すまん、いちばん最初の使い魔のわしがいらない子ってマジ？

わしと主（あるじ）とバトロワ 13

　ソーラ、ムー子、フェニ子、セイ子にまわりを囲まれる。
　逃げ場はない。

「いくよ……」
「覚悟してください」

　幻獣クラスの使い魔というのは大抵、高レベルな魔法が使える。
　ムー子はバカだから使えないが、あとの二匹はソーラに匹敵する魔法の使い手だった。

　フェニ子が炎系の上級魔法、セイ子が氷系の上級魔法をはじめる。ソーラにいたっては、さらに上の爆炎系の最上位魔法を――
　ここで仕留めるつもりなのだ。

「クロトさん……、大丈夫ですか……？」

　ミーフィアが心配そうにわしを見る。

「ああ、大丈夫じゃ。きゃつらの攻撃は防ぐから、言われたとおりに頼む」

「この後におよんでこそこそ相談っすか！覚悟するっす！」

　三人の詠唱が完成した瞬間、わしは四番目の魔剣を発動させた。

　――唱魔剣マギ！

『炎撃流星槍（マァズフレア）！！』
『超大水流（ノアボトル）！』

『氷花絨毯（アイスガーディン）！！』
『熱風巨人（テュフォンストライク！）』

『神魔掃爆撃（ラグナロク）！！』
『十二約結界第一条（クロストゥワン）！』

　一気に、六つの上位魔法が出現し、ぶつかり合う。

　唱魔剣マギは、三人の賢者の魂を封じた魔剣。
　わし自身は下位魔法のごく簡単なものしか使えないが、この魔剣を利用することにより、上位魔法を使うことができる。
　しかし――

『ふぃぃ、クロトどのも無茶をさせよる……』
『疲れた……、疲れたぞい……。なぜに直前になって呼び出す……』
『わしなんて呼び出されてすぐに、最上位魔法の無効化なんてさせられたのじゃ……。もうだめじゃ……死ぬ……。短い命じゃった……』

　老人なので一度使うと、しばらくのあいだ使えないのが難点だった。
　もはや、これで魔法を直接、相殺するのは不可能。

　一方、相殺するために魔法をうったのだから、当然と言えば当然だが四人娘のほうはぴんぴんしていた。

（むぅ……）

　頬に冷や汗が流れた。