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6話
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お父様にお願いするのは案外簡単だった
スノーは魔族、と言うよりは聖獣に近いかもしれないという話も出た
けれどスノー自身もよくわからないといった反応だったから多分違うと思う
城の兵士からお父様は私の聖女説を聞かされ、とても驚いていた
「…はぁ………」
自室に戻り、スノーをベットへ下ろし私もその横に倒れ込む
「お嬢様、行儀悪いですよ。着替えてからにしましょう」
「…えぇ」
返事をするが、眠気が襲ってくる
魔法を使ったせいなのか、今まで体験したことのないくらいの眠気だった
「ごめんなさい、ヒナ。おきれ、ない」
その一言を告げ、私は眠りについた
あぁ、5歳に戻ったせいなのかすぐに眠くなってしまう…おかしいくらいに……
夢の中で、私は知らない草原を歩いていた
自分の髪が目の前になびくと、普段は薄紫の髪色なのに桃色に染まっているように見える
「ここは…」
「ダリア」
あたりを見渡していると名前を呼ばれて振り返る
後ろにはサファイア色の瞳をした銀髪の青年が立っていた
「貴方は…」
「カランコエ。この花と同じ名前だよ」
花の名前をもらっているということはこの人も魔力を持って生まれたのだろうか?
「君を守るよ。今度こそ」
「どういうこと?」
「まだ知らなくていい。ただ、僕は……僕達は君を守るためにここにいる」
優しく微笑むカランコエ。
ただその青い瞳がとてもきれいだった
「またね。ダリア」
その言葉と同時に私の意識は現実へ引き戻された
「お嬢様」
「……?」
ゆっくりと目を開けるとランが心配そうに私をのぞき込んでいた
「今、何時?」
「もう20時を過ぎてますよ」
「…晩御飯食べ損ねちゃったわね」
私の言葉にランはキョトンとしてから吹き出した
「お嬢様っ、ご飯の心配ですかっ!?珍しいっっっ待って、笑いが止まらないっ」
「失礼な、私だって5歳よ。ご飯の心配くらいするわよ」
ふんっとベットへ座りなおすと、横で一緒に寝ていたのかスノーがのそのそと私の膝に乗ってきた
「スノー?起こしちゃったかしら」
「ううん。大丈夫だよ」
私がスノーと会話してるのをみてランは2度目のキョトン顔
その後びっくりしたのか尻もちをついてしまった
「ラン?」
「なっなっなんでその子は人の言葉を喋れてるんですか!?」
「……!?」
そうだ、名前をつけるまでは頭に直接話しかけてきてたんだ
というか、今の声はランにも聞こえるの?
「スノー、あなたの声、他の人にも聞こえるの?」
「魔力を持ってる人なら大抵聞こえると思うよ」
「なるほど……」
なら他の魔力を持った人の前ではスノーと会話するのは控えたほうがいいかもしれない
「え、えぇ……お嬢様、その子……スノーちゃんって一体何者なんですか」
「……魔物の子供だと思うのだけど」
「…でも、魔物って言葉を喋りませんよね?」
「それは理性を失ってるからよ」
魔族にも理性的な魔族、理性を失った魔族がいる
理性的な魔族は人間との約束を規律として守り、理性を失った魔族をしっかりと管理している。攻撃的ではなく、頭もいい。しかも基本的には人型をしているものが多い。魔力量が多いため、頭がいいと言われている。
逆に理性を失った魔族は基本的に言葉の概念がない
攻撃的で、魔力量は少なく、同じ魔族の言葉しか聞こえないらしい
姿も人型ではなく異形型や動物型がおおくこちらを基本的に魔物と呼ぶ
スノーの場合は姿が動物型なので魔物と呼ばせてもらっていたが、言葉の感じだと魔族、のほうが正しいのかもしれない
「……スノー貴方、お兄さんとはぐれたのよね」
「うん、兄はね、真っ黒な長い毛を持ってるんだ」
「真っ黒……」
「目はね、僕と違って緑色なんだ!」
スノーの瞳は赤色に輝いていた
赤い瞳。何かの本で読んだことがあったような……
「お兄さんを探すのも必要ね…ラン。国王様の兵に探りを入れて」
「ヒナ姉に頼んできます!」
「黒い毛並みで、エメラルドのような瞳をもった魔族の記録を探してもらって」
「了解でーす!!」
ランは部屋を出ると全速力で走っているのか、外からすごい音がした
「スノー、貴方のお兄さんは私達が見つけるからね」
「ありがとうダリア!ねぇ、ダリアのことリアって呼んでいい?」
「えぇ、いいわよ」
私がそう言うとスノーは嬉しそうに尻尾をパタパタさせたのだった
スノーは魔族、と言うよりは聖獣に近いかもしれないという話も出た
けれどスノー自身もよくわからないといった反応だったから多分違うと思う
城の兵士からお父様は私の聖女説を聞かされ、とても驚いていた
「…はぁ………」
自室に戻り、スノーをベットへ下ろし私もその横に倒れ込む
「お嬢様、行儀悪いですよ。着替えてからにしましょう」
「…えぇ」
返事をするが、眠気が襲ってくる
魔法を使ったせいなのか、今まで体験したことのないくらいの眠気だった
「ごめんなさい、ヒナ。おきれ、ない」
その一言を告げ、私は眠りについた
あぁ、5歳に戻ったせいなのかすぐに眠くなってしまう…おかしいくらいに……
夢の中で、私は知らない草原を歩いていた
自分の髪が目の前になびくと、普段は薄紫の髪色なのに桃色に染まっているように見える
「ここは…」
「ダリア」
あたりを見渡していると名前を呼ばれて振り返る
後ろにはサファイア色の瞳をした銀髪の青年が立っていた
「貴方は…」
「カランコエ。この花と同じ名前だよ」
花の名前をもらっているということはこの人も魔力を持って生まれたのだろうか?
