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三つ葉クローバー
電車内
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横浜に着いてからは一般的な普通のデートだった。洋服屋に行ったり、ゲームセンターに行ったり。彼女は楽しそうだった。それよりも、僕が彼女よりもはしゃいでしまったのは頂けなかった。心境的に、ディ○ニーランドに来るまで冷静そうに装って、いざ入園すると、一番はしゃいでる奴みたいな。そのおかげで、ゲームセンターではUFOキャッチャーに三千円使ってしまった。しかし、ぬいぐるみを取れたのと、それを雪見にあげて喜んでもらえたので良しとする。
横浜から横須賀まで約三十分。今は午後二時。横須賀まで帰ってヴェルニー公園まで行って色々話した後、別れて帰宅する事を考えると午後5時までに家に着くという計画が揺らぐ。なので、敢えて早く着く快特ではなく、各駅停車の普通電車で勝負をかける事にした。
「今日は楽しかったね!お礼のつもりだったんだけどなぁ~」
雪見は満足そうに、でもちょっと申し訳なさそうな顔をしていた。そして言葉遣いも段々柔らかくなってきている。だから僕は
「デートしてもらった事がお礼だから、気にしないで、僕も楽しかったし」
と気を遣うつもりが、本音を言ってしまった。慣れというものは怖いものだ。女子と話すだけでカミカミになる僕が約一日でここまで変わったのだ。そりゃ、ライ○ップも三ヶ月で結果を残せる訳だ。すると、ザシコがいつの間にか、膝の上で炊き込みご飯のおむすびを頬張っている。
(そのおむすび、どこから持ってきたのか。というより家にいるはずでは……。)
少し固まっていると雪見は
「どうしたの?」
と心配そうな声をかけてくれた。その時、僕は本来の目的を思い出した。
「なんでもないよ!」
そう返事をした後、唾を飲み込んで、意を決してこう言った。
「もう、これで『お礼』をしてもらったから、お別れだね」
と。すると雪見は僕の手を握って
「そんな……ヤダっ!」
と何かを訴える様な感じで拒否した。もちろん、別れるつもりは毛頭ない。僕のしょうもない賭けは成功した。雪見との関係を繋ぎ止めることには成功した。が、今のところ成果はそれだけだ。特に今日は何も聞き出せてない。
「何か、私に不満があった?」
雪見は覗き込む様に僕を見た。僕自身心が痛む。不満は全くなく、彼女をからかっている様な、意地悪をしている様な気がしてるからだ。
「不満はないよ……ただ、『お礼』が終わっちゃったら関係が終わるわけじゃない?それと、雪見のことを殆ど知らないままだから、だったらこのまま知らないままで別れた方が、後腐れないかなってさ。本来なら『もっと君のことが知りたいな』とかキザな事を言うんだろうけども笑」
ここで雪見が「そうだね」と言ってしまったら鎖の件は永遠に解決しないだろう。しかし、雪見は少し遠くを見つめる様な表情で沈黙した後、静かに語り始めてくれた。
横浜から横須賀まで約三十分。今は午後二時。横須賀まで帰ってヴェルニー公園まで行って色々話した後、別れて帰宅する事を考えると午後5時までに家に着くという計画が揺らぐ。なので、敢えて早く着く快特ではなく、各駅停車の普通電車で勝負をかける事にした。
「今日は楽しかったね!お礼のつもりだったんだけどなぁ~」
雪見は満足そうに、でもちょっと申し訳なさそうな顔をしていた。そして言葉遣いも段々柔らかくなってきている。だから僕は
「デートしてもらった事がお礼だから、気にしないで、僕も楽しかったし」
と気を遣うつもりが、本音を言ってしまった。慣れというものは怖いものだ。女子と話すだけでカミカミになる僕が約一日でここまで変わったのだ。そりゃ、ライ○ップも三ヶ月で結果を残せる訳だ。すると、ザシコがいつの間にか、膝の上で炊き込みご飯のおむすびを頬張っている。
(そのおむすび、どこから持ってきたのか。というより家にいるはずでは……。)
少し固まっていると雪見は
「どうしたの?」
と心配そうな声をかけてくれた。その時、僕は本来の目的を思い出した。
「なんでもないよ!」
そう返事をした後、唾を飲み込んで、意を決してこう言った。
「もう、これで『お礼』をしてもらったから、お別れだね」
と。すると雪見は僕の手を握って
「そんな……ヤダっ!」
と何かを訴える様な感じで拒否した。もちろん、別れるつもりは毛頭ない。僕のしょうもない賭けは成功した。雪見との関係を繋ぎ止めることには成功した。が、今のところ成果はそれだけだ。特に今日は何も聞き出せてない。
「何か、私に不満があった?」
雪見は覗き込む様に僕を見た。僕自身心が痛む。不満は全くなく、彼女をからかっている様な、意地悪をしている様な気がしてるからだ。
「不満はないよ……ただ、『お礼』が終わっちゃったら関係が終わるわけじゃない?それと、雪見のことを殆ど知らないままだから、だったらこのまま知らないままで別れた方が、後腐れないかなってさ。本来なら『もっと君のことが知りたいな』とかキザな事を言うんだろうけども笑」
ここで雪見が「そうだね」と言ってしまったら鎖の件は永遠に解決しないだろう。しかし、雪見は少し遠くを見つめる様な表情で沈黙した後、静かに語り始めてくれた。
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