夜の目も寝ず見える景色は

かぷか

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インセット編 

17 ★

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「ソード好き」

「ん…ぁ」

 何度言われたかわからないぐらい自分の名前と愛を囁かれる。頭がその言葉でいっぱいになり思考を無くさせる。
 前にインセットに無理やり犯された時と違い今は自分が受け入れている事への罪悪感があった。
 二人への裏切りだと分かっていたが止められなかった。インセットの熱く激しい行為はソードを熱くさせた。

「ブレイク…あっ…熱ぃ」

「ん、俺も…」

 火照った体がお互いに重なり汗がじっとり引っ付いた。髪を掴み求め合う激しいキスは感じるままに。

インセットが腰を掴み打ち続けそれに体が答える。
汗がソードのお腹に飛び散る。こんなにもお互いが息を切らせ交わる姿はみたことがなかった。

甘い声と打ち付ける音が響き渡る。

「ソード好き、愛してる」

「ブレイク…ブレイク…あっあっあっ」

揺れる体はインセットを求めひたすら溺れる。刹那的な抱きかたをする様子に胸が苦しくなった。腰は動いたまま、解放へと向かう。

「怖い?」

 頷くソード。

「大丈夫」

「あっあっ、でも……」

「大丈夫。俺達しかいない」

「んっんっ、でも…言えないっ…」

「怖くないよ。誰も責めない」

「あっあっ」

 涙目になる。

「俺しかいない。罪悪感よりソードの正直な気持ちを」

「言えない」

 涙が伝う。

「大丈夫だ」

「あっあっ…言ったら言ったら駄目なんだ。壊れてしまうから、俺が俺でなくなる」

「ソード大丈夫…受け止めるから」

 インセットは頬を伝うソードの涙を指で拭う。そして愛おしそうに見て髪をなでた。

「ブレイク…ブレイク…怖い…」

 涙が溢れ出す。

「ソード…大丈夫、受け止める…」

「うぅ…」

「大丈夫」

「……ぁっ」

「好きだよ」

「うぅ…好き…ブレイクが好き」

「うん」

それを聞くと一気に腰を打ち付け最奥へ流し込む。

「ああああ!!」

「ね、大丈夫だったでしょ」

「あっあっあっ!!いく、いく!」

「ん、いいよ」

涙を流すソードは果てたがインセットはやめない。泣きじゃくるソードは自分の正義がわからなくなる。

「ああ、ブレイク…俺…俺…酷い」

「何で?」

「レイとロキ裏切ってる」

「そんな事ないよ」

「何で、何で…あっあっ」

「二人の事好きでしょ」

「好き…愛してる」

「なら、裏切りではないよ」

「わからない、ああっ」

「ソード…今は自分に従えばいい」

「あっあっあっ…わからない…うっうっ…うっうっ」

 ソードにキスを繰り返した。

「あぅ…あぅ…あぁ」 

「今は考えるな…本能のままに」

「ブレイク…んっ…ずっと言いたかった」

「うん」

「好き…好き…ブレイク好き。大好き」

「うん、俺も好き」

「…ブレイク愛してる」

「っっ!」

 その言葉を言われた瞬間、ブレイクは激しいキスをした。ずっと待ち望んでいたその言葉を閉じ込めるように。ソードは考えるのをやめ本能に従った。
そしてお互い求め合い絡み合った。


「ブレイク…いけない事をしてるのに頭と心がスッキリしてる」

頭やおでこ、唇にキスをするインセット。

「ん、ソードの最大の禁忌は矛盾だよ。矛盾を認められないでいた」

「矛盾?」

「そう、矛盾してるから矛盾なのに。矛盾を無理やり正しくしようとしていた。そこからソードの心は大好きな二人といて幸せが不安に変わり捨てられたくない、置いてかれたくないって思ってたかもね。そんな制限を強くしたのかも。それとこれは予想だけと何のきっかけかはわからないが辛い事を急に思い出したんじゃないかな」

 幼くなったのは虐待を受けた影響だが…これは言う必要がないな。本当に助けて欲しかった頃に戻ってしまったんだな。ごめんな、探せなくて。

ソードにとっては難しい日々だったが俺は昔できなかった事ができて不謹慎ながら幸せを感じたよ。

「だから俺がソードの一番思ってる事を引き出した。そして、ソードが抱える矛盾を受け入れなければいけなかった」

 仲間が欲しかったソード
 俺を好きになる矛盾を抱えたソード
 訪れた幸せを掴まないソード

 ソードの思いは…

「それをいつか、あの二人に話せるといいな」

「うん」

 あの二人が大切過ぎて言えなかったよな。

「でも俺は…あの二人よりブレイクが…好き…って事?」

「ふふ、レイとロキのが好きだろ?」

「……。」

「嘘はつかなくていい」

「うん」

「俺達は師弟愛だ。つまり、ソードの中で二人の下に俺がいる。優先度の高さはあの二人で間違いないが、全てがそうではない。たまに俺を一番にしたかったんだよ」

「それだと…」

「許されないって?」

「うん…」

「だから、矛盾の受け入れが必要なんだよ」

「許されないって誰に言われた?俺達だけで成立する事だ。まぁ、レイとロキが気になってるんだろ。あいつらはそんな柔じゃない。そのうち認めるさ」

「ならブレイクは…その為に俺を抱いたの?」

「まさか、俺は前から言っているだろ?ソードが好きで愛してるって。利用しようとやったと思うならそれでもいいよ」

ソードは首を振る。
昨日の行為はそれとは程遠く情熱的だった。

「俺…すげぇ、ずるい。あれもこれも欲しいなんて」

「あはは、欲しいものが重なったなら全て手に入れれば良い。俺は構わない、もしそれであいつらが諦めてくたらソードを独り占めできるしな」

「俺…」

「罪悪感は必要無いよ。俺がお前を抱くのは愛が有り余るからだ」

「だけど…」

「受け入れろ…大丈夫。悪いようにはならないよ」

 なぜだかインセットの大丈夫と言う言葉は嘘ではないと安心する。昨日の、解放感は自分も否定できなかった。

「昨日は気持ち良かっただろ?」

「ちょっ、ブレイク!」

真っ赤になるソード。
ぎゅっとソードを抱きしめた。

「嬉しかった。俺の事好きだって、愛してるって、言ってくれて」

「ブレイク…」

「分かってる、レイとロキだろ」

「うん」

「別にあの二人から奪うつもりもないよ。ただ、せめてここにいる時は俺を頼って俺だけのソードでいて。愛の溢れる師でいさせて」

「わからない…」

「うん、それでいいよ」


 インセットは優しくキスをした。   
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