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四葉のクローバー
新たな敵
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あの騒動から一日経った。今までずっと問題解決のため、頭を巡らせ、体を酷使したせいなのか、少し虚脱感がある。でも、僕には介護をやらなくてはならない「義務」がある。いや、「責務」と言った方が良いのかもしれない。今回の件で僕はどこか、非日常を楽しんでいたのかも知れないと思った。
夏休みの中盤、宿題をやっている途中、ザシコがこんなことを言い始めた。
「お前さん、つまらんだろう」
僕は思わずペンが止まってしまった。
「……そんなことないよ。平穏が一番さ。ザシコもだろ?」
「ワシはつまらないけどのぅ」
「もう面倒はゴメンだね」
再びペンを走らせた。確かに物足りなさはある。しかし、その物足りなさというのは「あのような生死がかかっている事」がないからということではない。というより「あの出来事」と今の日常の差がありすぎて、少し混乱しているのかもしれない。戦場から帰ってきた兵士的な。宿題を終え、ベッドに寝っ転がる。そこでふと疑問に思った事をザシコにぶつけてみた。
「なんで雪見はザシコが見えるようになったの?」
するとザシコが
「さぁの。恐山という場所とかそういういろんな条件が重なって見えたのじゃろ。そこはワシもよく分からん。世の中には訳のわからないことがいっぱいじゃて。深く考えすぎん方がええぞ」
「いやまぁ、確かにそうではあるけど……」
この時点で考えることをやめた。ザシコに分からないことが僕に分かるわけがない。深くため息をした直後だった。携帯が鳴った。知らない番号からだ。一回放っておいたらまた同じ番号でかかってきた。
いい加減イラっとしたので出てみる事にした。
「もしもし」
「もしもし二木くん?この番号で合ってるはずだが……まぁいい!俺は豪場って言うんだけど、ちょっと話に付き合ってくれない?」
「あんた誰だよ。そして断る。じゃ」
電話を切るとまたかかってきた。
「なんなんだよもう!」
「んもう、豪場だって言ってるじゃない」
「だから誰なんだよ、てかこの声男だろ。声変えて電話しやがって。興味ない、悪いね。じゃ」
また電話を切ると、またまたかかってきた。
「ちょっとしつこいよアンタ。良い加減にしてくれないかな!」
すると先程のオネエ声から低い男の声に変わった。
「良いから聞けよガキが。ザシコを差し出せ。でなければ周りの人たちが……あとは分かるよな?また連絡する」
「おい!どういう事だよ!おい!」
すでに電話は切られていた。今回は、電話越しだが、天邪鬼のような雰囲気は感じられなかった。
「ん?どうした?」
ザシコが煎餅を食べながら僕の方を見た。僕はザシコを守れるのだろうか……。
夏休みの中盤、宿題をやっている途中、ザシコがこんなことを言い始めた。
「お前さん、つまらんだろう」
僕は思わずペンが止まってしまった。
「……そんなことないよ。平穏が一番さ。ザシコもだろ?」
「ワシはつまらないけどのぅ」
「もう面倒はゴメンだね」
再びペンを走らせた。確かに物足りなさはある。しかし、その物足りなさというのは「あのような生死がかかっている事」がないからということではない。というより「あの出来事」と今の日常の差がありすぎて、少し混乱しているのかもしれない。戦場から帰ってきた兵士的な。宿題を終え、ベッドに寝っ転がる。そこでふと疑問に思った事をザシコにぶつけてみた。
「なんで雪見はザシコが見えるようになったの?」
するとザシコが
「さぁの。恐山という場所とかそういういろんな条件が重なって見えたのじゃろ。そこはワシもよく分からん。世の中には訳のわからないことがいっぱいじゃて。深く考えすぎん方がええぞ」
「いやまぁ、確かにそうではあるけど……」
この時点で考えることをやめた。ザシコに分からないことが僕に分かるわけがない。深くため息をした直後だった。携帯が鳴った。知らない番号からだ。一回放っておいたらまた同じ番号でかかってきた。
いい加減イラっとしたので出てみる事にした。
「もしもし」
「もしもし二木くん?この番号で合ってるはずだが……まぁいい!俺は豪場って言うんだけど、ちょっと話に付き合ってくれない?」
「あんた誰だよ。そして断る。じゃ」
電話を切るとまたかかってきた。
「なんなんだよもう!」
「んもう、豪場だって言ってるじゃない」
「だから誰なんだよ、てかこの声男だろ。声変えて電話しやがって。興味ない、悪いね。じゃ」
また電話を切ると、またまたかかってきた。
「ちょっとしつこいよアンタ。良い加減にしてくれないかな!」
すると先程のオネエ声から低い男の声に変わった。
「良いから聞けよガキが。ザシコを差し出せ。でなければ周りの人たちが……あとは分かるよな?また連絡する」
「おい!どういう事だよ!おい!」
すでに電話は切られていた。今回は、電話越しだが、天邪鬼のような雰囲気は感じられなかった。
「ん?どうした?」
ザシコが煎餅を食べながら僕の方を見た。僕はザシコを守れるのだろうか……。
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