退魔淫妖伝

サノサトマ

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記録その5

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 未だ眠っている琴美の身体からゆっくりと服を脱がせていき、一糸纏わぬ姿にする。
 美しい顔立ちと、鍛えられた肉体美が露わになる。
 これからどんな風に料理してやろうか、考えるだけで髑髏顔の笑みが止まらない。
「んっ……」
 突然、琴美の身体がビクンッと跳ねた。妖魔の毒素が効いて敏感になっているのだ。
「ぅ……」
 琴美はまだ夢心地だった。
 そんな彼女がどんな反応をするのか。
 最早相手を起こさないように警戒する必要はない。
 むしろ起きた時にどのような表情をするのか興味すら湧いてきた。
 慎重派だったのが一転して大胆になる。
 まずは上にのし掛かり、両腕両足に自らの身体を乗せて押さえる。
 顔や胴体はこれから満足いくまで触るため、敢えて身体を乗せない。
 全裸の退魔士は眠っているまま粘体状の妖魔に拘束されてしまった。
 今までの借りを返す。と言わんばかりに口から野太い触手状の舌を出す。
 まるで巨大化させたナメクジのようなそれを勢いよく琴美の胴体に乗せた。
「ひゃっ」
 突如胴体にヌメヌメした物体を乗せられたせいで声が漏れた反応は、以前だったら警戒しただろう。
 だが、もうそんなことなど気にしなくて良い。むしろ起きてみろと言わんばかりにその引き締まった腹を舐め回す。
 若くきめ細かい乙女の肌の味を存分に堪能すると、もっともっと舐めていきたくなる。
 決して飽きることのない美味。
 それを独り占めしているという事実。
 相手が目を覚ましたとしても、もう反撃されることのない安心感。
 まさに今が至福の時だった。
 次に味わいたい部位。
 それは大きく実った二つの乳房。
 仰向けになっているため重力に従って下を向いているが、それでも十分すぎるほどの大きさ。
 その大きさに比例した張りのある柔肉はまさに極上品。
 しっかり堪能するため、谷間に向かって舌を這わせる。
 上下に擦ると、そこに溜まっていたであろう汗を舐めとっていく。
 粗方汗の味が無くなると、今度は下の輪郭に沿って舐め、それも済むと次は横に8の形を描くように弄ぶ。 
 舌によって様々な方向から舐められた琴美の乳房は、力が加わった方とは逆の方向へ逃げ、マシュマロのように形を変えていく。
「ん…ぅぅ…」
 粘体の気色悪い感触と、粘液による快楽を強制的に感じさせる効果という相反する感覚に琴美の身体は困惑した。
 それでも頬が赤くなっているのを見ると、嫌でも感じているようだ。
 満足するまで舐めると、今度は揉みほぐす。
 粘体質の触手が乳房に巻き付くと、ゆっくりと持ち上げていく。
 そしてそのまま一気に落とす! 柔らかい弾力と滑らかな感触を楽しみつつ、何度も繰り返す。
 その度に胸は形を変え、柔らかさをアピールしてくる。
 粘液の催淫作用による効果で、塗られたところからさらに感度が高まっているようだ。
 やがて先端の突起物が見えてくると、妖魔はそれに狙いを定めた。
 小さくもしっかりと存在感を出すように固くなった乳首。
 そこに自身の触手の先端を当てる。
「っ…!?」
 身体が反応するボタンなのかと思うほどの反応に、思わず笑いそうだった。
 何度もつつき、その度に琴美の身体が小さく跳ねる。
 ある程度楽しんだら、今度はコリコリとした感触を確かめるように舐め、吸っていく。
 髑髏顔の妖魔がまるで赤子のように口に含む様は不気味だった。
 乳房を咥えながら吸引すると、上に引っ張られて形を変える。
 口を開いて放すと、重力に従い落とされた水風船のように元に戻るが、すぐにまた吸い付いていく。
「っ……うっ……」
 執拗な攻めに、琴美はただ喘ぎ声をあげるしかない。
 度重なる責めに口を大きく開け、肩で息をする様子に妖魔は胸から顔へ視線を移した。
 目を閉じたまま頬を紅く染める琴美の顔。
 普段は凛としているが、まだ若干の幼さが残っているような可愛らしい寝顔をしている。
 間近で観察していた妖魔は興奮していた。
 もっと虐めてやりたい。
 もっと犯してみたい。
 よりドス黒い欲望が渦巻いていく中、ついに琴美の目蓋がゆっくりと開いていった。



 身体が熱い。
 なぜか呼吸も激しい。
 なにか重い物が上に乗っている?