「君を守るよ。今度こそ」
「どういうこと?」
「まだ知らなくていい。ただ、僕は……僕達は君を守るためにここにいる」
優しく微笑むカランコエ。
ただその青い瞳がとてもきれいだった
「またね。ダリア」
その言葉と同時に私の意識は現実へ引き戻された
「お嬢様」
「……?」
ゆっくりと目を開けるとランが心配そうに私をのぞき込んでいた
「今、何時?」
「もう20時を過ぎてますよ」
「…晩御飯食べ損ねちゃったわね」
私の言葉にランはキョトンとしてから吹き出した
「お嬢様っ、ご飯の心配ですかっ!?珍しいっっっ待って、笑いが止まらないっ」
「失礼な、私だって5歳よ。ご飯の心配くらいするわよ」
ふんっとベットへ座りなおすと、横で一緒に寝ていたのかスノーがのそのそと私の膝に乗ってきた
「スノー?起こしちゃったかしら」
「ううん。大丈夫だよ」
私がスノーと会話してるのをみてランは2度目のキョトン顔
その後びっくりしたのか尻もちをついてしまった
「ラン?」
「なっなっなんでその子は人の言葉を喋れてるんですか!?」
「……!?」
そうだ、名前をつけるまでは頭に直接話しかけてきてたんだ
というか、今の声はランにも聞こえるの?
「スノー、あなたの声、他の人にも聞こえるの?」
「魔力を持ってる人なら大抵聞こえると思うよ」
「なるほど……」
なら他の魔力を持った人の前ではスノーと会話するのは控えたほうがいいかもしれない
「え、えぇ……お嬢様、その子……スノーちゃんって一体何者なんですか」
「……魔物の子供だと思うのだけど」
「…でも、魔物って言葉を喋りませんよね?」
「それは理性を失ってるからよ」
魔族にも理性的な魔族、理性を失った魔族がいる
理性的な魔族は人間との約束を規律として守り、理性を失った魔族をしっかりと管理している。攻撃的ではなく、頭もいい。しかも基本的には人型をしているものが多い。魔力量が多いため、頭がいいと言われている。
逆に理性を失った魔族は基本的に言葉の概念がない
攻撃的で、魔力量は少なく、同じ魔族の言葉しか聞こえないらしい
姿も人型ではなく異形型や動物型がおおくこちらを基本的に魔物と呼ぶ
スノーの場合は姿が動物型なので魔物と呼ばせてもらっていたが、言葉の感じだと魔族、のほうが正しいのかもしれない
「……スノー貴方、お兄さんとはぐれたのよね」
「うん、兄はね、真っ黒な長い毛を持ってるんだ」
「真っ黒……」
「目はね、僕と違って緑色なんだ!」
スノーの瞳は赤色に輝いていた
赤い瞳。何かの本で読んだことがあったような……
「お兄さんを探すのも必要ね…ラン。国王様の兵に探りを入れて」
「ヒナ姉に頼んできます!」
「黒い毛並みで、エメラルドのような瞳をもった魔族の記録を探してもらって」
「了解でーす!!」
ランは部屋を出ると全速力で走っているのか、外からすごい音がした
「スノー、貴方のお兄さんは私達が見つけるからね」
「ありがとうダリア!ねぇ、ダリアのことリアって呼んでいい?」
「えぇ、いいわよ」
私がそう言うとスノーは嬉しそうに尻尾をパタパタさせたのだった
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