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四葉のクローバー

相反する感情と事実

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「ちょっと待ってよ!高部君が何で地獄行きなの!?確かに私に暴言を吐いたり真人君に暴力したけども……でもそれは悪いのに取り憑かれてしまっているからなんでしょ?ザシコちゃんに聞いたよ!だから…」

「だからなんだよ、雪見。あの『天邪鬼』は、雪見にも取り付くことができたはずなんだ。なのにしなかった。そして高部は取り憑かれたとしても反抗できたはずなんだ。でも反抗するどころか協力関係になってしまった」

戸惑った顔で雪見は

「何を言ってるの?協力関係って何?何なの?」

追いついた雪見に僕はありのままを告げた。

「ここ数日の自殺騒ぎ、全部高部の仕業だ。天邪鬼は魂を、高部はそれを口実に自殺へ誘導。そして最後は君だよ、雪見」

「なんで……」

雪見は必死の形相で高部の地獄行きを阻止しようと考えている様子だった。しかし、僕は、それは無駄な事だと告げなければならない。ここで嘘をついても高部は地獄へ行く。これは変わらないし変えられない。『人間』ができる範囲を超えている。だからここは恐山。できることといえば拝むか石を積むか風車を回す、それのみ。

「い、いじめでの事なら仕方ないんじゃないかな。いじめた方が悪いに決まってる!なら高部君は被害者じゃない?ね?ね?」

「その理屈だと雪見も被害者なはず。今回の自殺騒動にしても殺したようなものだ。でも雪見はしてないよね?」

「でも……」

雪見の煮え切らない感情が手に取るように分かる。分かるからこそ胸が苦しくなる。

「ともかく、高部とはもう一度会わないとね。そのために僕達は歩いているんだ。あの丘の向こう側にザシコと高部がいるはず。行こう」

傷は思ったより癒えた感じがする。ここが空想の世界だからだろう。正直ここが現実世界なら高部とのやり合いで本来なら死んでた。つくづく運がいいなと思う。



一方、『ザシコ』対『高部(天邪鬼)』戦は佳境を迎えていた。天邪鬼は高部と分離して『本来の天邪鬼』として戦っていた。

「お前、分離させるためにワザと……」

「ふぅ、こっちもこっちで色々とあるのじゃ。強き者が手加減するのも中々疲れるのじゃぞ?」

ザシコは刃先を天邪鬼に向け、ニヤッと笑った。
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