 あれは何?
 覚醒していく視界。最初はボヤけていたが、数秒後に目の前にある何かを捉えた。
 それを認識した次の瞬間―――。
「ぃ……ひゃあああああ!?!?!?」
 力一杯叫んだ。
 琴美が見たもの。
 それは粘体に包まれた髑髏顔だった。
 当然暴れようとするが、その化け物が両手両足の上に乗っていて動けない。
 まるで水が入った袋を身体に置かれているような感覚だった。
「ようやく……起きたか……」
「あ、あなたは……まさか?!」
 数秒間、脳をフルに回転させ記憶を辿る。
 該当するのは校庭で倒されたあの妖魔だったが―――。
「せ、先生が、倒したはず……」
「そうさ……だが……殺し……きれなかったな……クックック」
 これから獲物を捕食する獣のように勝ち誇る妖魔。
 琴美はすぐに身体の霊力を用いて攻撃しようとしたが、おかしい事に気がつく。
(え、え!? なんで、なんで霊力がないの???)
 退魔士は己の霊力を感覚的に感じ取っている。
 車のメーターのように的確に残量が分かるのではなく、体力のように残りの量を身体で感じるのだ。
 今の状態は霊力がゼロ。つまり無防備だ。
 こんな状態では抵抗できない。
 なんとか逃げ出そうとするも、妖魔が上に乗っているのに加えて力も負けているので身動きが取れない。
 身体は性的な興奮のせいで熱くなっているのに悪寒が走った。
 もうまな板の上の鯉どころではない。
 今からライオンに喰われるシマウマのような気分だった。
 そんな絶望的な表情を読み取って妖魔が嘲笑う。
「フフ……可愛かった……ぞ……お前の……喘いだ……顔は……」
「っく、この……!!」
 激怒して再び全身に力を込めるがびくともしない。
 今はもう顔しか動かせない。
 なんとか逆転、もしくは事態を好転させる手段がないか周囲を見る。
(あ、そうだ)
 ベッドの頭側の物置スペースに置いてあったスマートフォンの存在を思い出す。
 なんとか上へ視線を向け探すが、そこにあるはずなのになかった。
 一瞬ギョッとしてから別の所へ置いたのかと記憶を辿るが、妖魔が答えを言う。
「無駄だ……あれは……今は……水の中だ」
「なっ!?」
「電話……といったか……あれも……使えなく……した」
 最悪の状況に加え、外部への連絡手段も絶たれていた。
 結界はまだあったようだが、あくまでそれ自体に妖魔が触れなければ効果はない。
 つまり、完全に手詰まりの状態だった。
 どうにか時間を稼がなければ―――
 だが、そうしたところで打開策はあるのだろうか?
