ドルメンの館

かぷか

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番外編

招かれざる猫 4

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 すっかりスワロフの匂いを付けられたニオはベッドで眠る。まだまだ足りなかったがとりあえずは自分が正気を保てるまでには回復をした。

「シスに会いに行く」

「はっ、スワロフ様。愚かな意見ですがニオさんを置いていかれた方が良いかと」

冷たい目線がモノを刺す。
今のスワロフに意見を言うことは自殺行為でもあった。

「シスだけでは話の進みの効率と情報が少ないです。それに昨日からの交わりで体力も無いです」

尻尾がペシペシと揺れる。

そんな事はわかっていると言いたかったがモノがこの状態で口を挟んだのはニオと自分を思ってだということに言葉を飲んだ。

「俺の行動に間違いはない」

「はっ、申し訳ございません」

「お前にそんな愚言を言わせるほどだったか」

「申し訳ございません」

「いい、昨夜より冷静だ。このまま連れていく。シロも用意しろ。あいつも起きてるだろうからな」

「「はっ」」

 準備を整え三人は悪魔の姿で鍛冶屋へ向かう。鍛冶屋はいつも通り開いていた。店の前に飛び降り中に入ると適当な椅子を掴み座る。

 シスはただならぬスワロフ達の雰囲気に諦めがついた。持っていた道具を下ろしスワロフの前に跪く。

「シス」

「わかっている」

「何がだ」

「主印のついた奴としたんだ、ルール違反だ」

「認めるのか?」

「スワロフ様が来たなら認めるしかない」

「他に言うことは?」

「ない」

 シスは立ち上がり逃げないから少し待って欲しいと言い店の外にでて閉店と札をさげた。

 戻るとどうぞとスワロフの前に首を差し出した。呆れたスワロフが鼻で笑う。

「いささか潔すぎるな」

「主印持ちに手を出せば…ましてやスワロフ様の愛人あいととなれば当然です。こうして話ができる事が不思議で仕方ないです」

「心当たりが?」

「心当たりしかない」

目が殺すと言っていた。
それを知っての潔さだったが今のスワロフにはそんな行動が見たいわけでは無かった。

「お前の潔さは認めるが俺の聞きたい事が一つも聞けていない。話せ」

 昨日起こった事実を全て話した。ニオに起こされ自分の上に股がり誘惑してきたこと。あしらったがまた起こされせがまれたため耐えきれず夢だと思いやったと。

 夢だと思ったのはニオの頭に猫の耳とお尻には尻尾まであったからだと話した。そして、最後に主印をしているニオに口を合わせキスをしたら消えただった。

話が進む度に周りが淀みむせかえるような空気になる。喉は渇き皮膚が切れそうだった。

シスは話したとて変わりないのはわかりきっていて全て話をした後にやはり首を差し出した。そんな行動にイライラしたがまだ聞く事があった。足で顎を持ち上げ顔を上げた。

「おい、まだだ猫はこいつと同じか…」

籠に入るシロをオクタが見せた。

「暗がりで分かりにくかったが白色に近かったと思います」

「そうか、首輪をしていたか?」

「はい、同じかはわかりませんが似たようなのをつけていました」

質問にしっかりと答えていくとスワロフは下を向いて震えだした。何事かと思ったが最後だと感じシスは目をつむり正直に答えた。
モノはわざわざ傷を抉らなくてもいいのにと思ったがスワロフは聞かずにはいれなかった。


「最後に……ニオは……良かったか……」

「はい、最高に良かったです」

スワロフは思い切り机を爪でばり掻いた。

先程から片手で大事に抱えるニオをばり掻いた机の上に寝かせた。ニオは毛布一枚目にくるまれ寝ていたがその毛布を下に敷き全て露になった状態で皆の前にさらけ出された。

寒さでニオは眉間にシワを寄せ起きようとするも体がだるくて動けなく声も昨日の行為で出せなかった。

「何をしてるんですか!?」

シスが思わず問うとスワロフは頭に手を置き、起きなくていいよと言い楽にさせた。完全に意識を落とすニオ。

今度は籠を取り出しシロを出すと机に置くやいなやシロの体が半透明になり一体は籠へ二体目はニオの中に入って消えた。

するとニオの頭から耳と尻尾が生え、ニオが二重にぶれた。二体目の猫の姿のニオがゆっくり起き上がった。

三人は驚いて声もだせなかった。
寝ているニオと起き上がるニオは紛れもなく同じニオだった。実態はあるが気配はない。魂がないと言った方が良いだろうか。

「あ、シス~」

起き上がった猫のニオはシスを見つけると抱き付こうとした。スワロフがすかさず腕を掴んで止めた。

「何?」

「貴様は誰だ」
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