89 / 129
四葉のクローバー
相反する感情と事実
しおりを挟む
「ちょっと待ってよ!高部君が何で地獄行きなの!?確かに私に暴言を吐いたり真人君に暴力したけども……でもそれは悪いのに取り憑かれてしまっているからなんでしょ?ザシコちゃんに聞いたよ!だから…」
「だからなんだよ、雪見。あの『天邪鬼』は、雪見にも取り付くことができたはずなんだ。なのにしなかった。そして高部は取り憑かれたとしても反抗できたはずなんだ。でも反抗するどころか協力関係になってしまった」
戸惑った顔で雪見は
「何を言ってるの?協力関係って何?何なの?」
追いついた雪見に僕はありのままを告げた。
「ここ数日の自殺騒ぎ、全部高部の仕業だ。天邪鬼は魂を、高部はそれを口実に自殺へ誘導。そして最後は君だよ、雪見」
「なんで……」
雪見は必死の形相で高部の地獄行きを阻止しようと考えている様子だった。しかし、僕は、それは無駄な事だと告げなければならない。ここで嘘をついても高部は地獄へ行く。これは変わらないし変えられない。『人間』ができる範囲を超えている。だからここは恐山。できることといえば拝むか石を積むか風車を回す、それのみ。
「い、いじめでの事なら仕方ないんじゃないかな。いじめた方が悪いに決まってる!なら高部君は被害者じゃない?ね?ね?」
「その理屈だと雪見も被害者なはず。今回の自殺騒動にしても殺したようなものだ。でも雪見はしてないよね?」
「でも……」
雪見の煮え切らない感情が手に取るように分かる。分かるからこそ胸が苦しくなる。
「ともかく、高部とはもう一度会わないとね。そのために僕達は歩いているんだ。あの丘の向こう側にザシコと高部がいるはず。行こう」
傷は思ったより癒えた感じがする。ここが空想の世界だからだろう。正直ここが現実世界なら高部とのやり合いで本来なら死んでた。つくづく運がいいなと思う。
一方、『ザシコ』対『高部(天邪鬼)』戦は佳境を迎えていた。天邪鬼は高部と分離して『本来の天邪鬼』として戦っていた。
「お前、分離させるためにワザと……」
「ふぅ、こっちもこっちで色々とあるのじゃ。強き者が手加減するのも中々疲れるのじゃぞ?」
ザシコは刃先を天邪鬼に向け、ニヤッと笑った。
「だからなんだよ、雪見。あの『天邪鬼』は、雪見にも取り付くことができたはずなんだ。なのにしなかった。そして高部は取り憑かれたとしても反抗できたはずなんだ。でも反抗するどころか協力関係になってしまった」
戸惑った顔で雪見は
「何を言ってるの?協力関係って何?何なの?」
追いついた雪見に僕はありのままを告げた。
「ここ数日の自殺騒ぎ、全部高部の仕業だ。天邪鬼は魂を、高部はそれを口実に自殺へ誘導。そして最後は君だよ、雪見」
「なんで……」
雪見は必死の形相で高部の地獄行きを阻止しようと考えている様子だった。しかし、僕は、それは無駄な事だと告げなければならない。ここで嘘をついても高部は地獄へ行く。これは変わらないし変えられない。『人間』ができる範囲を超えている。だからここは恐山。できることといえば拝むか石を積むか風車を回す、それのみ。
「い、いじめでの事なら仕方ないんじゃないかな。いじめた方が悪いに決まってる!なら高部君は被害者じゃない?ね?ね?」
「その理屈だと雪見も被害者なはず。今回の自殺騒動にしても殺したようなものだ。でも雪見はしてないよね?」
「でも……」
雪見の煮え切らない感情が手に取るように分かる。分かるからこそ胸が苦しくなる。
「ともかく、高部とはもう一度会わないとね。そのために僕達は歩いているんだ。あの丘の向こう側にザシコと高部がいるはず。行こう」
傷は思ったより癒えた感じがする。ここが空想の世界だからだろう。正直ここが現実世界なら高部とのやり合いで本来なら死んでた。つくづく運がいいなと思う。
一方、『ザシコ』対『高部(天邪鬼)』戦は佳境を迎えていた。天邪鬼は高部と分離して『本来の天邪鬼』として戦っていた。
「お前、分離させるためにワザと……」
「ふぅ、こっちもこっちで色々とあるのじゃ。強き者が手加減するのも中々疲れるのじゃぞ?」
ザシコは刃先を天邪鬼に向け、ニヤッと笑った。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
東京カルテル
wakaba1890
ライト文芸
2036年。BBCジャーナリスト・綾賢一は、独立系のネット掲示板に投稿された、とある動画が発端になり東京出張を言い渡される。
東京に到着して、待っていたのはなんでもない幼い頃の記憶から、より洗練されたクールジャパン日本だった。
だが、東京都を含めた首都圏は、大幅な規制緩和と経済、金融、観光特区を設けた結果、世界中から企業と優秀な人材、莫大な投機が集まり、東京都の税収は年16兆円を超え、名実ともに世界一となった都市は更なる独自の進化を進めていた。
その掴みきれない光の裏に、綾賢一は知らず知らずの内に飲み込まれていく。
東京カルテル 第一巻 BookWalkerにて配信中。
https://bookwalker.jp/de6fe08a9e-8b2d-4941-a92d-94aea5419af7/
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
💚催眠ハーレムとの日常 - マインドコントロールされた女性たちとの日常生活
XD
恋愛
誰からも拒絶される内気で不細工な少年エドクは、人の心を操り、催眠術と精神支配下に置く不思議な能力を手に入れる。彼はこの力を使って、夢の中でずっと欲しかったもの、彼がずっと愛してきた美しい女性たちのHAREMを作り上げる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる