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アイドル声優は気付いてる①
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土曜日、ハレオ宅、ボタン外泊禁止令解除作戦当日。
「はぁ?じゃあ何、スミレは高校卒業までの3年間ずーーーっとハレオの家に泊まるってこと?」
「泊まるというか一緒に暮らすというか……成り行きだけど、そうなっちゃった」
「なっちゃったじゃないわよ、3年も一緒に暮らしたら子供出来ちゃうじゃないのよ」
「ボタンっ何を意味の分からないことを言ってるんだお前は」
「にはは、このお兄ちゃんにそんな甲斐性無い無い」
「こらトウカ、そんな下品な妹に育てた覚えは無いぞ」
「育てられた覚えは無いです。気持ち悪いです」
「そういえばハレオとトウカちゃんって、出会って間もないのにすっごく仲良いよね」
「「そうでもないよ?」」
「嘘、ハレオくんとトウカちゃんって同じ部屋で寝てるんだよ、私見たもん」
「兄妹なら普通じゃない?私も弟と寝る時あるよ、ボタンちゃん一人っ子だから分からないんじゃない」
「でもねスミレちゃん、この2人って血が繋がってないんだよ、怪しくない?」
「あ、そっか、怪しいね、トウカちゃん、そこんとこどうなのよ」
「えっと、気持ち悪いので止めてください」
「あれ~なんか照れてない?顔赤くない?かわいいー」
「くっやっぱりそうなのね、私の目に狂いは無かったということね」
「止めてください、ホントに止めてください、怒りますよ」
「じゃあ、ハレオくんは私のね」
「ボタンちゃん、今そんな話ししてないでしょ」
「スミレちゃんこそ、応援するって言ってくれたのに、この状況はどういうことですか?」
「だからこれは成り行きで」
「じゃあ、ここでハッキリさせて、スミレちゃんはハレオくんのこと、どう思っているの?」
「どうって、それは……」
「なんか話が意味の分からない平行線を辿っているみたいだから飯にでもするか」
「あなたの事について話しているのですけど」と呆れる3人の少女。もはや作戦会議どころでは無くなっていた。
ピンポーン。
「誰だろ」
ハレオは、キッチンを横切りインターホンカメラを覗き込む。
「どなたですか?」
「やっほー、その声は、やっぱりハレちゃんね」
「……ユウさん、ユウさんなんですか?」
「うん、久しぶりね」
モニターに写ったのは、若い女性。
真っ直ぐで艶のある黒髪は胸元まで掛かっている。クッキリとした顔立ちは大人っぽい感じだが、瞳は大きく幼さも見え、真っ赤な口紅は魅力的で肉厚な唇を強調している。
「どうしたんですか?」
ハレオがユウと呼ぶ女性の横には大きなキャリーケースが置かれている。ハレオはそれを見て不思議がった。
「ハレちゃんにお願いがあってきたんだ。とりあえず入れてよ」
「えっ、いや、でも今は友達が来ててですね」
「ハレちゃん?女の子を待たせるのはダメだって教えたでしょ?」
「は、はい、今開けますね」
ハレオは、その女性がほっぺそ少し膨らませて怒る素振りに、条件反射の様にロックを解除し招き入れた。
「お兄ちゃん、誰か来たの?」
「え、ああ、ちょっと昔の知り合いが訪ねてきてな、すまないがトウカの部屋にスミレとボタンを連れてって遊んでてくれないか」
「うん、いいけど」
ガチャ。
「こんにちわ~」
女性はドアを開け綺麗な声で挨拶をした。
「こんにちわ……ってアレ?」
「まぁ可愛い子ね、ハレちゃんの彼女さん?」
「ち、違いますよ、妹のトウカです」
「妹さんか、ああ、井本さん家の」
「知ってるんですか?」
「ええ、もちろんよ、私たち家族みたいなものでしょ」
「もう、それは終わったじゃないですか」
「そんな暗い顔しないでハレちゃん」
「ク、クズナ・ユウだ!ほ、本物ですか?」
トウカが目をキラキラと輝かせながら突然声を張り上げる。
「トウカ、知ってるのか?」
「知らないわけないじゃないの、超有名人よ、アイドル声優、葛声クズナ優ユウさんよっ」
不思議がるハレオの服をグイグイと引っ張りながら興奮するトウカ。
「初めまして、トウカちゃんって言うのね。これからよろしくね」
「はあああああ、耳が耳が喜んでいます。よろしくお願いしますー……って何をですか?」
「「なになに、どうしたの?」」
スミレとボタンがドタバタと玄関先に集まってきた。
「きゃーーーーーーー、ゆ、ゆ、ユウ様、あわあわあわ……」
「え?誰?」
トウカよりも更に興奮するスミレと、眉を顰めるボタン。
「あら~流石ねハレちゃん、血は争えないってこのことね」
ユウは、おちついた口調でハレオに近づき腕を組んだ。
「初めまして、今日からお世話になるクズナ・ユウです。みんな宜しくね」
