上 下
5 / 115
最果ての森編

4. 検証

しおりを挟む
 ぱちくり。目が覚めた。
 外は真っ暗だ。

 腹一杯食べてぐっすり眠って、体力充実!

 この世界に転生して、ようやく色々と考える時間が取れそうだ。

 まず、僕は転生して名前が無くなった。
 この体の元々の持ち主がいたとして、その人の名前が何かは知らないが、今の僕には無いということはステータスで明らかだ。
 自分で名前を付けようか?
 前世の名前でもいいが、この世界には馴染みのない響きかもしれない。
 うーん、とりあえず保留にしとこう。

 次に、この世界には魔法がある。
 ライトノベル愛読家としては、是非とも使えるようになりたい。
 習得方法を調べないとな。

 スキルに関しても、後天的に取得可能なのかを知りたい。
 成長力促進なんてチートな雰囲気があるが、他のスキルも獲得できたら嬉しい。

 そういえば、どの小説でも、魔法を使うには魔力が必要だったよな?

 僕には魔力があるのだろうか。

 うーーーん、魔力···魔力···

 どうやったら分かるんだ?

 あのイケメンが空を飛んだとき、どんな感じだったっけ?
 衝撃的過ぎてあまり覚えてないわ。

 とりあえず体内に意識を向けてみる。

 魔力···魔力···

 身体中を巡っているのだろうか?
 血液みたいな感じ?

 魔力···魔力···

 何かが体内を流れている感覚がする。

 イメージを続けていると、自分のイメージと体内の流れが一致するような感覚がした。
 流れを早めようとすると早くなるし、逆も同じ。一箇所に留めようと思うと、その部分に溜まっている感じがする。

 これが魔力なのか?

「おい、大丈夫か?」

 男が入って来た。声が少し硬い気がする。

「あう?」

 どうしたんだ?と思って声を出すと、こちらをじっと見つめる男。
 イケメンの眼力凄いな···と思いながら見返していると、男がふっと息を吐く。

「魔力が動く気配がしたから様子を見に来た。お前がやったのか?」

 あ、バレてた。
 というか、あれが魔力で合ってたんだ!

「あう!」

 思わず喜びが弾けて肯定するような返事になってしまった。

「···そうか。お前、魔力に関して知識があるのか?」

「···あう?」

「無いなら教えよう」

「あう?あうあう!」

「ただ今日はもう遅い。もう一眠りして、明日になってからだ」

「あう···」

 何故か成立する会話に感動しつつも、今日はもう情報を得られないことに落胆する。

「そんな顔をするな。明日教えてやるから」

 そう言ってぎこちなくはあるが、優しく頭を撫でてくる。
 前世でも感じたことの無い温もりに、心が震えた気がした。

「おやすみ」

 さっきまで目が冴えていたはずなのに、僕の瞼は閉じていった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

漫画の寝取り竿役に転生して真面目に生きようとしたのに、なぜかエッチな巨乳ヒロインがぐいぐい攻めてくるんだけど?

みずがめ
恋愛
目が覚めたら読んだことのあるエロ漫画の最低寝取り野郎になっていた。 なんでよりによってこんな悪役に転生してしまったんだ。最初はそう落ち込んだが、よく考えれば若いチートボディを手に入れて学生時代をやり直せる。 身体の持ち主が悪人なら意識を乗っ取ったことに心を痛める必要はない。俺がヒロインを寝取りさえしなければ、主人公は精神崩壊することなくハッピーエンドを迎えるだろう。 一時の快楽に身を委ねて他人の人生を狂わせるだなんて、そんな責任を負いたくはない。ここが現実である以上、NTRする気にはなれなかった。メインヒロインとは適切な距離を保っていこう。俺自身がお天道様の下で青春を送るために、そう固く決意した。 ……なのになぜ、俺はヒロインに誘惑されているんだ? ※他サイトでも掲載しています。 ※表紙や作中イラストは、AIイラストレーターのおしつじさん(https://twitter.com/your_shitsuji)に外注契約を通して作成していただきました。おしつじさんのAIイラストはすべて商用利用が認められたものを使用しており、また「小説活動に関する利用許諾」を許可していただいています。

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

【完結】極貧イケメン学生は体を売らない。【番外編あります】

紫紺(紗子)
BL
貧乏学生をスパダリが救済!?代償は『恋人のフリ』だった。 相模原涼(さがみはらりょう)は法学部の大学2年生。 超がつく貧乏学生なのに、突然居酒屋のバイトをクビになってしまった。 失意に沈む涼の前に現れたのは、ブランドスーツに身を包んだイケメン、大手法律事務所の副所長 城南晄矢(じょうなんみつや)。 彼は涼にバイトしないかと誘うのだが……。 ※番外編を公開しました(10/21) 生活に追われて恋とは無縁の極貧イケメンの涼と、何もかもに恵まれた晄矢のラブコメBL。二人の気持ちはどっちに向いていくのか。 ※本作品中の公判、判例、事件等は全て架空のものです。完全なフィクションであり、参考にした事件等もございません。拙い表現や現実との乖離はどうぞご容赦ください。 ※4月18日、完結しました。ありがとうございました。

中イキできないって悲観してたら触手が現れた

AIM
恋愛
ムラムラして辛い! 中イキしたい! と思ってついに大人のおもちゃを買った。なのに、何度試してもうまくいかない。恋人いない歴=年齢なのが原因? もしかして死ぬまで中イキできない? なんて悲観していたら、突然触手が現れて、夜な夜な淫らな動きで身体を弄ってくる。そして、ついに念願の中イキができて余韻に浸っていたら、見知らぬ世界に転移させられていた。「これからはずーっと気持ちいいことしてあげる♥」え、あなた誰ですか?  粘着質な触手魔人が、快楽に弱々なチョロインを遠隔開発して転移させて溺愛するお話。アホっぽいエロと重たい愛で構成されています。

今日で都合の良い嫁は辞めます!後は家族で仲良くしてください!

ユウ
恋愛
三年前、夫の願いにより義両親との同居を求められた私はは悩みながらも同意した。 苦労すると周りから止められながらも受け入れたけれど、待っていたのは我慢を強いられる日々だった。 それでもなんとななれ始めたのだが、 目下の悩みは子供がなかなか授からない事だった。 そんなある日、義姉が里帰りをするようになり、生活は一変した。 義姉は子供を私に預け、育児を丸投げをするようになった。 仕事と家事と育児すべてをこなすのが困難になった夫に助けを求めるも。 「子供一人ぐらい楽勝だろ」 夫はリサに残酷な事を言葉を投げ。 「家族なんだから助けてあげないと」 「家族なんだから助けあうべきだ」 夫のみならず、義両親までもリサの味方をすることなく行動はエスカレートする。 「仕事を少し休んでくれる?娘が旅行にいきたいそうだから」 「あの子は大変なんだ」 「母親ならできて当然よ」 シンパシー家は私が黙っていることをいいことに育児をすべて丸投げさせ、義姉を大事にするあまり家族の団欒から外され、我慢できなくなり夫と口論となる。 その末に。 「母性がなさすぎるよ!家族なんだから協力すべきだろ」 この言葉でもう無理だと思った私は決断をした。

今世ではあなたと結婚なんてお断りです!

水川サキ
恋愛
私は夫に殺された。 正確には、夫とその愛人である私の親友に。 夫である王太子殿下に剣で身体を貫かれ、死んだと思ったら1年前に戻っていた。 もう二度とあんな目に遭いたくない。 今度はあなたと結婚なんて、絶対にしませんから。 あなたの人生なんて知ったことではないけれど、 破滅するまで見守ってさしあげますわ!

転生令嬢、シスコンになる ~お姉様を悪役令嬢になんかさせません!~

浅海 景
恋愛
物心ついた時から前世の記憶を持つ平民の子供、アネットは平凡な生活を送っていた。だが侯爵家に引き取られ母親違いの姉クロエと出会いアネットの人生は一変する。 (え、天使?!妖精?!もしかしてこの超絶美少女が私のお姉様に?!) その容姿や雰囲気にクロエを「推し」認定したアネットは、クロエの冷たい態度も意に介さず推しへの好意を隠さない。やがてクロエの背景を知ったアネットは、悪役令嬢のような振る舞いのクロエを素敵な令嬢として育て上げようとアネットは心に誓う。 お姉様至上主義の転生令嬢、そんな妹に絆されたクーデレ完璧令嬢の成長物語。 恋愛要素は後半あたりから出てきます。

お祭 ~エロが常識な世界の人気の祭~

そうな
BL
ある人気のお祭に行った「俺」がとことん「楽しみ」つくす。 備品/見世物扱いされる男性たちと、それを楽しむ客たちの話。 (乳首責め/異物挿入/失禁etc.) ※常識が通じないです

処理中です...