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暫くして、リアが連れて行ってくれたのは山の奥にある場所だった
「こっち」
リアに手を引かれ先に進む
森の中を歩いているためか、足元がおぼつかない
リアの手のぬくもりだけが私を引っ張ってくれている
でも……この森を私は知っている気がした
森の中を抜けるとさっきまでの暗さから一気に明かりで目が眩む
「レモン、見てみてよ」
リアの言葉にゆっくりと目を開ける
目の前に広がっていたのは
色とりどりの花が咲く花畑だった
「きれい……」
「だろ?ここは特別な場所なんだ」
「特別……」
「そう」
私の手を離し、花畑の方へ歩き出すリア
その後ろ姿はとても神秘的に見えた
他の人たちみたいに赤や青、黄色な髪じゃなくて、本当に漆黒の髪がサラリと風に揺れる
後側で結んでいるから余計に揺れやすいのだろう
そして私を見つめるリア
それはまるでゲームに出てくるスチルの様だった
「ここはね、祝福の花畑」
「祝福の花畑……」
リアは優しく微笑みかけ、私においで、と言うように手を差し出してくれる
ドキッと私の胸は跳ねる
初めての気持ちに戸惑いながらも、私はリアの手をとる
「ここは、別の国の王妃がね魔法をかけたんだ。幸せになれる魔法」
「王妃様が?」
「そう。それからはここはプロポーズした人たちは永遠に結ばれるとか、幸せになれるとか願い事が叶うとか言われているんだ」
そんな場所があるなんて初めて知った。
まぁ、魔法も知らなかったのだし仕方ないかもしれない
「ねぇ、レモン」
「なに?」
「俺もレモンのこと、レモって呼んでいい?」
「リアならいいわよ?」
「そっか、よかった」
そう言って笑うリアは年相応に見えた
いつものリアは私の本来の年齢より大人びて見えている
どこか安心する笑顔に私も笑みを漏らす
「レモ、あのね」
「どうしたの?」
リアは私の手を掴んだまま、私の前に跪く
まるで絵本やゲームの中の王子様のように
「あ、の…」
「俺と結婚しよう」
サァッ……と風が吹く
色とりどりの花の花びらが舞う
それは花嫁が受けるフラワーシャワーのように私達に降り注ぐ
ラベンダーの花びらやマーガレットの花びら……赤いバラの花びらが空に舞っている
我にかえり、リアの言葉を頭の中で理解しようとする
私、今、告白された?
いや、プロポーズ……!?
そこまで考えた途端、頬が一気に熱くなる
「婚約をまずは申し込みたいんだ。だから、今は…これなんだけど受け取ってくれる?」
そう言ってリアが差し出した小箱には黄色の石がついた髪留めが入っていた
黄色の石…これはシトリンだろうか?
黒いリボン…どこかリアを思い出す黒いリボンの中心にシトリンがついた髪留め…
これは私のために用意されたものだというのは宝石の色でよくわかった
「シトリンはね……太陽を象徴するらしいんだ。俺を照らしてくれる君にぴったりだし…それにね。シトリンはフランス語のシトロンが名前の由来なんて言われているんだよ」
「シトロン?」
「柑橘系らしいんだけどレモンと類縁関係にあるらしいんだ。どうしてもレモのことを思い出して……これを選んだんだ」
その言葉に胸のドキドキがさっきより酷くなる
「あ…あのっ……」
「俺からの婚約の申込みなんだ。嫌になったら捨ててくれていい。だから……チャンスがあるなら受け取ってくれるかな?」
リアの言葉に小さく頷いた
「よかった。これでもっと近くでレモのことを守れるね」
リアはやさしく微笑み、私の頭に髪留めを付けてくれる
「じゃあ、帰ろうか」
「う、うん」
これから先何があるかもわからないし、この婚約が本当に続くものかわからないけれど
リアの私の手を引く温もりだけは信じていたいと、そう思った
「こっち」
リアに手を引かれ先に進む
森の中を歩いているためか、足元がおぼつかない
リアの手のぬくもりだけが私を引っ張ってくれている
でも……この森を私は知っている気がした
森の中を抜けるとさっきまでの暗さから一気に明かりで目が眩む
「レモン、見てみてよ」
リアの言葉にゆっくりと目を開ける
目の前に広がっていたのは
色とりどりの花が咲く花畑だった
「きれい……」
「だろ?ここは特別な場所なんだ」
「特別……」
「そう」
私の手を離し、花畑の方へ歩き出すリア
その後ろ姿はとても神秘的に見えた
他の人たちみたいに赤や青、黄色な髪じゃなくて、本当に漆黒の髪がサラリと風に揺れる
後側で結んでいるから余計に揺れやすいのだろう
そして私を見つめるリア
それはまるでゲームに出てくるスチルの様だった
「ここはね、祝福の花畑」
「祝福の花畑……」
リアは優しく微笑みかけ、私においで、と言うように手を差し出してくれる
ドキッと私の胸は跳ねる
初めての気持ちに戸惑いながらも、私はリアの手をとる
「ここは、別の国の王妃がね魔法をかけたんだ。幸せになれる魔法」
「王妃様が?」
「そう。それからはここはプロポーズした人たちは永遠に結ばれるとか、幸せになれるとか願い事が叶うとか言われているんだ」
そんな場所があるなんて初めて知った。
まぁ、魔法も知らなかったのだし仕方ないかもしれない
「ねぇ、レモン」
「なに?」
「俺もレモンのこと、レモって呼んでいい?」
「リアならいいわよ?」
「そっか、よかった」
そう言って笑うリアは年相応に見えた
いつものリアは私の本来の年齢より大人びて見えている
どこか安心する笑顔に私も笑みを漏らす
「レモ、あのね」
「どうしたの?」
リアは私の手を掴んだまま、私の前に跪く
まるで絵本やゲームの中の王子様のように
「あ、の…」
「俺と結婚しよう」
サァッ……と風が吹く
色とりどりの花の花びらが舞う
それは花嫁が受けるフラワーシャワーのように私達に降り注ぐ
ラベンダーの花びらやマーガレットの花びら……赤いバラの花びらが空に舞っている
我にかえり、リアの言葉を頭の中で理解しようとする
私、今、告白された?
いや、プロポーズ……!?
そこまで考えた途端、頬が一気に熱くなる
「婚約をまずは申し込みたいんだ。だから、今は…これなんだけど受け取ってくれる?」
そう言ってリアが差し出した小箱には黄色の石がついた髪留めが入っていた
黄色の石…これはシトリンだろうか?
黒いリボン…どこかリアを思い出す黒いリボンの中心にシトリンがついた髪留め…
これは私のために用意されたものだというのは宝石の色でよくわかった
「シトリンはね……太陽を象徴するらしいんだ。俺を照らしてくれる君にぴったりだし…それにね。シトリンはフランス語のシトロンが名前の由来なんて言われているんだよ」
「シトロン?」
「柑橘系らしいんだけどレモンと類縁関係にあるらしいんだ。どうしてもレモのことを思い出して……これを選んだんだ」
その言葉に胸のドキドキがさっきより酷くなる
「あ…あのっ……」
「俺からの婚約の申込みなんだ。嫌になったら捨ててくれていい。だから……チャンスがあるなら受け取ってくれるかな?」
リアの言葉に小さく頷いた
「よかった。これでもっと近くでレモのことを守れるね」
リアはやさしく微笑み、私の頭に髪留めを付けてくれる
「じゃあ、帰ろうか」
「う、うん」
これから先何があるかもわからないし、この婚約が本当に続くものかわからないけれど
リアの私の手を引く温もりだけは信じていたいと、そう思った
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