首を傾げる者、目を見開く者、怒り狂う者、理解に苦しむ者。
そのユウの言葉に、全員違う表情を見せたのだった。
「はぁ?じゃあ何、スミレは高校卒業までの3年間ずーーーっとハレオの家に泊まるってこと?」
「泊まるというか一緒に暮らすというか……成り行きだけど、そうなっちゃった」
「なっちゃったじゃないわよ、3年も一緒に暮らしたら子供出来ちゃうじゃないのよ」
「ボタンっ何を意味の分からないことを言ってるんだお前は」
「にはは、このお兄ちゃんにそんな甲斐性無い無い」
「こらトウカ、そんな下品な妹に育てた覚えは無いぞ」
「育てられた覚えは無いです。気持ち悪いです」
「そういえばハレオとトウカちゃんって、出会って間もないのにすっごく仲良いよね」
「「そうでもないよ?」」
「嘘、ハレオくんとトウカちゃんって同じ部屋で寝てるんだよ、私見たもん」
「兄妹なら普通じゃない?私も弟と寝る時あるよ、ボタンちゃん一人っ子だから分からないんじゃない」
「でもねスミレちゃん、この2人って血が繋がってないんだよ、怪しくない?」
「あ、そっか、怪しいね、トウカちゃん、そこんとこどうなのよ」
「えっと、気持ち悪いので止めてください」
「あれ~なんか照れてない?顔赤くない?かわいいー」
「くっやっぱりそうなのね、私の目に狂いは無かったということね」
「止めてください、ホントに止めてください、怒りますよ」
「じゃあ、ハレオくんは私のね」
「ボタンちゃん、今そんな話ししてないでしょ」
「スミレちゃんこそ、応援するって言ってくれたのに、この状況はどういうことですか?」
「だからこれは成り行きで」
「じゃあ、ここでハッキリさせて、スミレちゃんはハレオくんのこと、どう思っているの?」
「どうって、それは……」
「なんか話が意味の分からない平行線を辿っているみたいだから飯にでもするか」
「あなたの事について話しているのですけど」と呆れる3人の少女。もはや作戦会議どころでは無くなっていた。
ピンポーン。
「誰だろ」
ハレオは、キッチンを横切りインターホンカメラを覗き込む。
「どなたですか?」
「やっほー、その声は、やっぱりハレちゃんね」
「……ユウさん、ユウさんなんですか?」
「うん、久しぶりね」
モニターに写ったのは、若い女性。
真っ直ぐで艶のある黒髪は胸元まで掛かっている。クッキリとした顔立ちは大人っぽい感じだが、瞳は大きく幼さも見え、真っ赤な口紅は魅力的で肉厚な唇を強調している。
「どうしたんですか?」
ハレオがユウと呼ぶ女性の横には大きなキャリーケースが置かれている。ハレオはそれを見て不思議がった。
「ハレちゃんにお願いがあってきたんだ。とりあえず入れてよ」
「えっ、いや、でも今は友達が来ててですね」
「ハレちゃん?女の子を待たせるのはダメだって教えたでしょ?」
「は、はい、今開けますね」
ハレオは、その女性がほっぺそ少し膨らませて怒る素振りに、条件反射の様にロックを解除し招き入れた。
「お兄ちゃん、誰か来たの?」
「え、ああ、ちょっと昔の知り合いが訪ねてきてな、すまないがトウカの部屋にスミレとボタンを連れてって遊んでてくれないか」
「うん、いいけど」
ガチャ。
「こんにちわ~」
女性はドアを開け綺麗な声で挨拶をした。
「こんにちわ……ってアレ?」
「まぁ可愛い子ね、ハレちゃんの彼女さん?」
「ち、違いますよ、妹のトウカです」
「妹さんか、ああ、井本さん家の」
「知ってるんですか?」
「ええ、もちろんよ、私たち家族みたいなものでしょ」
「もう、それは終わったじゃないですか」
「そんな暗い顔しないでハレちゃん」
「ク、クズナ・ユウだ!ほ、本物ですか?」
トウカが目をキラキラと輝かせながら突然声を張り上げる。
「トウカ、知ってるのか?」
「知らないわけないじゃないの、超有名人よ、アイドル声優、葛声クズナ優ユウさんよっ」
不思議がるハレオの服をグイグイと引っ張りながら興奮するトウカ。
「初めまして、トウカちゃんって言うのね。これからよろしくね」
「はあああああ、耳が耳が喜んでいます。よろしくお願いしますー……って何をですか?」
「「なになに、どうしたの?」」
スミレとボタンがドタバタと玄関先に集まってきた。
「きゃーーーーーーー、ゆ、ゆ、ユウ様、あわあわあわ……」
「え?誰?」
トウカよりも更に興奮するスミレと、眉を顰めるボタン。
「あら~流石ねハレちゃん、血は争えないってこのことね」
ユウは、おちついた口調でハレオに近づき腕を組んだ。
「初めまして、今日からお世話になるクズナ・ユウです。みんな宜しくね」
首を傾げる者、目を見開く者、怒り狂う者、理解に苦しむ者。
そのユウの言葉に、全員違う表情を見せたのだった。
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