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無慈悲なゴング

すね蹴り

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「さてと、話してもらおうかの」

ザシコは正座をして腕を組みながらいつもの表情をしていた。僕はてっきり隠し事をしている事に対して怒っているモノだと予想していたので、少しホッとした。

「その~、さっき携帯にかかってきた知らない番号の事なんだけど。オネエっぽい喋り方だったから悪戯だと思って切ったのね」

「ふむ」

「で、何回もかかってきては切っての繰り返しだったんだけど、いい加減ムカついたから文句を言おうと思って出た瞬間に『ザシコを差し出せ』と言われたんだよね……」

「なるほど、まず一つ。その電話、わざわざでる必要があったのか?」

「いやまぁ、それは僕のミス。申し訳ない」

僕は土下座した。ザシコはため息をつきながら

「声の印象ではどんな感じだったのじゃ?」

「う~ん、オネエ口調からザシコ差し出せの声のギャップからして男だと思う」

100%とまではいかないまでも、7、80%は男だと思う。男子校に通う僕が言うのだから間違いない。

「あと『豪場』って名乗ってた!」

するとザシコは腕を組んだまま悩んでしまった。それが僕にはとても不安に感じた。しばらく沈黙が続き、空気が張り詰めている中、口火を切ったのはザシコだった。

「大体はわかった。お主から見たら脅迫されたように感じるかもしれないが、『強引な迎えが来た』ような感じじゃ」

「強引な迎え?」

「まぁ、それはどうでもよか。問題は奴は目的のためなら犠牲も厭わないという事じゃ。高部の件とは事情が違う」

ザシコが真剣な顔をしながら話しているということは、余程の事なのだろう。それと……

「ザシコ……あまり考えたことがなかったけど、君って一体……」

その言葉を聞いてザシコは少し寂しそうな顔をして

「今じゃないと……いかんか?」

「いいや、ゴメン!今の質問は無しで。ザシコがどうであろうとザシコはザシコだから」

「マコ……」

気になるのは確かだ。でもザシコに悲しそうな顔をさせて話させるくらいなら、このままでいい。いや、このままがいい。

「ともかく、その電話の主について突き止めなければいけないね!」

「う~む」

「どうしたのザシコ。いつもなら『ぶちかましに行くぞ!』的な感じで張り切るじゃないか!」

「ワシはそんな下品なことは言わんっ!プイッ」

ザシコはほっぺを膨らませてそっぽを向いた。

「悪かったよ(笑)」

「まぁよい。電話の主の特徴は他にはないか?」

「え~!そうだなぁ、さっきオネエ口調って言ったけど、『ザシコを差し出せ』という声はかなり低い声だったよ」

脳みそを雑巾のように絞ってもそれくらいしか情報が出てこない。相手がすでにこちらを調べ上げてるなら相当なハンデだ。かなり不味いな……。するとザシコが立ち上がり、僕を指差しこう言い放った。

「よし、マコ!菖蒲と話してこい!」

突然の発言に目が点になってしまった。
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