 兎に角今は目先の事に集中する。
「ど、どうやって、私の霊力を……?」
「へっへっへ……お前に……俺の身体を……飲ませた」
「えぇ!? うぇぇ……」
 どうりで口の中が生臭いと思った。
 しかも同時に過去先生から教わったことを思い出す。


――――過去、学園での授業を受けていた時のこと。
「いいか、霊力というものは体温、熱に似ている、黙っていても少しずつ体外へ放出されているからな」
 教えているのはあの鬼教官こと酒匂先生。
「結界や式神といった任意に発動した物はそう簡単に霊力が出ていかないが、身体は違う、コントロール出来るよう常に意識しろ」
 先生は一通り教えると教科書を閉じて時間を確認する。
 もうすぐ休み時間だった。
「それから、間違っても妖魔の体液は飲むなよ」
「そんな馬鹿いますか?」
 琴美によく突っかかる荒井が笑いながら言った。
「山中での戦闘や遭難した際、川や湧き水に含まれていないとも限らないからな、皮膚に触れた場合でもすぐに洗え」
「もし飲んだらどうなるんですか?」
「量などによるが、体内の霊力と反発し合って自分の霊力が無くなる、熱いからといってアイスを馬鹿みたいに食えば内蔵の熱が奪われて腹を下すだろう、それみたいなもんだ、分かったか?」
「は~い」
「それに加えて身体が汚染されて新しく霊力が産み出しにくくなるからな、もし飲んだら……」



―――記憶はここまでで後はよく思い出せない。
 しかし、なぜ霊力が無くなったのか分かった。
 それも最悪な方法を用いられた。
 まさか自分が妖魔の身体を飲まされるなんて。
 絶句してしまったため、会話が途切れてしまった。
 よそ見している状態から、見たくもない妖魔の髑髏顔に目を向けると、口の部分から何か野太い触手のようなものを出していた。
「ひぃっ!?」
 舌というには余りにも太く気色悪い。
 だが、そんな表情を見た妖魔が口角を上げる。
「これで……お前を……舐め回した……気持ち良さそう……だったぞ」
 ナメクジの類いが嫌いな琴美にとって最悪な報告だった。
 が、妖魔はお構い無くそれの先端を口に近づけてくる。
「い、嫌、近づけないで……んっ」
 口を閉じて侵入を阻むが、唇に触れる。
 よりにもよって最初の口づけがこんな気色悪い物体になるとは思ってもみなかった。
 涙が滲んできても構わず口内にねじ込もうとしてくる。
(出来れば、やりたくないけど)
 琴美はある作戦を考える。
 今自由に動かせるのは頭と口くらいだ。
 この状況で最も効果的な攻撃が出来るのは噛み付きだけ。
 意を決して僅かに口を開き、口内へそれを誘う。
(うぇぇぇ)
 生臭さと粘液を迎い入れてしまう。
 我慢しながら数センチ程侵入させたところで、顎に渾身の力を込め噛んだ。
 上下の歯が触手の先端を切断する。
 だが、相手は痛がるそぶりを見せない。
 不思議に思っていると、口の中の粘体が液状に変わった。
「ごぼっ!?」
 一瞬溺れると思った次の瞬間、その液体は喉へ向かってきた。
「んぐっ」
 吐き出そうとしたが間に合わず、思わず飲み込んでしまう。
 すぐ咳き込むが、気持ち悪い感触が食道を下り胃に入っていった。
 直後に琴美の全身に更なる異変が起こる。
 起きた時よりも身体が火照り、肌の表面から汗が吹き出る。
 それだけではない。
 乳首と陰核がより固く勃起していった。
 まるで発情期の獣のように息が荒くなる。
「あぁ、何これ、な、なにしたの?」
「カッカッカ……言っただろう……俺の身体を……飲ませたと」
 失敗に失敗を重ねてしまった。
 冷静に考えれば口に相手の身体を含ませることなど悪手だった。
 だが、火照った身体と欲情した感覚に支配された頭では思考が鈍る。
 飲んだことはないが、酒を飲むと食道や身体が熱くなるという感覚はこれかと思った。
 心拍数や体温が上がり、珠のような汗が吹き出す。
 百メートルを全力疾走した後のように口を大きく開け、少しでも多くの酸素を取り込もうと激しく呼吸する。
 まるで餌を求める金魚のようだった。
(く、苦しい、熱い、助けて、誰か、助けて!!)
 あまりの失態に錯乱状態になるが、そんな琴美の目の前で髑髏頭が口を開いて近づけてくる。
(何?何!?何!?!?!?)
