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無慈悲なゴング

僕が甘かった

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数日経つと、ザシコと神達はボロボロの状態で帰ってきただった。

(何があったんだ!!)

と口に出す前におおよその検討はついた。僕のせいだ。何故こうも気づかなかったのだろうか。

《僕達は傍観者でありながら『人質』だったのだ》

何気ない様に日々を過ごしているようで、皆に守られている。それは分かっていた。一般の人間に危害が加わるということは神としてはあってはならない。そこを突いたのだ。僕達は足手まといの他ならない。頭の中ぐちゃぐちゃになった。お母さんを守るのに精一杯の僕にはなす術がない。というよりお母さんを守りさえできていなかったのだ。今思えば夏風邪がその予兆だろう。更に絶望的なのは一人と三体がかりで漸く守りきった事だ。

今回は辛うじて守ってくれたが、果たして次は僕達を守りきってくれるだろうか?無理だ。万全の状態でこれだ。手負いを負った今、40、いや30%もないだろう。それに狙いは明らかに僕やお母さんだ。

僕はなんて無力だ。人に頼り、他人に助けてもらっている事、守ってもらっている事をただ認識しかしていなかった。さらに、まだ守ってもらわねばならない。ああ、人間無力になると涙も出ない。

「何がお母さんを守るだよ……ザシコの足手まといになって、結局、お母さんを危険から遠ざけることもできない。これから何が起こるのか。怖い。逃げたい。ザシコがなんとかしてくれるはず!ザシコが!じゃないとお母さんを守れない。ザシコが……」


パンッ!!!!!!





「何を呆けておる。死ぬ気でワシらを信じろ!そして母上を守る気持ちを捨てるな!!現実から逃げるな!!!」


突然のザシコのビンタは脳天まで響いた。その時である、紫色の稲光が僕の全身を包んだ。
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