すまん、いちばん最初の使い魔のわしがいらない子ってマジ?

小択出新都

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わしと主(あるじ)とバトロワ 14

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「クロト……、おしおきの時間だよ……」

 漆黒のオーラをまとったソーラがそう宣言する。

「お姫さまだっこの罪、償ってもらうっす!」
「また、意味のわからんことを……」

 ムー子の口にすさまじい力が集中する。

「ゼロブレスっす!」

 どんな物質も生物もうち滅ぼす一撃が放たれた。

「オフィス!」

 わしは喰食剣により、それを相殺する。

 その間にソーラと、セイ子が呪文詠唱をはじめる。

「加速剣――
「逃がさないです!」

 フェニ子が炎の渦を巻きながら宙に跳び上がり、逃げ道をふさがれる。

 そうしてる間に、セイ子の呪文が完成した。

『千氷怜剣(ブリザーム)!!』

 すぐさま事象剣を使い、有利事象を引き当てる。

 だが、降り注ぐいくつもの剣を避けるうちに、無理が出てくる。わしは地面を見誤り、足をすべらせた。
 致命的な隙ができる。

(しまった……!)

「捕まえたよ……、クロト……『絶対呪縛(アブソリュートバインド)!!』

 ソーラの放った呪文が、黒い渦をまく縄と化して、わしの身体をしばりあげた。
 わしの身体がすまきにされて、地面になげだされる。

「ふっふっふ、ついにつかまえたっす!やったっすよ!」
「縛られながらも、その女を抱えて。本当に巨乳が好きなんですね」
「わたしたちの罰を受けるがいいです!」

 ソーラが身動きがとれなくなったわしを暗い瞳で見て、でもどこか嬉しそうに宣言した。

「さあ、クロト……、終わりだよ……」

 わしは答える。

「そうじゃな――

 



            ――わしの勝ちじゃ」

 抱きかかえていたミーフィアの幻が消失する。

 そして驚愕する彼女の横から、ミーフィアの声が聞こえた。

『氷矢(アイスアロー)』

 無警戒だった横から、氷の矢がソーラに向かって直撃する。

「えっ……!?」

 パリンッ

 ソーラの<身代わり人形>の割れる音が響いた。
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