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《一方的な婚約者》

一喝!

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ある日、突然「私たちヤバい教」の二人組がインターフォンを押して訪ねてきた。

僕はてっきりヘルパーさんがきたのかと思い、インターフォンを確認せずドアを開けてしまった。すると「私たちヤバい教(以下ヤバ教)」のニ人組はグイグイ迫ってきて

「あなたは神を信じていますか?」

と僕に尋ねてきた。

「いや……(てか、なんだかんだ神みたいな者に会ってるし……)」

言葉に詰まっている僕を見たヤバ教の二人は

「あなたは運が良いですよ!今入会すると、これからあなたは幸運になれます!」

と自信満々に言ってきた。

(なんか、今が大変といえば大変だけど、なんか不幸認定されるのは癪に触るなぁ)

と少し苛立ちを覚えた。そんな時、ザシコが二階から

「なんじゃ?揉め事か?揉めておるのか?」

と嬉しそうに僕の膝の上に乗ってきた。

(ここにある意味神的な子がいるんだけど見えないんだろうなぁ。あと哀れ笑)

と心の中で馬鹿にしているとヤバ教の一人がバッグの中から紙を一枚取り出してこう言った。

「ここに名前を書いてハンコを押すだけであなたは我々の同志になれます!」

目を輝かせながら、それも曇りひとつなき眼で僕を見てくる。少しかわいそうに思えたので

「いつもこのようなことをされているのですか?」

と少し話題を逸らした。すると

「はい、暑い日でも毎日頑張っています!だってみんな幸せになってもらいたいじゃないですか!」

(ああ、なんて純粋な人なのか)

僕は労いの言葉として

「お疲れ様です!大変ですね。素晴らしい理念だと思います」

と、取り敢えず褒めてあげた。

すると二人組は泣き出し、僕の手を握ってこう言った。

「あなたみたいに労いをかけてくださったのは初めてです!」

続けて

「どうしたら世界は平和になるのでしょうか??」

するとザシコがため息をつきながら

「おミャーさんたちがいなくなれば良いのではないか?」

相手には聞こえていないが、僕には丸聞こえなので、笑い堪えるのに必死だった。

潤んだ瞳で僕を見つめてくるのは何か凄い為になることを期待しているからだろうか?

そこで何も思いつかなかったので、こう言った。




「あなた方がいなくなることで、大勢の人が迷惑を被られることなく平和に過ごせるのでは?」

ザシコは爆笑、ヤバ教はぐうの音も出ない位に顔を真っ赤にして出て行った。


「神を何じゃと思っとるんじゃ全く!!」

ぷんぷん怒るザシコを宥めようとすると、

「でもまあ、最後のマコの言葉はスカッとしたから許す」 

「どーもでーす」

「マコ!お腹が空いた!」

「はいはい」

と冷蔵庫に朝作っておいたおにぎりをチンして二階に持って行った。


(それにしてもああいう宗教勧誘って可愛い子とおばさんで一セットなのでは……….)


僕は一人、枕を叩いた。
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