 もうどうしようもないし、どうにも出来ない。
 策も思い付かないでいると、妖魔はその口で琴美の口を塞いだ。
「んぐ!?」
 キス、というには余りにも粗雑で汚らわしかった。
 とても雰囲気のある状況でも相手でもない。
 欲望のままに襲ってくるゲテモノだ。
 先ほど噛み千切られたがすぐに直った舌が、強引に唇の間から口内に入れられる。
「ん~~~」
 もう液体とも個体とも分からないそれに口内をなぶられ、頬の内側も歯も舐め回されていく。
 味に関しても先程同様最悪のものだった。
 しかし、そんな嫌悪感とは裏腹に身体は快楽を感じてしまう。
 もうこの化け物にどこを弄られようとも、意思とは関係なしに感じてしまうほど汚染されていた。
「旨い……旨いぞ……お前の……涎は」
 口づけをしながら髑髏部分から発声してくるが、そんな感想は聞きたくなかった。
 必死で相手のそれを舌で押し戻そうとする。
 当然無駄な抵抗だが、それに相手が気を良くして絡めてきた。
(うぅぅ、いやぁ……)
 化け物とのディープキス。
 自分の舌をこいつが味わっているかと思うと吐きそうだったが、身体はむしろ受け入れていた。
 そうしてしばらく好き勝手にしてきた妖魔は、ようやく口を離して絡めてきた舌も出ていかせた。
 琴美はすぐに、弱々しくも唾液と一緒になった化け物の体液を吐き出す。
 粘液が口周りから頬を伝い首やシーツに落ちていく。
 口から出されるその様子に妖魔は再び笑う。
「良い顔に……なったなぁ……さっきまでの……威勢の良さが……消えているぜぇ……」
 琴美は反論しようとしたが、気力はなく代わりに涙が出てきた。
「さぁて……お楽しみは……これからだ」
「え……なに? きゃ!?」
 琴美の両腕と両足を押さえていた粘体が左右へ動く。
 まるで大の字のような体勢にさせられると、妖魔は顔を股に近づけた。
 何をされるのか察しがつく。
 そしてそれは的中していた。
「ひぃっ!」
 妖魔は琴美の秘所を下から上へ舐め上げた。
 すると、彼女の腰がビクンと震える。
「あっ! ひっ!!」
「ケッケッケ……良い味だぁ……もっと……もっと……もっとだ!!」
 琴美の反応が良かったためか、今度は口に含み、じゅるると音を立てて吸いながら激しく責め立てる。
 特に重点的に狙いをつけたのはクリトリス。
 舌で舐め、時には甘噛みする。
 口に含んで強く吸い、痛覚と同時に快感まで与える。
 そうして執拗にしゃぶった後、陰核の包皮ごと剥き、一番感じるところを露わにするとそこだけを集中的に愛撫した。
 琴美からは見えなかったが、そこは充血しきっていた。
 妖魔は秘所を重点的に舐めながら、両手を使って琴美の全身に体液を塗りつけていく。
 太腿、腹、二の腕、乳房、脇の下、臍、鼠径部など。
 あらゆる場所を丹念に撫でては粘液を擦り付けていった。
 その度に琴美の身体は跳ね上がり、艶のある声を上げてしまう。
 琴美の反応を見て弱いところを学習していった。
 どこをどうすれば彼女が感じるかが分かってくると、その部分をしつこく攻めるようになった。
「あ、ああ、や、い、嫌、だめ、んんんんんん!!!」
 弱点ばかりを狙われ、琴美は達しそうになる。
 しかし、唇を血が出る程強く噛み耐える。
(こんな、こんな奴に……)
 最後のプライドを支えに必死に我慢した。
 そんな抵抗は無駄とばかりに、妖魔は舌を激しく動かし両手で乳房を激しく揉みしだく。
「ひあああっ! ダメぇ!! イク! イッちゃう!! いや! いやあああ!!」
 激しい動きに耐えきれず、琴美は絶頂を迎えようとしていた。
 無論妖魔は止めるどころかさらに責め立てる。
 込み上げてくる快楽を抑えようにも次から次へと刺激され、決壊寸前のダムのように限界が来るのを感じた。
(もうっ……無理っ……耐えられないっ……!!)
