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三つ葉クローバー
夢の中の恐山
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自宅に戻り、少し疲れたせいか昼寝をした。そして夢を見た。
夢の中では、行ったことはないが、どこかで見たことがある景色が広がっていた。灰色の空に殺伐とした重い空気。ゴツゴツとした岩場に河原に積み上げられた石。泣き崩れる母親の嗚咽がこだまする。慰めるように「クルクル、カラカラ」廻る風車。間違いない。ここは『恐山』。日本の青森県にある霊山。ネットなどで見たことがある光景だ。
(間違いなく夢だよな……でも、石を触った感じはリアルだ。なぜ?そういう霊的なことが続いたからイメージで結びついたのか!?)
「余計な事を考えるな」
いつの間にかザシコが隣にいた。そして泣いていた。泣く理由は聞こうにも聞けなかった。
「母上……」
ボソッとザシコが呟いたのを聞いたが、敢えて聞かなかったことにした。僕はその場を離れ、手拭いが巻いてあるお地蔵様の前に3、4個石を積んだ。拝んだ後、地蔵様に
「僕という存在は何なのでしょうか。今は頼られているような感じになっていますが、その期待に応えられる自信がありません。それに、母の事も……できる限り頑張ります!でも、わかってるんです。最後は皆『死ぬ』。僕は母が命絶えるまでそばにいて良い人間なのでしょうか…」
僕は地面に伏して赤子のように泣いた。僕の緊張感の糸が切れただからだろうか、ひたすら泣きじゃくった。
しばらくすると僕は服の袖で涙を拭い、顔を上げた。すると先程のお地蔵様の前ではなく『恐山』の山門の前に座り込んでいた。横には先ほどと違うお地蔵様が。
「貴様、死にに来たのか?」
そう聞かれたので全力で否定した。
「死にたくない!でも死んだほうが楽になるだろうなと思うことが少し増えた、それだけです」
「そんならここには来んほうがええ。ここは亡くなった人間の魂が集う場じゃ。死にに来る場所ではない!!」
お地蔵様は御立腹なようだ。それもそうだ。僕は違うとはいえ、自殺する場所を恐山に選ぶ輩も結構いるそうだ。
「申し訳ないです」
そう僕がお辞儀をすると
「おう、許してやってくれんかのぅ?」
ザシコが頭を垂れた僕の後頭部に乗って言った。
お地蔵様は呆れた顔で
「またお主か」
と全身に張り詰めていた緊張感をフッと抜いた。
「あの、僕たち夢でここを訪れただけで、その~、す、すぐ戻れるのなら戻ります!!」
僕は選手宣誓かの如くお地蔵様に誓った。
「ザシコ……お前はええのか?」
優しくお地蔵様は聞いた。
「うむ、逢いたい人に会えた。満足じゃ!」
「なら、これを、君からザシコへ」
お地蔵様は僕に、『桃色の彼岸花』を、特殊な方法で髪飾りに仕立てて渡してくれた。
「さあ、あの山門をくぐれば現世だ!もう、来てはならぬ」
「お地蔵様ぁ、ありがとうございましたぁ!」
そう言って勢いよく山門をくぐり抜けた。後のことは目を開けていられないくらい眩しかった。その事しか覚えていなかった。
しばらくすると、僕は自室で横たわっていた。目を覚まして横を見ると、ザシコはまだ寝ている。その寝ているザシコに、そっと桃色の彼岸花の髪飾りをつけてあげた。
夢の中では、行ったことはないが、どこかで見たことがある景色が広がっていた。灰色の空に殺伐とした重い空気。ゴツゴツとした岩場に河原に積み上げられた石。泣き崩れる母親の嗚咽がこだまする。慰めるように「クルクル、カラカラ」廻る風車。間違いない。ここは『恐山』。日本の青森県にある霊山。ネットなどで見たことがある光景だ。
(間違いなく夢だよな……でも、石を触った感じはリアルだ。なぜ?そういう霊的なことが続いたからイメージで結びついたのか!?)
「余計な事を考えるな」
いつの間にかザシコが隣にいた。そして泣いていた。泣く理由は聞こうにも聞けなかった。
「母上……」
ボソッとザシコが呟いたのを聞いたが、敢えて聞かなかったことにした。僕はその場を離れ、手拭いが巻いてあるお地蔵様の前に3、4個石を積んだ。拝んだ後、地蔵様に
「僕という存在は何なのでしょうか。今は頼られているような感じになっていますが、その期待に応えられる自信がありません。それに、母の事も……できる限り頑張ります!でも、わかってるんです。最後は皆『死ぬ』。僕は母が命絶えるまでそばにいて良い人間なのでしょうか…」
僕は地面に伏して赤子のように泣いた。僕の緊張感の糸が切れただからだろうか、ひたすら泣きじゃくった。
しばらくすると僕は服の袖で涙を拭い、顔を上げた。すると先程のお地蔵様の前ではなく『恐山』の山門の前に座り込んでいた。横には先ほどと違うお地蔵様が。
「貴様、死にに来たのか?」
そう聞かれたので全力で否定した。
「死にたくない!でも死んだほうが楽になるだろうなと思うことが少し増えた、それだけです」
「そんならここには来んほうがええ。ここは亡くなった人間の魂が集う場じゃ。死にに来る場所ではない!!」
お地蔵様は御立腹なようだ。それもそうだ。僕は違うとはいえ、自殺する場所を恐山に選ぶ輩も結構いるそうだ。
「申し訳ないです」
そう僕がお辞儀をすると
「おう、許してやってくれんかのぅ?」
ザシコが頭を垂れた僕の後頭部に乗って言った。
お地蔵様は呆れた顔で
「またお主か」
と全身に張り詰めていた緊張感をフッと抜いた。
「あの、僕たち夢でここを訪れただけで、その~、す、すぐ戻れるのなら戻ります!!」
僕は選手宣誓かの如くお地蔵様に誓った。
「ザシコ……お前はええのか?」
優しくお地蔵様は聞いた。
「うむ、逢いたい人に会えた。満足じゃ!」
「なら、これを、君からザシコへ」
お地蔵様は僕に、『桃色の彼岸花』を、特殊な方法で髪飾りに仕立てて渡してくれた。
「さあ、あの山門をくぐれば現世だ!もう、来てはならぬ」
「お地蔵様ぁ、ありがとうございましたぁ!」
そう言って勢いよく山門をくぐり抜けた。後のことは目を開けていられないくらい眩しかった。その事しか覚えていなかった。
しばらくすると、僕は自室で横たわっていた。目を覚まして横を見ると、ザシコはまだ寝ている。その寝ているザシコに、そっと桃色の彼岸花の髪飾りをつけてあげた。
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