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三つ葉クローバー
バイク野郎の煙
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「作戦はこんな感じじゃ!」
ザシコを中心に(というか僕とザシコしかいないが)会議は夜通し進められた。とにかく、僕が川名からトラウマを掘り起こしまくって、何でも良いから情報をゲットする!!というのがザシコ流らしい。
(僕は悪魔かよ……)
「もっとソフトな感じでできないかなぁ」
無駄なお願いだと分かりながら聞いてみるが
「できない!友人じゃろ?なら奴を信じて聞きまくる他ないじゃろ」
とキッパリ断られた。
「まぁ、僕に相談っぽい感じで話してくれたんだ。それに応える義務みたいなものはあると心得ているよ」
「うむ、その意気じゃ。それとな、『鎖』のことはあえて言うな。ややこしくなる。奴には視えとらんと思うしの。あと、一番大事なの事は、もし当時に戻れるとしたら『どうしたいか』を聞く事じゃ!」
ザシコはビシッと僕に指を刺した。
「そりゃあ止めたかったに決まってるよ!死ぬと分かった人を『はいそうですか』と死なせる様な奴じゃないよ、川名は」
と僕は少し食い気味でザシコの顔を見た。するとザシコは冷静に片目を瞑って
「それを確かめに行くのじゃろう?」
と再確認させる様な言い方で言った。
「そうだけども……」
「シャキッとせい!!ここは勝負所なのじゃ!貴様が優柔不断で優しい性格なのは分かっておる。じゃから、頑張ってほしいのじゃ!!」
帯をもらったザシコはパワーアップしたかの如く気迫が増していた。
朝になり、験担ぎにザシコとおむすびを食べ、いつもやっている母のオムツ替えとペットボトルの容器の入れ替え、リモコンの位置、おむつの残量確認を終え、部屋に籠った。
ザシコも僕も一言も喋らず音も立てなかった。そんな張り詰めた空気に重低音のエンジン音が遠くから家の近くまで轟き、そしてエンジン音は一定の場所からずっと聞こえる。
ドゥルルルルルルルル
僕は部屋を出てお母さんに少し散歩してくると言って家を出た。鍵を閉めると同時に『彼』の電話番号を押した。
ガチャッ、ガチャッ
と、ちゃんと鍵がかかっているか確認し終わった時、電話越しから彼の声がした。
「ウィッス」
振り向くと公園にカワサキのバイクに跨って電話をしている川名がいた。
「あれ?もう少し遅く来るかなと思ってたんだけど?笑」
と僕は敢えて彼に近づきながら電話越しに言った。川名は
「俺ってさぁ、意外とこういう約束事に関してはキッチリしてんのよ」
といつも通りの戯けた感じで答えた
「そうかい、じゃ」
そう言って電話を切り
「今日は来てくれてありがとう、川名」
と敬意と覚悟の意を込めて手を差し出した。
「良いって!俺と二木君の間柄じゃん?で今回はどこかに行きたいわけ?」
と差し出した手に握手で答えながら質問をしてきた。握手が済むとすぐにシートの裏からヘルメットを取り出す動きをしたので、
「今日はここの公園で話すのはどうかな?」
と家の前の公園で話す事を提案した。何故なら僕も彼に隠し事はある。だから敢えて家が見える位置で話をする。それが僕なりの誠意と考えた。彼は何かを察したのか、エンジンを切り
「じゃあ今回はそうしようか」
と僕の提案を許諾してくれた。公園とはいえ、子供達はもちろん大人一人もいない。だから、マイ灰皿を持っている彼には自由に吸って良いよと言った。が、すでに吸っていた。相変わらずというか流石というか。
「で、話って何よ、二木君」
「この前、川名が話してくれた女子学生の自殺の話……嫌なのは分かってるけど、どうしてもその話を詳しく聞く必要があるんだ!!」
頭を下げて、精一杯の誠意を見せた。そのことに気づいたのかどうなのか、川名は
「まあ、あまり思い出したくないことだけどさ。二木君がここまでするって事は何か訳があると思っちゃうわけよ。だから良いよ。何から話そうか?」
僕は顔を上げてもう一度お辞儀した。
ザシコを中心に(というか僕とザシコしかいないが)会議は夜通し進められた。とにかく、僕が川名からトラウマを掘り起こしまくって、何でも良いから情報をゲットする!!というのがザシコ流らしい。
(僕は悪魔かよ……)
「もっとソフトな感じでできないかなぁ」
無駄なお願いだと分かりながら聞いてみるが
「できない!友人じゃろ?なら奴を信じて聞きまくる他ないじゃろ」
とキッパリ断られた。
「まぁ、僕に相談っぽい感じで話してくれたんだ。それに応える義務みたいなものはあると心得ているよ」
「うむ、その意気じゃ。それとな、『鎖』のことはあえて言うな。ややこしくなる。奴には視えとらんと思うしの。あと、一番大事なの事は、もし当時に戻れるとしたら『どうしたいか』を聞く事じゃ!」
ザシコはビシッと僕に指を刺した。
「そりゃあ止めたかったに決まってるよ!死ぬと分かった人を『はいそうですか』と死なせる様な奴じゃないよ、川名は」
と僕は少し食い気味でザシコの顔を見た。するとザシコは冷静に片目を瞑って
「それを確かめに行くのじゃろう?」
と再確認させる様な言い方で言った。
「そうだけども……」
「シャキッとせい!!ここは勝負所なのじゃ!貴様が優柔不断で優しい性格なのは分かっておる。じゃから、頑張ってほしいのじゃ!!」
帯をもらったザシコはパワーアップしたかの如く気迫が増していた。
朝になり、験担ぎにザシコとおむすびを食べ、いつもやっている母のオムツ替えとペットボトルの容器の入れ替え、リモコンの位置、おむつの残量確認を終え、部屋に籠った。
ザシコも僕も一言も喋らず音も立てなかった。そんな張り詰めた空気に重低音のエンジン音が遠くから家の近くまで轟き、そしてエンジン音は一定の場所からずっと聞こえる。
ドゥルルルルルルルル
僕は部屋を出てお母さんに少し散歩してくると言って家を出た。鍵を閉めると同時に『彼』の電話番号を押した。
ガチャッ、ガチャッ
と、ちゃんと鍵がかかっているか確認し終わった時、電話越しから彼の声がした。
「ウィッス」
振り向くと公園にカワサキのバイクに跨って電話をしている川名がいた。
「あれ?もう少し遅く来るかなと思ってたんだけど?笑」
と僕は敢えて彼に近づきながら電話越しに言った。川名は
「俺ってさぁ、意外とこういう約束事に関してはキッチリしてんのよ」
といつも通りの戯けた感じで答えた
「そうかい、じゃ」
そう言って電話を切り
「今日は来てくれてありがとう、川名」
と敬意と覚悟の意を込めて手を差し出した。
「良いって!俺と二木君の間柄じゃん?で今回はどこかに行きたいわけ?」
と差し出した手に握手で答えながら質問をしてきた。握手が済むとすぐにシートの裏からヘルメットを取り出す動きをしたので、
「今日はここの公園で話すのはどうかな?」
と家の前の公園で話す事を提案した。何故なら僕も彼に隠し事はある。だから敢えて家が見える位置で話をする。それが僕なりの誠意と考えた。彼は何かを察したのか、エンジンを切り
「じゃあ今回はそうしようか」
と僕の提案を許諾してくれた。公園とはいえ、子供達はもちろん大人一人もいない。だから、マイ灰皿を持っている彼には自由に吸って良いよと言った。が、すでに吸っていた。相変わらずというか流石というか。
「で、話って何よ、二木君」
「この前、川名が話してくれた女子学生の自殺の話……嫌なのは分かってるけど、どうしてもその話を詳しく聞く必要があるんだ!!」
頭を下げて、精一杯の誠意を見せた。そのことに気づいたのかどうなのか、川名は
「まあ、あまり思い出したくないことだけどさ。二木君がここまでするって事は何か訳があると思っちゃうわけよ。だから良いよ。何から話そうか?」
僕は顔を上げてもう一度お辞儀した。
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