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最果ての森・成長編

91. 中級魔法①

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「それじゃあ早速、練習を始めようか!」

 ライがテンション高めで開始を告げる。

「まずはティアからね。最初は土属性の魔法をやってみようか。アースショットっていう魔法なんだけ······あっ」

 喋っている途中で何かを思い出したようで、ライの言葉が途切れた。

「えーっと、この魔法は、その···」

 いつも魔法のことになると饒舌なライが、珍しく喋りづらそうにしている。

「ライ、どうしたのだ?···そういえば、アースショットは以前ご主人が教えてくれた魔法だな。···ああ、そうか!ライ、気遣いは無用だぞ!ワレはこの魔法が使えるようになることで、前世よりも成長してみせるのだ!」

 そうか、ライもアースショットがティアの前世を終わらせた魔法だということを思い出したのか。
 しかしティアは、この魔法を覚えることを前向きにとらえている。ティアのこの性格は素敵だと思う。

 ライはティアの言葉に一瞬目を見開いて、それから優しく微笑む。

「ふふ、ティアはすごいね。きっと前世より一回りも二回りも成長できるよ」

「ほ、本当か!?頑張るのだ!」

 尻尾が千切れんばかりに振られている。ティアのやる気はMAXだ。

 それからライによるアースショットの説明が始まった。
 従来のバージョンと、僕の改良バージョンの両方を教えている。

「ご主人のアースショットは説明を受けたから知っていたが······一般的なものとは大違いではないか!!!」

 驚きのあまり、ティアの声が大きくなる。最後の方はほぼ叫びだ。
 ライは、「うんうん、その気持ち、よく分かるよ」と大きく頷いている。

「ふふ、ティアには改良版を習得してもらうよ」

 そう言ってライはアースウォールを作り、そこにアースショットを撃つ。もちろん僕の改良バージョンだ。

 細かい説明を受け、ティアはアースショットの練習に入る。
 するとライは僕の方を向き、ニッコリと笑う。

「ふふ、それじゃあ今度はウィル君の番だよ。せっかくここに来たから、広範囲におよぶ魔法を練習してみよう。まずは火属性の中級魔法、ファイアウェーブだよ」

 ライが魔法名を唱えて魔法を放つと、ゴウッと音を立てて火が十メートルほど先まで地面に広がり、赤い絨毯のようになっている。

「火の範囲はしっかりイメージしてね。広いほど必要な魔力の量は多くなるよ。魔力が足りないと不発に終わることもあるから気をつけてね」

 ライが作った赤い絨毯を見て、火渡りを思い出した。心頭を滅却すれば、涼しく感じるのだろうか。
 ···いや、試さないよ?心頭滅却なんて、できる気がしない。まあ、心の持ち方は大事だと思うけどね。···いやいや、試さないよ?

 つい余計なことを考えてしまったので、思考をファイアウェーブに戻す。
 範囲は、ライのと同じくらいでいいかな。魔力はどれくらい込めたらいいのだろうか。うーん、不発だったら嫌だから多めにしておこう。あ、これもファイアショットみたいに火の温度は上げられるかな?
 イメージを固めて、魔力を込める。

「『火波ふぁいあうぇーぶ』!」

 ライのときと同じように、ゴウッと音を立てて火が広がる。
 思っていたよりも火に高さがあるが、魔力が多かったのだろうか。でも結構いい感じにできたんじゃないかと思う。

「な、なぜご主人のは色が違うのだ?」

 ティアが戸惑いの声を上げる。

「おお!これも熱くしたのか!」

「あはは!やっぱりウィルくんの魔法は面白いねー!」

 僕のファイアショットを知っているテムとファムには好評のようだ。

「ふふふ、···黄色いね」

 そう、黄色い絨毯の完成だ。





 名前:ウィル

 種族:人族ヒューマン
 年齢:1
 レベル:56

 スキル:成長力促進、言語理解、魔力操作、魔力感知、テイム
 魔法:火属性魔法(初級)
    水属性魔法(初級)、氷属性魔法(初級)
    土属性魔法(初級)
    風属性魔法(初級)
    光属性魔法(初級)
    火柱フレイム火波ファイアウェーブ
 耐性:熱冷耐性

 加護:リインの加護
 称号:異世界からの転生者、黒龍帝の愛息子、雷帝の愛弟子
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