 ついに我慢の限界を越えた。
 壊れたダムから大量の水が流れ込んでくるように、受け止めきれない快感に襲われる。
 上半身を弓なりに曲げ、背中が僅かにベッドから浮く。
 悲鳴に近い金切り声が部屋中に響き渡った。
 自慰行為よりも遥かに強く強制的に享受させられる暴力的な快楽に頭が真っ白になる。
 肺の中の空気を全部出して叫んでもまだ
収まらない。
「あ……ッ……ぁ……」
 身体が酸素を求めるが、未だ快楽の頂点から降りてこれない琴美はまだ声を出そうとする。
 しかし、酸欠状態になり痙攣し始めた。
 脳に酸素が行き渡らないせいで、視界が白黒の映像になる。
 あと数秒で窒息するかと思われたその時、ようやく快楽の感覚が下降し肺一杯に空気を吸い込む。
 目の前がチカチカした。
 舌を出して激しく呼吸する犬のような無様な姿を見せているが、取り繕う余裕など微塵もない。
 最悪の相手に最高の状態にされるという屈辱に、心身ともに疲れ果ててしまう。
 だが、妖魔は満足していない。
 むしろここからが本番と言わんばかりに醜い笑顔を見せている。
 それと平行してある変化が起きていた。
 元々妖魔の身体はスライム状のものに顔や手足が生えたような単純なものだった。
 しかし、琴美の体液を吸収していった影響か、上半身が人間のそれに近い形に変わっていく。
 というよりも、急激に進化しているようだった。
 それもそのはず、この妖魔は相手の身体を吸収することで成長、変化してきた個体だ。
 優れた相手の血肉や体液を取り込めば、その遺伝子情報を元により良くなっていく。
 琴美の体液を吸収したことで、単純な粘体よりも人の形をしたほうが良いと細胞が判断し、妖魔本人の意思とは関係なく変わっていく。
 最初に硬化した内部の部位は頭蓋骨に当たる所のみだったが、徐々に脊髄のようなものが形成されていき、赤黒い内蔵のような肉塊も出来ていく。
 人間と全く同じではないが、妖魔自身の身体能力を向上させるのに必要な内蔵となっていった。
 それに伴い、気分が向上したのか両手で琴美の腰を掴んで持ち上げた。
 下半身はまだスライム状のままだが、下腹部を愛液まみれのそこへ擦り付ける。
 すると、呼応するように腹部周辺の細胞が集まり突起していく。
 最初は指くらいの大きさだったものが、太く大きくなる。
 天井を上の空の状態で見ていた琴美も、何か違和感を感じて視線を妖魔と下半身に向けた。
「ぇ……なに……?」
 一瞬、それを理解出来なかった。
 だが、数秒間見つめていると、それが何なのか理解した。させられた。
「ま、まさか……それって……」
 震えながら青ざめる。
 琴美が見たそれは紛れもなく男性器だった。
 他の半透明な粘体とは違い、固く凝縮しているせいか白く濁っている。
 白いゴムを無理矢理圧縮したかのような見た目に恐怖した。
 実物はその目で見たことはないが、保健体育の授業で何となく分かっていた。
 しかし、今下半身の近くにある物はそれよりも凶悪で醜悪であり、存在感をアピールするように上を向いて脈動している。
 おぞましさから目を見開いていると、視界に笑みを浮かべる髑髏顔が映りこんでくる。
「これから……これを……入れてやる」
「ひぃっ!?!?」
 頭では分かっていた。
 だが、ここまで追い込まれても現実逃避したかった。
 妖魔の雄が人間の女に対してすることなど決まっている。
 今までも他の人が被害にあったということは本部からの報告で知っている。
 その被害者に、今まさに自分がなってしまう事実から逃げたかった。
「いや……イヤ……いやあああああああ!!! 誰かぁ!! 助けて!! お願い!! 誰かぁ!!!!」
 顔を左右に激しく振って全力で拒絶の意思を示す。
 だが、このマンションの防音は優れている上に深夜で皆寝静まっている。
 連絡手段もなく武器である刀も隣の部屋。
 霊力があれば引き寄せられたかもしれないが、全くないため不可能。
 もう泣き叫ぶことしか出来なかった。
 そんな琴美の大切な場所。
 まだ誰も受け入れていない所の入り口に、凶悪な肉の槍の先端を宛がってきた。
「ひぃぃぃ!?!?」
 まるで刃物の先端を押し付けられた気分だった。
 腰を左右に振って逃れようとしても、その力強さと重さのため大して動けない。
 妖魔は両手でその腰をしっかり掴んで固定すると、いよいよ狙いを定める。
 彼女が今まで大切にしてきた純潔の証に、異形の肉棒が押し付けられる。
「や、やめ……」
 涙ながらに怯えた表情で嫌がった。
 それが妖魔の加虐心を刺激する。
 数秒の沈黙と静止した時間が長く感じられた次の瞬間。
 ついに妖魔は琴美の初めてを奪った。
「んぎいいいいいいぃいいっ!?」
 琴美はあまりの激痛に悲鳴をあげ、その衝撃に目を見開き、全身に電流が走ったような感覚に襲われた。
 そんな彼女に構わず、妖魔は腰をより前へ突き出す。
