あの日の後悔と懺悔とそれと

ばってんがー森

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傍観者の暴走

仙華利伸

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「なんで鬼ごっこなんです?それも体育館で?」

僕の率直な感想だった。鬼ごっこ自体面倒臭いのは変わらないが、何故体育館という限定的な場所なのか理解に苦しんだ。それに色んな遊びがある中で鬼ごっこを選んだ理由は何なのか、とても知りたかった。

「ん?そんなもん決まってるだろうが。俺が追いかけられるのが好きだからだ。それに限定プレイなんて……堪らないと思わないか??」

尋ねた僕が馬鹿だった。この人はただ単なる「変態のドM」なだけだ。それにしてもマゾな人はこんな攻めたアプローチをするのだろうか。ある意味「ドMのサドっぷり」は想像し難い分、恐怖度が増した。

「ニッキー、お前は何か勘違いをしている。ここは男子校。という事は別に男同士鬼ごっこをすることは何も悪いことではなく、寧ろ健全なのだ。」

「いや、男子校の定義が歪過ぎます。それに、別に鬼ごっこをしなくても……」

「じゃあお前は逃げるだけの玉なし野郎でいいのか?」

どのような意図で発言したかは知る余地もないが、この言葉は妙に心に刺さった。だからだろうか

「分かりました。明日ですね、やりましょう。」

と挑発に乗ってしまった。

「ふっ。それでこそ男の子だ。じゃあ明日な!」

そう言って先輩がは何処かへ行ってしまった。

(そのまま何処かに行ったきり帰って来なくてもいいんですけども)

そう願ってしまった事は秘密である。帰りの電車内、偶然を装う感じで菖蒲さんが隣に座ってきた。

「ちわっす。まだまだ暑いねぇ。どうにかならんもんかね。」

「菖蒲さん……仙華先輩にけしかけましたね?」

「ん?バレた?笑」

本当にバレないと思っていたのか、はたまたバレるようにしたのか、何を考えているのか読めないのがこの人の怖いところでもあり魅力的な所でもある。しかし、今回は少し強引で菖蒲さんらしくない気がした。

「なんでけしかけたんです?もしかして……」

「あぁ、違う違う。二人の殺人とは関係ないよ。ただ、これから関係していくから練習として……ね?」

「これから関係していくという事は犯人を知っているんですか!?」

「まあ。といっても殺人というより自殺に近い気がするけども。」

深妙な顔つきで菖蒲さんは言った。そのタイミングが丁度トンネルに差し掛かった時だったせいもあり、あの時の嫌な感じがした。

「二木君はさ、トロッコ問題って知ってる?」

「何となくだけど知ってますよ。あの二択のやつでしょ?どちらかを助けるためにどちらかを犠牲にするみたいな。」

「そうそう。でさ、二木君はザシコちゃんとお母さん、どっち助ける?」
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