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8話

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国王への謁見の日。
私はスノーを抱きしめたまま、あの時は追い出された城へ足を踏み入れていた

門番の一人は私を聖女と呼んだ兵士だった
私の姿を見ると同時に再び跪いたのにはびっくりした

【ブルーデイジー】には聖女の伝説がある
この国の聖女は特殊な治癒魔法を使い、国を守る
更には戦場では前線に立ち、指揮を取り
ブルーデイジーを守り続けたらしい

その時の聖女の名前はこの国の国王へ代々伝わっているらしい


私は、そんな聖女になんてなれない
ましてや、5歳に戻っても一部では「子どもらしくない」「子どものくせに王太子を誑かした悪女」などと言われているらしいし


ついついため息が漏れてしまう


「リア、大丈夫か?」

「あ、はい。お父様」

「体調が悪くなったら私にちゃんと言うんだよ」

「はい、わかってます。お父様」

「スノーも、ここでは喋らず、リアの側にいてくれ」

「きゅうっ!」


任せろ!と言わんばかりに胸を張るスノーに、お父様と私はクスッと笑いをこぼした



国王のいる部屋に案内をされ、扉の前に立っていた

心臓がドキドキする。
私が初めて国王に会ったのは、国王がすでに病に伏せっていた時だった


真っ白な髪に、力なく閉じた目。細く折れそうな手で私の頭を撫でて謝っていた国王様…

『息子と、結婚してほしかった。すまない。すまない。君の未来を縛りつけてしまって』

そんなことをずっと謝ってくれていた

……国王が亡くならなければ、もう一人のお父様として仲良く過ごす未来もあったのだろうか…

モヤモヤと黒い感情が再びわき始める

ダメダメと首を横に振り、扉を見つめる


「失礼いたします」


お父様の声と共に扉が開く
扉の先には優しそうな笑みを浮かべた黒髪で標準体型くらいの国王が座っていた


「あぁ、呼び立ててすまないね。私の私室だから好きに座ってくれ」

「はっ」


お父様は私に椅子を引いてくれて、座るように促してくれた

私は座る前に頭を下げ、国王へ挨拶をする


「お初にお目にかかります。リューレイド家、長女。ダリア・リューレイドと申します」


私の挨拶に国王様はぽかんとしたあとに大きな口を開けて笑い始めた


「ははっ、ガーネット。お前の娘は本当に息子とお前の言うとおり賢く、礼儀正しすぎる子だな」

「国王様の息子さんほどではありませんよ」

「まぁ、アヤツも子どもらしくないからなぁ。にしても、ここには私達しかおらん。友人として話せ、ガーネット」

「わかりましたよ。本当に昔から変わりませんね。サザンカ」


どうやら国王様とお父様は親友だったらしい
意外な関係を昔は知らなかった、と思いながら私は席についた

スノーを膝に乗せたまま、私は国王からの言葉を待つのだった
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