「いや、やめて、お願い、痛いっ痛いよぉ!!」
 泣き叫ぶ琴美の声を無視して、激しくピストン運動を繰り返す。
 琴美の中でそれを出し入れしたりしながら膣壁を押し広げていく。
 初めての性交だというのに、まったく優しさなど感じない。
 ただ欲望をぶつけるだけの乱暴な行為に
結合された部分から血が出ていた。
 ショックと激痛に涙が止まらない。
 反対に妖魔は歓喜していた。
 身体を隅々まで舐めた時や口内をなぶり回した時より、自身のそれが遥かに心地よい感触に包まれていたからだ。
 さらに琴美にとって最悪な状況が重なる。
 なんと肉棒が破瓜の血を吸収、それによに妖魔の身体はさらに強化され色も赤黒い物へと変化していった。
「おお、すごいぞ、お前の身体は、俺の身体が、強くなっていくぞ」
 言葉も流暢になってきている。
 しかし、琴美からすれば気にしていられない。
 悔しさから涙が零れていた。
 そんな彼女に追い討ちを掛けるように上に覆い被さると、再び強引に口づけをした。
 眉をひそめて嫌悪感を露にするが無意味だった。
 口内も、膣内も好き勝手に蹂躙されていく。
 妖魔の腰が前後に動く度に激痛が走るが、やがてそれは熱さへと変わっていく。
 催淫効果が裂けた部分の痛みにも作用してきたようだった。
 それによって、裂けた部分よりも奥の所からの刺激に僅かずつではあるが気持ち良さを感じてしまっていた。
 だが、そんな感覚は救いにはならない。
 こんな化け物に犯され気持ち良くなる位なら、いっそ全ての感覚が感じなくなるために死んでしまいたかった。
 だが、琴美の僅かな表情の変化を妖魔は見逃していない。
 口を離すと、二人の唇の間に唾液の橋が掛かった。
「感じて、きたか?」
「なっ!?」
 羞恥心から耳まで熱くなった。
 その抵抗する意思が一瞬緩んだ瞬間、一気に奥まで突き入れた。
「ひゃんっ!?」
 不意打ちに琴美自身も予期せぬ声を上げてしまった。
 明らかに奥の方の感触で感じてしまっていた。
 それが分かると、今度は腰を回して肉棒の先端で膣内の奥を掻き回す。
「っ!? あぁあああ!!そ、 そこだめ、だめぇえええ!!!」
 今まで以上に激しい快楽に襲われる。
 膣内にまで侵入してきたそれは、奥深くまで突き刺さって子宮口にまで届いた。
 それだけでは終わらず、中で暴れまわりながら何度も出し入れを繰り返す。
「ひぐぅう!? そ、そんなとこまで……だ、駄目ぇ!!!」
(なんで、なんでこんなやつに気持ち良くされてるの?! 痛いのに気持ち良いなんて、変だよぅ)
 初めての挿入による快楽に恐怖を覚え始める。
 だが、気持ち良くなる感覚は事実だった。
 抜き差しされるたびに痛みが薄らいでいき、頭の中が真っ白になりそうなほどの強い悦楽に変わっていく。
 その時、妖魔の動きが止まった。
 ようやく終わったかと思ったが何か様子が変だった。
 琴美からは見えなかったが、妖魔の変化はまだ終わっていなかった。
 男性器が生えている下腹部。その根本の奥の部分。
 本来外に露出しているはずの精巣がそこに形成されたのだ。
 元々相手の体液や死骸を溶かし吸収するだけの身体だったが、急成長するに伴い生殖機能を生成されたようだ。
 直前まで射精機能が無かったため、妖魔自身絶頂しても精液はないので出ない。
 しかし、必要とされたことで急速に作り出されたことを本人は感覚で分かると、肉棒の先端を琴美の子宮口へ押し当てた。
「ひっ!? な、なに?」
 内蔵を下から押される感覚に苦しさを感じたが、突如動かなくなったことで不思議に思った。
 だが、次の瞬間、妖魔は身体を震わせると熱い液体が胎内を満たした
「いっ!? なに……これ……ま、まさか……」
 さらなる絶望感が襲う。
 琴美は本能的に膣内射精されたことを悟った。
「い、いやああああああ!!……こんな、こんなの、抜いてよぉ……」
 必死に懇願するが聞き入れられるわけもなく、妖魔は再び動き出した。
 先程より激しく腰を打ち付けてくる。
 パンッ、パンと肌と肌が激しくぶつかり合う音が響く。
 肉棒の抽挿に合わせて結合部からは愛液と血液が混ざったピンク色の粘液が大量に漏れ出していた。
 一突きされる度に艶がかった呻き声が口から出てしまう。
 そんな状況下で琴美はあることに気がついていなかった。
 それは、すでに処女膜が破られた痛みがほとんどないということ。
 ゲル状の妖魔の粘液が傷口に染み込み、出血を止めていたのだ。
 云わば琴美の傷と妖魔の粘液が融合して擬似的に治ったのだった。
 でも、今の琴美にとってそれは幸運なことなのか。
 敵によって痛みを取り除かれ、強制的に快楽を与えられているこの状況は少しも嬉しくない。
 むしろ屈辱的であった。
 だが、琴美の身体は本人の意思とは逆に受け入れ始めていた。
(なに、なんで……さっきまで痛くて気持ち悪かったはずなのに……どうして?)
 徐々強くなっていく快楽に戸惑いを覚える。
 最初は苦痛しかなかったはずなのに、愛撫され絶頂させられた時のようにまたも快感を感じ始めた。
 しかも今度は痛みがない分、余計に感じやすくなっていた。
「あっ、んくっ、ふぁあ! いや、やめ、てぇ……」
 嫌がりながらも喘ぎ声が出てしまい恥ずかしくなる琴。
 それでも容赦なく責められ続けるうちに段々と快楽が増していく。
 そしてついに限界を迎えようとしていた。
(あ、あぁ……も、もうダメ……また、イクっ、イッちゃう、こんなやつに、いやなのにっ!)
 必死に耐えるが、先程からイヤらしく表情を見てくる目の前の髑髏顔がニヤつく。
「遠慮するな、お前の中、さっきより強く、締め付けて、くるぞ」
 自分の身体状況がバレていることに恥辱心が刺激されてる。
 その感情がさらに快楽を強める。
「お前が、イクと、同時に、出してやる」
 妖魔は琴美の身体を持ち上げると、天井に向かって力強く腰を打ち付けた。
「ひぃ、いや、だめ、い、イキたくない!」
 抵抗しようにも、両手両足ともに粘体に取り込まれるように掴まれたままで離れられない。
 そのまま何度も奥を突かれると遂に我慢の限界に達する。
「ひ、ぃ、や、イ、ぃ、いっ……いくうううううう!!!」
 ビクンと大きく痙攣し、身体を弓なりに仰け反らせながら琴美は果てた。
 それと同時に膣内の締め付けが強くなるのを感じた妖魔は大量に射精した。
 両者共に痙攣するように震え、しばらく余韻に浸る。
 琴美はまたも化け物に絶頂させられ中に射精された絶望感から。
 妖魔は狙っていた女退魔士を好きに凌辱することが出来た喜びから。
 まるで恋人を相手にするように、妖魔は琴美を抱き締めた。
 未だ絶頂の余韻から痙攣している琴美は、ブヨブヨして赤黒く上半身が人間に近い粘体に抱き締められていることに抵抗できない。
 もう指一本すら動かせなかった。
 そんな彼女の身体を少し離し、見つめ合う妖魔。
 おぞましい髑髏顔が目の前にあるというのに顔すら背けない琴美は成すがままだった。
 妖魔は口から舌を伸ばす。
 今度は半透明のそれではなく、血の通った肉塊のようなグロテスクなものだった。
 それの先端を、琴美の唇に当てる。
「ん……」
 拒む気力も体力もなく、そのまま肉塊のような舌を受け入れる。
 それはやはり生臭かったが、もう抵抗する気力すら湧かない。
 好きなように口内を舐め回され、感じてしまいビクッと肩が動く。
 数分間もの間、歯茎や頬の内側、前歯の裏側を思う存分堪能される。
 ある程度満足すると、妖魔は舌を引いた。
「クックック、お前は、気に入った、俺の身体は、まだまだ、液を出せるぞ」
 人間とは違い、体内の細胞や粘体、粘液を用いて自由に別の液体に変えられる能力を利用し、存分に精液を精製するつもりのようだ。
 彼女にとってはまだまだ地獄は終わらないという宣言だったが、もう絶望する気も起きなかった。
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