っ走る癖があるのはもうわかっておるからのう。
今回の冒険では怪我などしなければいいのじゃが。それとなく見ておいてやるしかあるまい。
「そういえば、なんでお主がおるのじゃ?」
「文句がおありですか?長さま」
ソーラの隣には、すらっと背が高くて美人な、しかし、やたらと冷ややかな目をした少女がいた。
髪の色は美しい白髪で、頭には一本の角が映えている。
「ユーニは狭い場所で戦うのが得意。結界も張れるし、ミーフィアたちも守れる」
そう、この少女、ユーニ――わしはユニ子と呼んでるが――もソーラの使い魔のひとりじゃった。
その正体はユニコーン。しかも、珍しい雌のユニコーンじゃった。
ソーラの言ったとおり、ユニコーンは瞬時に防御力の高い結界を張れ、狭い範囲を驚異的な貫通力で破壊するスキルを多数有している。
局地戦で優れた力を発揮し、狭い場所の多いダンジョン探索では、特に優れた使い魔じゃろう。
広範囲にやたらめったな攻撃力を振るうムー子やフェニ子をダンジョンで使った場合、戦いながらダンジョンを崩壊させかねない。
だから、その使い魔としての選択事態はまちがっておらん……。しかし……。
「YO!YO!かわいこちゃんたち!こんなところ、女の子だけで歩いてどうしたの?!
良かったらおれとデ」
「死ね」
女だらけの集団とみてナンパしてきた男を、ユニ子はセリフがおわるまもなく顔面を蹴りつけようとした。
すさまじい勢いで男の頭頂部の1ミリほど上を通過した上段蹴りは、まるで芝刈り機のように男の頭にハゲをつくっていった。
もし直撃していたら、男はデートではなくデッドすることになったじゃろう。
あたらなかったのはわしが前足でそらしたからじゃ。
「これこれ……、街中でいきなり攻撃してはいかんぞ……?ユニ子よ……」
わしはまだ男を蹴り殺そうと、みしみし言うような力を脚にいれてくるユニ子を前足で必死で止める。
ユニ子をなだめようと顔は笑顔を作るが、全身に脂汗が浮かんでおった。
「寄るな、オス。臭くて吐き気がする」
そんなわしをいないかのように扱い、ユニ子は男を本気の殺意が篭もった目でにらみつけていた。
「ひっ、ひいいいいいいいいいい!」
男は涙目で地面をはいずりながら、すごい速さで逃げていった。生存本能のなせる技じゃろう。
このように、ユニ子は大の男嫌いだった。
ユニコーンという種族は、もともと男嫌いで、非処女も嫌い、清らかな処女だけを好むが、雌になってもその性質は変わらない。
むしろ、ひどくなってる気がする。
確かにダンジョン攻略自体には優れた使い魔じゃが、こんな男ばっかりが溢れる街でだしていい使い魔ではない。
冒険者というのは、男の方が圧倒的に多く、街にもダンジョンの中にも男が溢れかえっておるのじゃ。
き、危険すぎる……。
「ナンパ避けにもなる」
「避けるどころか、キリングトラップになっておるわ!」
よりによって人化しているせいで、男を引き寄せる美少女が、そのまま男を殺すためのトラップになってるのである。
確実に下半身の緩い男たちを殺しに来ていた。
わしがいなかったらどうなったことか……。
この街のナンパ男たちは、全員、瀕死で病院送りにされていただろう。
「長さまも童貞だからぎりぎり許しますが、童貞卒業したら殺します。今までわたしに触った分も殺します」
「やめんか!わしの雄として未来に、暗雲を浮かべようとするのは!」
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気づいたら二週間近くあっというまに経ってました。
もうすこし頻繁に更新できるようにがんばりますね。
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