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3 ソードとレイ ①
しおりを挟む「またソード、フード被ってます」
「だな」
俺がソードと出会ったのは俺が18歳の時。まだ、冒険者として駆け出しもいいとこだった。
冒険者になるやつなら度胸試しに『夜の魔の森』と決まっていた。
森の中は酷く暗く、寒い。上級者ですら森の3分の1すらいけないと聞いた。未開発で謎の多い森は危険区域に指定されている。許可無くして一般人は入れない。ただ、冒険者は別だ。国の依頼や討伐、調査の為に特別に許可されていた。
俺もその1人で、意気揚々と夜の魔の森へと向かった。もちろん度胸試しといえど、ちゃんと情報収集して討伐する魔獣の種類や弱点は調べあげていた。じゃないと、命がいくつ在っても足りない。
そーいや聞き込み情報で、まことしやかに噂になっていた話があった。『闇夜の者』だっけか。なんでも、夜にしか現れないそいつが魔の森を通ると魔物が避け、その漆黒の目をみたら黒炎で焼き殺されるだっけか?
魔物語りの様な話だが、会った事あるやつがいるだの話をした者がいるだのと噂されていた。
見たら焼き殺されんのに、どうやって話すんだよ。
と、そんな事を思いながら1体の魔獣を追いかけていた。意外とスタミナがあって足も速く、後少しあと少しと森の中へ引き込まれた。
奴を見失うまいと、森を深追いした。
「やべーな入りすぎたか」
帰り道はわかる。が、これ以上追うとヤバイと俺の脳が信号をだす。幸い、今日は満月だ。森が少なからず明るいし悩む。
「帰るか、命あっての冒険だしな」
悔しいが仕方ない。
向きを変えて戻ろうとした瞬間、黒い生き物が木々の間から風を斬るように通り過ぎていったのが視界に入った。
何だ!?人か!?魔獣は取り逃がしたが、もしかしたら何かレアなのが見れるかもしれない。後ろ姿は人!好奇心が勝ってとまらない。
冒険者なら見てみてぇ!
あの早さ、俺より強いのは間違いない。どうする、追うか。
迷ってる暇はねぇ!今逃したらダメな気がする!
少し追いかけた所で、開けた場所にでた。あの光景は今でも目に焼き付いて忘れられない
12…いや13体の魔獣の群れだ。思いがけない光景に俺は隠れるのも忘れ、木と木の間に立ち竦んでいた。
追うんじゃなかった、俺は心底そう思った。魔獣の何体かは俺に気づいて唾を引いていた。
「ぐっ…」
と唇を噛みしめた瞬間。
「14体か?」
どこからか声がした。
そうしたらものすごい早さで左右交互に魔獣に斬りかかり、バタバタと倒していく。倒れた魔獣を足蹴に次々斬りかかった。
早くて目で追えね!
12体目で剣がパッキンと軽い音をたてて折れた。
折れた刃先を無理やり足で押し込み倒した後、13体目に向かった。
おいおい、剣折れたぞ!やべーんじゃねぇの!
そんな俺の不安をよそにそいつは折れた剣を使い、荒々しく目を突いて倒した。その顔をみた瞬間、心を奪われてしまった。
その目の色は焔色に光り、生き物の様に輝いていた。
それはあまりにも美しすぎて、思わず俺は自分を見て欲しくて声をかけた。
「おぃ」
間抜けな掛け声。だが、こちらをハッキリ見つめた焔色の目が俺をとらえて近づく。堪らなく、手を差しのべようとしたら
「わりぃ」
といって
俺の左に納められた剣を抜き取り、斜め背後から出てきた14体目の親玉を見た。そして俺の肩を足蹴にして空中へ飛び、脳天から突き刺した。大量の血が吹き出しさらにトドメとして、2.3回ブスブスと刺した。
魔獣の肩に乗り満月をバックに、焔色の目が美しく光続けていた。俺は完全に見惚れていた。
「この剣すげー斬れるな」
といって血みどろのついた剣を振り、血を払い俺に近づいてきた。戦ってる時はよく分からなかったが今なら月光でよく見える。
黒髪に黒いマント。上は白のシャツ。ベストは黒に所々シルバーや黒の刺繍。胸元辺りのポケットには…眼鏡か?パンツとブーツも黒い。
背は俺より低いか。観察すればするほど知りたくなる。
焔色の目がまだ輝いて、見惚れた俺に剣を差し出してこう言った。
「すみませんでした!!」
「は?」
一体何を謝ってるのか「???」過ぎて剣を取りじっと目を見つめていたら、その顔がだんだん青ざめていき焔色の目は黒色に落ち着いた。
そいつは急いでその場から逃げて行った。
「……くそぉ、逃げんなよ。お礼も言えてねぇ」
何とも言えない悲しい気持ちになった俺は、倒れた魔獣へ目線をむけた。素材になるものを集めれるだけ集め月光の中、魔の森を後にした。
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