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一葉のクローバー

これはエンジェルというよりデヴィル……

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それからほぼ学校が終わって家に帰った後は、毎日直行で病室へ通い続けた。今日学校であったこと。世の中でどんなことが起きているかということ(テレビカードが高いので余り使いたくなく、テレビをほとんど見ないとのこと)。まるで自分が体験したかの様に大袈裟に話してあげた。びっくりする表情もあれば、笑いを堪えている表情。全てが僕にとって愛おしかった(もちろん親父からお叱りの言葉で僕が凹んでいる姿を見るのもお母さんは嬉しそうだった)。

「二木さぁ~ん、お薬を持ってきましたよぉ~」

看護士さんがフニャフニャした声でやってきた。

「あらっ、二木さぁん良いですね!息子さんや旦那さんがいつも来てくれて!」

お母さんはニコニコしてて嬉しそうだった。

「では、ここにお薬置いときまぁすねぇ」

看護士さんに一礼をし、お母さんに

「あの看護士さん優しそうだね」

と言おうと思ったら、あとで親父と兄が

「お母さん、あの看護師さん、嫌いでしょ」

とお前知らないの?的な感じで二人は言った。

(えっ!?そうなの!?あのやりとりの中に嫌味みたいなのはなかったはず……そもそもまだお母さんがって……えぇ!?めっちゃ顰めっ面で頷いてる………)

これはなんなのか……

「いいか、まこと!お母さんはな、ぶりっ子を演じている女が大っ嫌いなんだ!」

その言葉に反論するように親父に言おうとしたが、

「あっ、でも、ぶりっ子を演じなければならない相手がここには………兄貴か」

思わず舌打ちをしてしまった。この部屋には兄貴がいるのだ。兄貴はめちゃくちゃイケメンというわけではないが、コミュニケーション能力が高く、どこかすかしたところがある。僕的分析では、奴は女性に向かっていくのではなく、その場から動かず女性側から依っていく、まるでKINGみたいな………。
お見舞いに来たある日、前にお薬を届けてくださった看護師さんが来た。テンションが低かった。

「二木さぁん………お薬が出ておりますのでここに置いておきますね。失礼します」ガラッ(カーテンを閉める音)


「あ、ありがとうございます……」

思春期の男子校生に、この後ろ馬の足蹴りのような言葉はかなり効いた。それを横目にザシコのとお母さんのあの悪魔の笑みが余計心にきた………。その時、ほんのちょっとだけザシコとお母さんの目があったきがする。気のせいか。そんな事はどうでもいい。僕はボソッと心に聞かせる様に

「いや、顔可愛くないし、胸ないし、お気に入りの看護師さん別にいるし、ハズレがあるから当たりが嬉しいんだし………」

僕は独り言で勝手に傷ついた心を自分で優しく慰めた。
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