106 / 129
傍観者の暴走
仙華利伸
しおりを挟む
「なんで鬼ごっこなんです?それも体育館で?」
僕の率直な感想だった。鬼ごっこ自体面倒臭いのは変わらないが、何故体育館という限定的な場所なのか理解に苦しんだ。それに色んな遊びがある中で鬼ごっこを選んだ理由は何なのか、とても知りたかった。
「ん?そんなもん決まってるだろうが。俺が追いかけられるのが好きだからだ。それに限定プレイなんて……堪らないと思わないか??」
尋ねた僕が馬鹿だった。この人はただ単なる「変態のドM」なだけだ。それにしてもマゾな人はこんな攻めたアプローチをするのだろうか。ある意味「ドMのサドっぷり」は想像し難い分、恐怖度が増した。
「ニッキー、お前は何か勘違いをしている。ここは男子校。という事は別に男同士鬼ごっこをすることは何も悪いことではなく、寧ろ健全なのだ。」
「いや、男子校の定義が歪過ぎます。それに、別に鬼ごっこをしなくても……」
「じゃあお前は逃げるだけの玉なし野郎でいいのか?」
どのような意図で発言したかは知る余地もないが、この言葉は妙に心に刺さった。だからだろうか
「分かりました。明日ですね、やりましょう。」
と挑発に乗ってしまった。
「ふっ。それでこそ男の子だ。じゃあ明日な!」
そう言って先輩がは何処かへ行ってしまった。
(そのまま何処かに行ったきり帰って来なくてもいいんですけども)
そう願ってしまった事は秘密である。帰りの電車内、偶然を装う感じで菖蒲さんが隣に座ってきた。
「ちわっす。まだまだ暑いねぇ。どうにかならんもんかね。」
「菖蒲さん……仙華先輩にけしかけましたね?」
「ん?バレた?笑」
本当にバレないと思っていたのか、はたまたバレるようにしたのか、何を考えているのか読めないのがこの人の怖いところでもあり魅力的な所でもある。しかし、今回は少し強引で菖蒲さんらしくない気がした。
「なんでけしかけたんです?もしかして……」
「あぁ、違う違う。二人の殺人とは関係ないよ。ただ、これから関係していくから練習として……ね?」
「これから関係していくという事は犯人を知っているんですか!?」
「まあ。といっても殺人というより自殺に近い気がするけども。」
深妙な顔つきで菖蒲さんは言った。そのタイミングが丁度トンネルに差し掛かった時だったせいもあり、あの時の嫌な感じがした。
「二木君はさ、トロッコ問題って知ってる?」
「何となくだけど知ってますよ。あの二択のやつでしょ?どちらかを助けるためにどちらかを犠牲にするみたいな。」
「そうそう。でさ、二木君はザシコちゃんとお母さん、どっち助ける?」
僕の率直な感想だった。鬼ごっこ自体面倒臭いのは変わらないが、何故体育館という限定的な場所なのか理解に苦しんだ。それに色んな遊びがある中で鬼ごっこを選んだ理由は何なのか、とても知りたかった。
「ん?そんなもん決まってるだろうが。俺が追いかけられるのが好きだからだ。それに限定プレイなんて……堪らないと思わないか??」
尋ねた僕が馬鹿だった。この人はただ単なる「変態のドM」なだけだ。それにしてもマゾな人はこんな攻めたアプローチをするのだろうか。ある意味「ドMのサドっぷり」は想像し難い分、恐怖度が増した。
「ニッキー、お前は何か勘違いをしている。ここは男子校。という事は別に男同士鬼ごっこをすることは何も悪いことではなく、寧ろ健全なのだ。」
「いや、男子校の定義が歪過ぎます。それに、別に鬼ごっこをしなくても……」
「じゃあお前は逃げるだけの玉なし野郎でいいのか?」
どのような意図で発言したかは知る余地もないが、この言葉は妙に心に刺さった。だからだろうか
「分かりました。明日ですね、やりましょう。」
と挑発に乗ってしまった。
「ふっ。それでこそ男の子だ。じゃあ明日な!」
そう言って先輩がは何処かへ行ってしまった。
(そのまま何処かに行ったきり帰って来なくてもいいんですけども)
そう願ってしまった事は秘密である。帰りの電車内、偶然を装う感じで菖蒲さんが隣に座ってきた。
「ちわっす。まだまだ暑いねぇ。どうにかならんもんかね。」
「菖蒲さん……仙華先輩にけしかけましたね?」
「ん?バレた?笑」
本当にバレないと思っていたのか、はたまたバレるようにしたのか、何を考えているのか読めないのがこの人の怖いところでもあり魅力的な所でもある。しかし、今回は少し強引で菖蒲さんらしくない気がした。
「なんでけしかけたんです?もしかして……」
「あぁ、違う違う。二人の殺人とは関係ないよ。ただ、これから関係していくから練習として……ね?」
「これから関係していくという事は犯人を知っているんですか!?」
「まあ。といっても殺人というより自殺に近い気がするけども。」
深妙な顔つきで菖蒲さんは言った。そのタイミングが丁度トンネルに差し掛かった時だったせいもあり、あの時の嫌な感じがした。
「二木君はさ、トロッコ問題って知ってる?」
「何となくだけど知ってますよ。あの二択のやつでしょ?どちらかを助けるためにどちらかを犠牲にするみたいな。」
「そうそう。でさ、二木君はザシコちゃんとお母さん、どっち助ける?」
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売

体育座りでスカートを汚してしまったあの日々
yoshieeesan
現代文学
学生時代にやたらとさせられた体育座りですが、女性からすると服が汚れた嫌な思い出が多いです。そういった短編小説を書いていきます。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話
釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。
文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。
そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。
工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。
むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。
“特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。
工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。
兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。
工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。
スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。
二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。
零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。
かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。
ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。
この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる