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三つ葉クローバー
贈り物
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次の日、兄貴が帰ってきた。
「帰るならなんか連絡ちょうだいよ~」
と僕が甘えた感じで寄っていくと
「うるせっ!一々お前に連絡しなくても良いだろが!このマコチクリン!」
と頬っぺたを軽く叩いた。お母さんは
「も~、叩かないの!おかえり、たーくん」
と注意しながらもいつもの二人が揃ったことに嬉しそうだった。それにしても何で帰ってきたのか。夏休み……とか関係ないな(笑)うん。
「ばーちゃん達はいつ来るの?」
(ばーちゃん達?)
「ばーちゃん達なら三日後だね」
お母さんはこう答えた。じいちゃん・ばあちゃんとは母方の祖父母であり、どちらも僕は大好きである。もちろん、父方の方も。で、今回来るというのは母方の祖父母で、熊本からわざわざ来てくれるのである。まあ、考えてみれば娘が難病になってしまったのだ。心配じゃないわけがない。
「何年ぶりだろう。楽しみだな~」
僕が呑気に言ってると、隣からチョップが!
「遊びに来るんじゃねーんだぞ!」
「へいへい、分かっておりやすよ。じゃあ、なんかあったら呼んで。部屋で作業してるから」
と言って部屋を出ようとした時、
「おい、マコ!これ」
そう言って兄貴は紙袋を投げた。
「オメーにじゃねぇぞ?」
「?わかった……」
とりあえず部屋に着いてから袋を開ける事にした。そんな重いものでもない。というよりむしろ軽い。何だろう……部屋に入るとザシコがちょこんと座っていた。
「竜が帰ってきたのか?」
「うん、兄貴が帰ってきた」
「その袋は何じゃ?」
ザシコは興味津々だ。しかし僕的にはあんまりだった。というのも前に同じシチュエーションで渡されたことがあり、袋を開けたらマ○クのゴミだったことがあったからである。とりあえず袋を開けてみると、入っていたのは『帯』だった。ベージュより薄く、それを下地にさまざまな色の朝顔が映えている。しかし、これは女の子用のなのでは……。
(高そうな帯だな~。なんか意味があるのか?)
そう思っているとザシコの目はうるうるしていた。そこで僕は察した。だから
「ほらザシコ!竜之助からだってさ!」
「ゔん……」
ザシコがここまでボロボロ泣いているのは初めてだ。ティッシュで涙を拭ってあげた後、僕は勧めた。
「せっかく兄貴がザシコにって買ってくれたんだ!『帯』つけてみたら?てかこの帯をつけたザシコ見たいな~」
「本当か?」
「うん!」
なんだ、ザシコもやっぱり女の子じゃないか。カワイイな。そう思っていたら顔面を殴られて部屋へ弾き出されてしまった。
「な、何すんだよ!!」
僕は怒ったが、ザシコは少し恥じらった声で
「お、女子が着替えるのじゃ。少しは気を使わんか!!」
と言った。まぁ、間違ってはいないなと思い、ドアをノックして
「着替え終わったら合図頂戴ね」
と告げて壁にもたれて着替え終わるのを待った。暫くしてドアのノックが聞こえた。
「入って良いぞ!」
「あーい」
合図があったので部屋のドアノブを握り、ドアを開けた。すると、ベッドの上には帯を変えただけなのに、少し色気が増したザシコの姿があった。
「ど、どうかのう……?」
いつもの強気はどこはやら、普通の乙女になってるじゃないか。でも僕はそのままの感想を述べた。
「凄くいいと思う。着ている着物が黒色な分、帯がアクセントをつけているというか、専門的なことはよく分からないけど、ザシコの綺麗な髪と髪飾りに美しい顔。そして綺麗な着物に綺麗な帯。完璧じゃないか!美しいくて可憐だよザシコ!」
するとザシコは顔が赤くなり、言葉にできない声を出しながら布団にくるまって右左とクルクルクルクルしていた。
(よっぽど嬉しかったんだなぁ。こっちまで幸せな気分になってくる)
その微笑ましい光景を見ているのは僕だけでは無かった。後ろから兄貴もその光景を見て、少し口角が上がっていた。
「帰るならなんか連絡ちょうだいよ~」
と僕が甘えた感じで寄っていくと
「うるせっ!一々お前に連絡しなくても良いだろが!このマコチクリン!」
と頬っぺたを軽く叩いた。お母さんは
「も~、叩かないの!おかえり、たーくん」
と注意しながらもいつもの二人が揃ったことに嬉しそうだった。それにしても何で帰ってきたのか。夏休み……とか関係ないな(笑)うん。
「ばーちゃん達はいつ来るの?」
(ばーちゃん達?)
「ばーちゃん達なら三日後だね」
お母さんはこう答えた。じいちゃん・ばあちゃんとは母方の祖父母であり、どちらも僕は大好きである。もちろん、父方の方も。で、今回来るというのは母方の祖父母で、熊本からわざわざ来てくれるのである。まあ、考えてみれば娘が難病になってしまったのだ。心配じゃないわけがない。
「何年ぶりだろう。楽しみだな~」
僕が呑気に言ってると、隣からチョップが!
「遊びに来るんじゃねーんだぞ!」
「へいへい、分かっておりやすよ。じゃあ、なんかあったら呼んで。部屋で作業してるから」
と言って部屋を出ようとした時、
「おい、マコ!これ」
そう言って兄貴は紙袋を投げた。
「オメーにじゃねぇぞ?」
「?わかった……」
とりあえず部屋に着いてから袋を開ける事にした。そんな重いものでもない。というよりむしろ軽い。何だろう……部屋に入るとザシコがちょこんと座っていた。
「竜が帰ってきたのか?」
「うん、兄貴が帰ってきた」
「その袋は何じゃ?」
ザシコは興味津々だ。しかし僕的にはあんまりだった。というのも前に同じシチュエーションで渡されたことがあり、袋を開けたらマ○クのゴミだったことがあったからである。とりあえず袋を開けてみると、入っていたのは『帯』だった。ベージュより薄く、それを下地にさまざまな色の朝顔が映えている。しかし、これは女の子用のなのでは……。
(高そうな帯だな~。なんか意味があるのか?)
そう思っているとザシコの目はうるうるしていた。そこで僕は察した。だから
「ほらザシコ!竜之助からだってさ!」
「ゔん……」
ザシコがここまでボロボロ泣いているのは初めてだ。ティッシュで涙を拭ってあげた後、僕は勧めた。
「せっかく兄貴がザシコにって買ってくれたんだ!『帯』つけてみたら?てかこの帯をつけたザシコ見たいな~」
「本当か?」
「うん!」
なんだ、ザシコもやっぱり女の子じゃないか。カワイイな。そう思っていたら顔面を殴られて部屋へ弾き出されてしまった。
「な、何すんだよ!!」
僕は怒ったが、ザシコは少し恥じらった声で
「お、女子が着替えるのじゃ。少しは気を使わんか!!」
と言った。まぁ、間違ってはいないなと思い、ドアをノックして
「着替え終わったら合図頂戴ね」
と告げて壁にもたれて着替え終わるのを待った。暫くしてドアのノックが聞こえた。
「入って良いぞ!」
「あーい」
合図があったので部屋のドアノブを握り、ドアを開けた。すると、ベッドの上には帯を変えただけなのに、少し色気が増したザシコの姿があった。
「ど、どうかのう……?」
いつもの強気はどこはやら、普通の乙女になってるじゃないか。でも僕はそのままの感想を述べた。
「凄くいいと思う。着ている着物が黒色な分、帯がアクセントをつけているというか、専門的なことはよく分からないけど、ザシコの綺麗な髪と髪飾りに美しい顔。そして綺麗な着物に綺麗な帯。完璧じゃないか!美しいくて可憐だよザシコ!」
するとザシコは顔が赤くなり、言葉にできない声を出しながら布団にくるまって右左とクルクルクルクルしていた。
(よっぽど嬉しかったんだなぁ。こっちまで幸せな気分になってくる)
その微笑ましい光景を見ているのは僕だけでは無かった。後ろから兄貴もその光景を見て、少し口角が上がっていた。
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