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2つの部屋

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「樹杞さん、待ちました?」

キャンパス内で待ち合わせしていた樹杞に、声をかける。

「今、着いた分だから、待ってないよ」
樹杞が微笑んでいる事で、今までと変わりがなく安心する。

「今日は、何処に行くんですか?」
いつもの様に樹杞が選んでくれるカフェに、興味津々で尋ねる。
「今日は、シフォンケーキが美味しいって人気の所にしようと思ってたんだけど…?」
「好きですよシフォンケーキ」
「なら、良かった」
私のシフォンケーキへの反応を見て、どうやらそこに決まった様だ。



カフェではシフォンケーキとオリジナルブレンドティーを頂いた。
少し上品すぎる店内ではあったが、やはり女性客ばかりだった。
樹杞は一人で来るにはやっぱり敷居が高いなと呟いている。



カフェで話している時に、紅茶の話で盛り上がる。
そして、樹杞が気に入っている紅茶をネットで安かったから大量に買ってしまった話になった。
賞味期限が迫っている事を思い出した様で、良かったら貰って欲しいと頼まれた。
「期限切れると味が変わりますもんね。樹杞さんのお気に入りの紅茶…味も気になるので頂きたいです」
「貰ってくれるなら嬉しいよ。期限の事もあるから今から寄って貰っていい?」

この後は予定もないので、樹杞の家で紅茶を貰う事になった。



前回は道なんて分からなかったけど、大学からそんなに遠くない場所にあるマンションだった。

家に招き入れられ、リビングに案内された。
部屋の雰囲気は違うが、見覚えのある間取りに記憶を探っていると、樹杞が紅茶の缶を持ってきた。
「俊樹の部屋と同じ間取りだよ。家具は違うけどね」
そういえば…前回、樹杞のマンション前で俊樹に合って、俊樹の家に連れて行かれた事を思い出す。
「もしかして、二人は同じマンションですか?」
「ああ。俊樹は僕の部屋の1つ下の階だよ」


間取りが一緒であれば、見覚えがあるように感じてしまったのは当然だった。


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