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三つ葉クローバー

煙の先

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横須賀の三笠公園近くに着き、僕たちはバイクを降りた。目の前に広がる海に、微かに見える横浜のパシフィコ横浜やランドマークタワー。真ん中には東京湾唯一の自然島「猿島」。そして海上自衛隊の船や漁船などが行き交っている。僕はこの眺めが好きだ。ずっと見てられる。波の表情や空の表情は常に変わる。飽きない。ぼーっとしているとザシコもぼーっとしていた。反対側を見ると川名がタバコを吸いながらぼーっとしていた。

「海に捨てんなよ?」

僕が注意すると

「そこまで人間終わっちゃいねぇよい」

と笑いながらマイ灰皿を見せてくれた。

「やっぱり海はいいよね」

当たり前のように川名が聞いて来たので

「ああ、いいよな」

と返した。

彼自身何を考えているのか読めないが、最初はバイクを見せびらかしに来た、そう思っていたが、今は『何か』があって、きっとここに来たんだと思えた。それも僕を連れて。でも僕は敢えて聞かなかった。なぜなら僕も問題を抱えていてそれどころではない、それは置いといて、3人(ザシコも含めて)で偉大なる自然様に向き合いに来たのだ。何かしらの答えを求めて。ここにくればいろんな雑念が消える。だから、『今』解決したいことだけに集中できると僕は思っている。しばらくの沈黙の後、意外にもその沈黙を破ったのは「川名」だった。

「二木君……」

「ん?」

「よくニュースで児童虐待とか飲酒運転とかで死んでしまったとか報道でよく聞くじゃん?」

「最近よく聞くね……」

「コメンテーター達が何回も『助ける事ができた命だった』て言うんだよなぁ」

「まぁ、あくまでコメンテーターだからねぇ。当たり障りのないコメントしかしないでしょ。それにあくまでも自分はこんな事しません!と宣言する場でもある気がするよ。好感度上げのために。テレビ的にはイメージ第一でしょ」

「あはははっ、相変わらず二木君は毒付くねぇ」

「本当のことを言ったまでだよ」

「二木君……もし俺が前に人を見殺しにしたことがあるって言ったら……」

僕は川名の顔をゆっくり見た。川名はタバコを吹かしながら、視線は何処か遠くを見つめていた。
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