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最果ての森編
6. 自己紹介
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ぱちくり。朝だ!
今日こそは魔力について教えてもらおう!あとできれば他の事も色々教えてもらいたい!
「起きたか?」
ガチャリとドアが開き、男が入って来る。
「おはよう」
かーーー!イケメンのおはよういただきました!!
男はおかしなテンションになっている僕をひょいと抱え、リビングへ。
今回はもうすでにテーブルにスープの入った皿が置いてある。
椅子にはクッションが一つずつ。
ということは。
僕はイケメンの膝の上。
「腹減ってるか?」
スープを掬ったスプーンを僕の口元に近づける。今日フーフーしないのは、もうあらかじめ適温にしてあるのだろう。
今日もイケメンがイケメン過ぎて辛い。
むず痒くなりながらも、あーんと口を開く。
「わあ!ジルがちっちゃい子抱えてる!」
バタンと玄関のドアが開いたと同時に、声が響く。
入って来たのはスラリとした長身に腰まで届くプラチナブロンドの髪が眩しい色白のイケメン。空色の瞳をこれでもかというほど開いて、こちらを指さしている。
「うるさい」
「ふふ、ほんとに赤ん坊だね!世話してるのかい?このジルが?」
「うるさい」
僕を拾ってくれたこの男は、ジルという名前なのか?
ジルが色白イケメンに構わず僕にあーんをしてくる。
なにこれ恥ずかしい。
ジルを見ると、エメラルドの瞳が食べて欲しそうに揺らめくので羞恥をぐっと堪えて口を開く。
「ふふ、世話してる!食べた!君、ちっちゃくて可愛いねえ!」
色白イケメンの言葉は聞き流し、無心であーんをされ続けた。
ふう。美味しゅうございました。
さて。君達は誰かな?
僕とジルの食事中に、色白イケメンの他にもう二人、来訪者があったのだ。
一人は、白銀の髪と紅の瞳を持つ、イケメン。背中には羽があり、宙に浮いている。身長約二十センチ。
もう一人(?)は、乳白色の、スライム?高さ約二十センチ。
食事中、ジルに相手にしてもらえなかった色白イケメンと、妖精さん?と、スライム?の三人でわちゃわちゃしていた。
なんか、すごいお腹いっぱい。
「それじゃあ、まずは自己紹介をしようか!」
食事を終えたところで、色白イケメンがそう切り出した。
「私はライナー=ベルナート。ライって呼んでね。ハイエルフって知ってるかい?自然を好み、森に住むエルフという種族があるんだ。そしてハイエルフは、簡単に言うと、エルフの進化系だよ」
外見からもしかしてと思っていたが、エルフではなくハイエルフなのか。
「雑な自己紹介だなあ、ライ。補足しておくと、ハイエルフになるには、エルフの種族限界を超えて成長する必要があるから、簡単ではないんだ。ハイエルフは世界で数人しか確認されてないんだぜ」
二ヒヒと笑いながら説明してくれたのは、妖精さん。
「そしてオレはテム!見ての通り、妖精だ!」
そう言ってくるくると舞う。
「テムのも雑だよー。テムはね、希少な属性魔法を使える珍しい妖精さんなんだよー」
乳白色のスライムがぽよぽよと上下運動している。口が無いのになんで声が聞こえてるんだ?
「ぼくはファム。スライムだよー。ぼくも魔法が使えるんだ。一番得意なのは回復かなあ。あ、この声はね、思念を魔力で届けてるんだよー。他のスライム達もできたらいいんだけど、これが出来る子にはまだ会ったことないなあ」
ほう。魔力でそんな事ができるのか。
早く魔力の使い方を教えて欲しい!といまだに僕を膝の上に抱えるジルを見上げる。
「ジルヴェルドだ」
「ジル、名前を言ってなかったのかい?うっかりさんだねえ」
「うるさい」
ジルはジルヴェルドか。ジルって呼んでいいのだろうか?
「あう?」
「ジルでいい」
通じたー!
「ジル、この子が何て言ってるか分かるのかい?」
「・・・何となく」
「へえ、すごいじゃないか。無愛想なジルとコミュニーケーションをとれるなんて」
「そっちか?でもまあ、ジルは顔には出ないが結構分かりやすいと思うぞ?」
「そうだねー。目とか雰囲気とかですごく伝わってくるよー。優しい感じとか特にねー」
「うーん、確かに。よく見ると・・・顔が赤くないかい?」
えっ?とジルの顔を見ると、確かに。
元々浅黒くて分かりづらいが、ほんのり赤い。そして心なしかプルプルしてる。
「う、うるさい。お前もこっちを見るな」
イケメンが可愛すぎて辛い。
少しの会話だが、彼らの仲の良さが伝わってくる。
あ、ジルの種族ってまだ聞いてないよな?
「あう?」
「ん?なんだ?」
「あうあう?」
「ああ、俺はドラゴンだ」
「あう!?!?」
ドラゴンだと・・・!?
「そうだぜ。ジルは黒龍帝と呼ばれていてな、白龍帝、青龍帝、赤龍帝の四龍帝が、世界に数千体いるドラゴンの頂点なんだぜ」
何故かテムがドヤ顔をしている。
なんなんだこの人達は···
世界に数人しかいないハイエルフの一人、希少属性の魔法を操る妖精、意思疎通可能で回復魔法を使えるスライム、そしてドラゴンのトップ。
「さあ、次は君の番だよ」
ライがニコニコしながらそう言った。
今日こそは魔力について教えてもらおう!あとできれば他の事も色々教えてもらいたい!
