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松編 ③

12 松 ②

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「ただいま」

「お帰りなさいませ。お疲れさまでした」

「あ~疲れた」

「お食事はどうなされますか?」

 いつの間にこいつは家事ができるようになったんだ。龍空が教えたっぽいが正直、超助かる。

「食べる。ソルトありがとう」

「いえ、これぐらいお任せください。買い物に行けないのは申し訳ないです」

「てか、龍空は今日来た?」

「はい、ですが午後から授業があるとのことでしたので今日は午前中のみお越しになられました」

「そっか」

 いつ言うかな…
 あいつの機嫌の良い時で時間の有るとき。てか、まずはどこから話すんだよ。絶対質問攻めになるのは間違いない。今でさえ俺の友達ってだけでこんなにも興味もってるのに。

「はぁ~」

それと会社の人の付き合いもいい加減鬱陶しいから半永久的に誘いを断る理由を考えないとな。

「はぁ~」

「とら様、いかがなされました?」

「ソルト、食べるけど先にストレス解消したい」

「はぃ、喜んで」

 上着を脱がし松をマットに押し倒し松のベルトを外しボタンを片手で外しチャックを下げる。ズボンをずり下げ下着姿の松はシャツのボタンを外した。
ソルトは下着の上から松の陰部をパクりと咥え形をくっきりさせた。そして下着をずらすとその形どおりの松のものが露になる。まだ、完勃ちしていないものを根元から優しく舐めた。丁寧に丁寧に舐めるソルトの一途な姿に徐々に大きくなる。

自分の奉仕で大きくする事が嬉しくてソルトは舌を使い裏スジを舌でツゥーっと舐めた。ビクっとなったあそこは赤く血管が浮き出たいた。ソルトは鈴口をちゅっちゅとキスをした。それからようやく口に半分を含みゆっくりゆっくり上下に動かす。

松が体を起こし手でソルトの髪を梳かしながら撫でる。上手くできたと言う合図だった。


 こいつとこんな関係になってしまった。ナグマでは結婚するまで口に関する事は御法度。キスは最重要行為。無理矢理のキスは重犯罪。

……こいつは何も言わない。俺も一言も結婚したとも結婚相手と言った事はないが俺達の中には確かにこうなる事実ができた。魔が差したわけでもなく情に流されたって訳でもなく自ら望んだんだけど。

 本当こいつと出会ってからどうなっちゃったんだろ俺。

「とら様…」

「ん?」

「好きです」

「知ってる」

 
 俺達はナグマで事実上結婚している。
 
こっちでいう紙切れみたいな証明はない。ナグマでの正式な儀式もしてないが限られた人だけがこの事実を認知している。ソルトもこの形を受け入れてくれた。

 この状況が許される迄に俺は危険な目に遭い皆に相当な迷惑をかけたのだが一番傷つけた相手はソルトだった。
 
何で俺がソルトと結婚することになったかと言うと話せば長くなる。

 俺は男嫌いだし重いのも嫌い。

 ソルトはそのどちらとも当てはまっていた。 

 
□遡ること数ヶ月前□ 

「とら様、こちらへどうぞ」

「んー」

 今は城の散策をソルトと最高位護衛と三人でしてるんだけどたまにこうしてソルトは俺のいく方向を変える。

 今日はどこへ行こうかな。

 最近河口君は仕事を始めたらしいけどそれがかなり好評でみんなの仕事の士気が上がりフィグさんもクラムさんも大忙しだとか。

「とら様はいんかんはもってないんですか?」

「いんかん?……あぁ、印鑑か!もってるけど全然使わない。必要な書類とか重要なときに使うから」

「そうなんですね」

 こっちでは文字を書くことがないから印鑑はなく全部特殊なサインを魔法みたいにだす。んでもってアイコンタクトってい言うのがあるんだけど俺は全然それを覚えれないし覚えるきがあまりない。

「なぁ、服屋とかないの?」

「売っているとはちょっと違いますが服飾防具を製造している場所はあります」

「行きたい!見たいんだけど」

 ナグマは俺にとってかなり魅力的なものが沢山ある。よくわからない魔石に魔法みたいな文字。魔物はちょっと怖いけど何よりも俺の好きな服がある。今、自分が着てる服もライムさんとソルベさんがデザインしてくれた服でとっても気に入ってる。

 少し奥まった場所だけど雰囲気のあるドアを開けた先には見たことのない大きな製作現場が広がっていた。皆が魔法を使って服を作っている。

原材料が大きな魔石からでてくる。

「コスプレ衣装満載!!何あれ!すげー!」

「魔石です、あそこから材料がでてきて生成して行くんです。ここは服力と防具専門の部屋ですね」

「魔石って何なんだよ」

「魔石を説明するのは難しいです。魔石はそういうものとしか言いようが。ただ種類が沢山あります」

 そんな話をしながら楽しんでいたら後ろから大きな声がした。

「最高位護衛…まさか、王妃様!?」

「違います!」

 河口君と間違えたそいつに思わず俺が答えるとソルトが俺のすぐ後ろに来て「しー」っと言う合図を送った。すぐに護衛の一人が前にでてきた。

「何者だ、気安く声をかけて良い相手ではない。アイコンタクトも禁止だ」

「失礼しました、思わず王妃様かと思い声をだしてしまいました。私はこの服飾技術を見に来ましたアドベと言います」

 名前短い。成金っぽい衣装!
 大体服でわかるよな、性格。

「こちらは王の友人であらせられる。一般の者との会話は禁じられている」

 そうなんだ…

「失礼致しました。せめて挨拶をさせていただきたい。こちらの王のご友人とあらばこのまま下がってはあちらの王に顔がたちません」

 その言葉を聞くと護衛はソルトとアイコンタクトをしてるようだった。あちらとはライムさんとソルベさんの事か?近しい人かもしれない。

「挨拶だけなら許可する」

「ありがとうございます」

 護衛が松から離れると男が手を広げ近づく。

 ナグマでは親しみを込めたハグのような挨拶があるがどの人にどんな状況でしていいかまではよくわからない。なので俺はいつも握手だがそれも滅多にしない。

 多分、挨拶を許したと言う事はそれなりの地位って事で穏便に済ませなければならない相手。だから相手に合わせた挨拶をしないといけないよな。

 「嫌です」

 俺にだけ聞こえる声でハッキリとソルトが言った。手を下ろすと俺は握手に切り替えた。

「残念です。親しみを込めた挨拶をしていただけると思ったんですが」

「すみません、やっぱり握手の方が僕はなれてます」

「いえいえ、どうですかこれからお茶でも」

「挨拶だけだ、下がれ!」

「王の大切なご友人。長い時間出かけますと体が冷えますのでこれ以上は失礼させて頂きたいと思います」

 護衛もソルトも誘いは避けたいみたいだな。
 できれば俺もだけど…

「なかなかお堅い護衛ですな。折角、こんな場所で王の友人に会えたのも運命だと思いますが護衛に意見を言われる筋合いはないです。いかがですか?」

 他所の偉い方のお誘いは断るわけにいかないのが世の中の流れだ。フィグさんに迷惑もかけれないし適当に付き合って事なきを終るか。と思いついて行こうとしたらソルトの手が横から出てきた。まずいと思い体を横にずらし手に体当たりするような形で防いだ。急に体を横にずらしたからバランスが崩れ倒れそうになったがソルトが支えてくれた。

「大丈夫ですか!?」

 断るチャンスは今しかない。

「すみません…疲れてたようです。また、機会がありましたらその時にでも」

「いえ、私こそ無理を言ったみたいですみませんでした。お体お大事に」

 よろけたのを利用して気分が悪いことにできた。男はさっきとは違いすんなり去って行った。もし、ソルトが手を出したとなると多分大事になりそうな相手だっただけに何もなくて良かった。

「とら様、すみません」

「結果良かった。別にあの人とお茶したいわけじゃなかったし」

「松君様、体調大丈夫ですか?ソルトさん、部屋まで運んでください」  

「ちょっとよろけただけで大丈夫です」

 ソルトは俺を軽々持ち上げた。何が悲しくて人前で男に持ち上げられないといかんのだ。こいつは体調が悪い訳じゃないと知ってるはずだ。

「おろせ」

「命令ですから」

「俺が良いって言ったらいいんだよ。しかも何ともないのわかってるだろ」

 ソルトは俺を抱く力を強めた。こうなるとこいつは後が大変だから諦めて大人しく運ばれることにした。そしてさっき気になってたことを聞いた。

「さっき何で手をだしたんだ?」

「とら様を引き寄せようとしたからです」

「?」

 そんな風には見えなかったけど。こいつが嘘を言うわけないしと思っていたがこの時は深く考えなかった。

 さっきの事をクラムさんに報告に行くと言うのでついていく。そんなに大したことじゃない気がすると言うとソルトは駄目だと言った。こういう所は護衛として徹底してて凄いと思う。因みにクラムさんに会う前に手を洗わされたがこれは…まぁいいや。

「ソルトさん、お手柄でしたね」

「いえ」

 俺にはさっぱりわからなかったがクラムさんはそう言った。

「ついていったらダメでしたか?かなり地位のある方だと思って断るの良くないと思ってましたが」

「そうですね。あちらの地位もありますが普通なら挨拶で終わるのがお茶をと誘われたんですよね。うーん…」

「とら様が王の友人であるという以外は知られてはないです」

「そうですか」

「河口君の友人と言っては駄目な感じですか?」

「あーいえ、駄目というかやまとさんと知り合い。つまり異世界人だとわかるのはできれば避けたいんです。婚儀の時に招待されていない者には特にです。やまとさんが異世界人だと言うのは知られていますが、松君さんが異世界と言うのはそこまで知られていません。異世界人というだけで狙われたり危険が多くなりますので極力避けています。不自由をさせて申し訳ないですが他所から来たものには特に」

「他所?」

「はい、二人の王の地域から来た方です。ナグマは元々三人の王がいわけではなく三国が一つになりナグマができました、なので、国は一つですが国民や文化は三通りです」

「あ~だから服の色が違うのか」

「はい、今の三王になってから仲は良好ですよ。というより、我らの王のおかげですね。なのでライム様やソルベ様の地域の位の高い方はそんなには気にしてなかったんですが…まぁ、中にはああいう方もいらっしゃいます」

「護衛は高い地位の人達に口出しをするのはいけないんですか?」

「そうですね…難しい判断ですが最高位護衛に意見を言えるとはよほどの方。ソルトさん名前はわかりますか?」

「アドベと仰いました」

「通称名ですか、失礼な人はどこまでも失礼ですね。調べます、ソルトさんは松君さんから離れないで下さい。申し訳有りませんが今日は念のため部屋でおくつろぎください」

「わかりました」

 それからは何も起こらずソルトと過ごし俺は自分のアパートに帰った。次に俺が会いに行くとソルトは俺の側近に昇進していた。フィグさん、クラムさんの次に実力があると認められたのだとか。側近になると最高位護衛をつけなくとも俺と出掛けられるらしく認められてもらえて良かったなと言ったがソルトはあまり喜んでいる感じがしなかった。ただ、その職務を淡々と受け止めている印象だった。
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