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51 訓練学校
しおりを挟むガルシア剣術訓練学校は、ヒューズ学校の姉妹校である。そのヒューズ学校の剣術戦科に劣らず、その学生達の能力は高い。大半が剣士や兵士といった国に携わる職につき将来有能な生徒達ばかり。学校は全寮制で18歳の成人職の式までそこに在籍する。17歳になるまでに自分の職を決め、17歳に決めた職業訓練を1年間行い18歳の成人と共に晴れて職に就ける。
「次!」
「ほんと、レオ先生タフだよな。何人相手してんだよ~」
「凄いよね」
「ロキはもう決まってたよな、職業訓練どこ行くか」
「うん、俺は冒険者になりたいから冒険者訓練に行く」
「だったよな、うちのクラスでも何人かいたような。俺は剣士になるけど心折れそう。訓練もっと厳しいんだよな~」
「そうなんだ」
「次!」
ロキは17歳になり、後数ヶ月したら職業訓練生になる。訓練生になると、寮への規則もほぼなく各自の職業に合わせた生活となる。学校生活は実質もうすぐ終わる。
「次!」
「次!あ?誰もいないのか?」
見渡すと周りはバテてへたりこんでいた。
「はい」
ロキは剣を取り、レオの前で構えた。
「よし」
キンと激しい音がなり、レオの間合いに入り込む。その音で周りの目が覚める。キンキンと激しく音がなる、いつもはささっと手加減して終わるのだが今日はなぜか終わらなかった。
くるくると剣を回しつつレオの懐に入ろうとするが防がれた。すぐに次の一手を出すがそれも塞がれる、だんだんとスピードが上がりレオを押し始める。ロキは楽しくなってしまい止めれなかった。
周りがザワザワし始める。更にスピードが上がりそうな時に、レオが一気に近より「やりすぎだ」とニヤリと笑いロキの肩を蹴り飛ばした。
ドカンと、壁にぶち当たりロキは倒れた。
「って~」
わらわらと学生がロキに近寄る。
「大丈夫か?」
「ぶっ飛んだぞ」
「ん、大丈夫。やっぱ先生は強いな」
と、笑って見せた。皆は「当たり前だ」と呆れていた。そんなロキを見て口元が自然に少し上がったがそれに気付きレオはすぐにもとに戻した。
「次!」
□□□
ザクザク…ザクザク
「おい、ソード。そんな所、掘るなよ」
「……。」
ザクザク…ザクザク。
「しかも、自分の剣で掘るな。折れるぞ」
道端でがしがしと自分の剣を突き立て穴を掘っている。そんな場所で、二人は待ち合わせをしていた。
「お、久しぶり!」
「久しぶりですレイさん!ソードは?」
「あそこ」
「何やってんですか?」
「さあな」
だんだん楽しくなり、その場で剣を使って絵を描きはじめは。じじじぃーっと好きなお菓子を描いていたら後ろから声がした。
「それ、なんですか?」
「これは、角にある店のクリームのお菓子」
「へー」
はっとソードが振り向くと、そこにはロキがいた。
「ロキ!」
「ソード!!」
二人はぎゅとハグをしたが、ソードが何か気がつく。ものすごい違和感に。
「なぁ、ロキ。お前、背またでかくなってる!」
「あ~何か、いつの間にか伸びたみたい」
「えーえーえー違和感しかない」
ソードを見下ろすロキの顔を手で押した。
「見下ろすなよー」
そんなソードの抵抗も全く効かず、ロキはハグをして捕まえた。わーギャー言ってるソードをそのままにロキがレイに訪ねた。
「何でいじけてたんですか?」
「ロキに全然会えないからだとさ、あんまり連絡無いからレオにとられたと思ったんじゃね?」
「ソード可愛い!」
ロキと会うのは約半年以上ぶりになる。大きな休暇もあったがロキは寮に残りずっと訓練を重ねていた。今回は、もうすぐ始まる職業訓練のため登録申請に来ていた。
これが受理されると、仮の冒険者になれる。また、どの冒険者と組むかはランダムな為ソード達と組めるとは限らなかった。1日に2組まで組めて実績回数は200回以上、それを達成すると修業と同時に資格プレートが渡され冒険者として認定される。
「もーいい、ロキ離せ」
ちゅっと頭にキスをしてハグする手を外し目的の場所へと足を進めた。
あまりガルシアでも立ち寄る事の少ない場所の一つで役所の中にある訓練申請所。一度ここに来たら次回は、再発行か違反者にならない限りは来ない。書類を書き終わり受理される。暫くすると仮のプレートが学校に届く。
手続きを終え、建物から出て話し始める。
「ロキの装備一式は学校が提供?」
「はい、学校が全て手配してくれます。冒険者の斡旋もそこでしてくれるので余程変なチームには当たらないかな?」
「そうだな、ここなら大丈夫だな。レイもこんな感じだった?」
「あー俺もそんなに変わらないかも。魔術は数少ないから重宝されてたし、問題あれば冒険者のが叩かれて違反者になるかなら」
「だな~今年の冬も学校か?」
「はい、すみません」
「ロキのしたいようにしたらいいさ」
「だな~レオにまた鍛え上げてもらえ!」
「はい!」
ほんの一時の三人の時間はあっという間に過ぎていった。
□□□
雪が解け、また暖かい季節が到来する。早朝から音がする。キンキンと二人には聞き慣れた音が。
「ロキ、昨日仮のプレートが届いたから後で渡す」
「はい!」
「はぇ~な、もう仮かよっ、ついこの間まで小さかったロキが」
「レオさんっ、オッサンくさいです、よっ!と」
朝の稽古が来月から減り、レオが残念そうに剣を振りながら話す。
「レオ、さんは、来月から、どーなるんでっすか?」
「俺か~他の生徒見つつ、成人職の式が終わるまでお前らの管理だな」
「そーで、すかっ」
「俺の、朝の稽古とストレス発散の場が減るな~」
「ちょっと、ストレス発散にっ使わないでくださいよ!」
キンキンと剣音が響いた。
「今日は、この辺だな。後でプレート取りに来い」
「はぁはぁ…わかりました」
そう言い、短めの朝稽古を終え部屋に帰った。レオが部屋に帰ると、机の上に封筒が置かれていた。その豪華な封筒にため息をつく。中身を見るとこなくその封筒を引き出しにしまった。
熱いシャワーを浴びながら「最後だな」と呟いた。いつもより長いシャワーはロキを待たせるほどだった。
「わりぃな、待たせた」
「いえ」
「えーっとこれな。後は書類よく読んどけ」
「はい、ありがとうございます」
書類とプレートを手渡した。ロキが退室しようと部屋のドアに手をかけた時レオに言った。
「俺も朝稽古無くなるとストレス溜まるのでまた来ます。でわ、失礼します」
バタンとドアが閉まった。
「ははは、本当ソードそっくり」
ロキの言葉に嬉しくなり、気合いの入るレオのその日の授業は生徒にとっては地獄だった。
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