「起きたか?」
ガチャリとドアが開き、男が入って来る。
「おはよう」
かーーー!イケメンのおはよういただきました!!
男はおかしなテンションになっている僕をひょいと抱え、リビングへ。
今回はもうすでにテーブルにスープの入った皿が置いてある。
椅子にはクッションが一つずつ。
ということは。
僕はイケメンの膝の上。
「腹減ってるか?」
スープを掬ったスプーンを僕の口元に近づける。今日フーフーしないのは、もうあらかじめ適温にしてあるのだろう。
今日もイケメンがイケメン過ぎて辛い。
むず痒くなりながらも、あーんと口を開く。
「わあ!ジルがちっちゃい子抱えてる!」
バタンと玄関のドアが開いたと同時に、声が響く。
入って来たのはスラリとした長身に腰まで届くプラチナブロンドの髪が眩しい色白のイケメン。空色の瞳をこれでもかというほど開いて、こちらを指さしている。
「うるさい」
「ふふ、ほんとに赤ん坊だね!世話してるのかい?このジルが?」
「うるさい」
僕を拾ってくれたこの男は、ジルという名前なのか?
ジルが色白イケメンに構わず僕にあーんをしてくる。
なにこれ恥ずかしい。
ジルを見ると、エメラルドの瞳が食べて欲しそうに揺らめくので羞恥をぐっと堪えて口を開く。
「ふふ、世話してる!食べた!君、ちっちゃくて可愛いねえ!」
色白イケメンの言葉は聞き流し、無心であーんをされ続けた。
ふう。美味しゅうございました。
さて。君達は誰かな?
僕とジルの食事中に、色白イケメンの他にもう二人、来訪者があったのだ。
一人は、白銀の髪と紅の瞳を持つ、イケメン。背中には羽があり、宙に浮いている。身長約二十センチ。
もう一人(?)は、乳白色の、スライム?高さ約二十センチ。
食事中、ジルに相手にしてもらえなかった色白イケメンと、妖精さん?と、スライム?の三人でわちゃわちゃしていた。
なんか、すごいお腹いっぱい。
「それじゃあ、まずは自己紹介をしようか!」
食事を終えたところで、色白イケメンがそう切り出した。
「私はライナー=ベルナート。ライって呼んでね。ハイエルフって知ってるかい?自然を好み、森に住むエルフという種族があるんだ。そしてハイエルフは、簡単に言うと、エルフの進化系だよ」
外見からもしかしてと思っていたが、エルフではなくハイエルフなのか。
「雑な自己紹介だなあ、ライ。補足しておくと、ハイエルフになるには、エルフの種族限界を超えて成長する必要があるから、簡単ではないんだ。ハイエルフは世界で数人しか確認されてないんだぜ」
二ヒヒと笑いながら説明してくれたのは、妖精さん。
「そしてオレはテム!見ての通り、妖精だ!」
そう言ってくるくると舞う。
「テムのも雑だよー。テムはね、希少な属性魔法を使える珍しい妖精さんなんだよー」
乳白色のスライムがぽよぽよと上下運動している。口が無いのになんで声が聞こえてるんだ?
「ぼくはファム。スライムだよー。ぼくも魔法が使えるんだ。一番得意なのは回復かなあ。あ、この声はね、思念を魔力で届けてるんだよー。他のスライム達もできたらいいんだけど、これが出来る子にはまだ会ったことないなあ」
ほう。魔力でそんな事ができるのか。
早く魔力の使い方を教えて欲しい!といまだに僕を膝の上に抱えるジルを見上げる。
「ジルヴェルドだ」
「ジル、名前を言ってなかったのかい?うっかりさんだねえ」
「うるさい」
ジルはジルヴェルドか。ジルって呼んでいいのだろうか?
「あう?」
「ジルでいい」
通じたー!
「ジル、この子が何て言ってるか分かるのかい?」
「・・・何となく」
「へえ、すごいじゃないか。無愛想なジルとコミュニーケーションをとれるなんて」
「そっちか?でもまあ、ジルは顔には出ないが結構分かりやすいと思うぞ?」
「そうだねー。目とか雰囲気とかですごく伝わってくるよー。優しい感じとか特にねー」
「うーん、確かに。よく見ると・・・顔が赤くないかい?」
えっ?とジルの顔を見ると、確かに。
元々浅黒くて分かりづらいが、ほんのり赤い。そして心なしかプルプルしてる。
「う、うるさい。お前もこっちを見るな」
イケメンが可愛すぎて辛い。
少しの会話だが、彼らの仲の良さが伝わってくる。
あ、ジルの種族ってまだ聞いてないよな?
「あう?」
「ん?なんだ?」
「あうあう?」
「ああ、俺はドラゴンだ」
「あう!?!?」
ドラゴンだと・・・!?
「そうだぜ。ジルは黒龍帝と呼ばれていてな、白龍帝、青龍帝、赤龍帝の四龍帝が、世界に数千体いるドラゴンの頂点なんだぜ」
何故かテムがドヤ顔をしている。
なんなんだこの人達は···
世界に数人しかいないハイエルフの一人、希少属性の魔法を操る妖精、意思疎通可能で回復魔法を使えるスライム、そしてドラゴンのトップ。
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ライがニコニコしながらそう言った。
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