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双葉のクローバー
一人の若人
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今日は珍しく一人での下校になった。いつぶりだろう。そんな何年ぶりとかというわけではない。元々一人で帰っていたのだ。そこから友達ができ、その友達の友達と知り合い、いつの間にか誰かと帰ることが普通になっていた。そんな日々からの今日である。
「あぁ、風景だけを眺められそうなのはいつぶりだろうか」
電車に乗り込むと久しぶりにドレミファインバータをマジマジと聞いた。
(なんか、不思議な感覚だ。風が強い日の雲を眺めてるのとは違う、色彩風景が止めどなく流れる。そしてアクセントをつける様にトンネルが入る。何か最近求めていた『何か』が凝縮されているなぁ)
しかし、鋼鉄の箱と鋼の車輪は容赦なく現実へと僕を誘う。分かっている。分かりきっていることなんだ。
「日常の中に『非日常』を」
よく言われていることではあるが、家に帰ると介護が待っている。少しでいい、少しでいいんだ。そう思いながら帰省した。
お母さんは電車に乗ることができない。だから僕は車窓から見た景色を動画に収めたのを見せてあげた。僕にできるのはこれくらい。
「おかえり!」
お母さんはニコニコしていた。僕はそれが嬉しくもあり、心苦しかった。
「あぁ、風景だけを眺められそうなのはいつぶりだろうか」
電車に乗り込むと久しぶりにドレミファインバータをマジマジと聞いた。
(なんか、不思議な感覚だ。風が強い日の雲を眺めてるのとは違う、色彩風景が止めどなく流れる。そしてアクセントをつける様にトンネルが入る。何か最近求めていた『何か』が凝縮されているなぁ)
しかし、鋼鉄の箱と鋼の車輪は容赦なく現実へと僕を誘う。分かっている。分かりきっていることなんだ。
「日常の中に『非日常』を」
よく言われていることではあるが、家に帰ると介護が待っている。少しでいい、少しでいいんだ。そう思いながら帰省した。
お母さんは電車に乗ることができない。だから僕は車窓から見た景色を動画に収めたのを見せてあげた。僕にできるのはこれくらい。
「おかえり!」
お母さんはニコニコしていた。僕はそれが嬉しくもあり、心苦しかった。
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