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「落ち着いた?」

「うん……」


鼻をずぴずぴならしつつ、頷く
リアには恥ずかしい姿を見せてしまった

私が落ち着いたのを確認すると、リアは話を始めた


「実は別の国では過去に転生者が居たって記録が残っているんだよね」

リアの言葉に私の思考が少しの間停止する


「え!?いるの!?」

「うん、居るよ。シンフォニアって国があるんだけど、そこに転生者がいた記録があるらしい。ここからは随分離れているけどね」

「そうなの…?」

「あぁ、他の国にも色んな前例があるんだよ」


私が固まっていると、リアは笑って頭を撫でた


「君のメイドさん……アンさんなら詳しいかもね。魔法の知識は彼女はすごいから」


という聞きなれない単語に私は再び固まる


「あ、あるの!?魔法!」

「あるよ?」


さも当然の様に言われてしまう
ゲームでは魔法の話は何もなかった気がする


「この国ではもう使える人はいない…いや、現国王のみが使えるんじゃなかったかな?」

「現国王……だから誰も知らされてないってこと?」

「そういうことだね。それに魔法を使う時には使える人にはある特徴が出たりするからわかりやすいんだけどね」

「特徴?」

「まぁ、それはいつか、ね」


思った以上に知らないことが沢山あるらしい


「あれ?」


私は一つの疑問が浮かんだ


「ねぇ、なんでリアは知ってるの?」

「えっ…」


私の質問にリアはしまった!という顔をした


「あー……俺の両親が、別の国の出身でね。それで色々知ってるんだよ」

「なるほど!」


私が納得すると同時にリアは話を変えた


「今、現状がレモンが知っている状態と違うなら、レモンがその人達に何かしたってことはない?」

「私が……」


その考えに至らなかったわけではない
私は記憶が戻る前のことを考える

記憶が戻るまえ……アカシが足を引っ掛けてくるまでは、ゲームで知ってる通りのことしかしてない


「……うん、記憶どおりの事しかしてない」

「じゃあ、やっぱりレモンの考えが正しいと思うよ」

「私の……考え……」

「そう、誰かにはめられてるかもしれないってこと」


リアの言葉に私はゴクリと喉を鳴らす


「リアはどう思うの…?」

「……もしかしたらの話なんだけどね」


私の書いていたノートにリアは文字を足す

ハテナマークの人物の下に【転生者?】と書き足された


「確かに!私と同じならストーリーを知っていてはめる事もできる!」

もしも…もしも知っているなら相手は女性二人のどちらかかもしれない…
私はノートとにらめっこする


「俺がアケビとリンドウに話を聞いてくるよ」


そう言うと同時にリアは窓枠に足をかけた


「だから!危ないから普通に扉から出てよ」

「多分アンさんが外にいるからこっちから行くよ。怒られるのはゴメンだしね。また何かわかったら伝えるよ」


そう言っていたずらっぽく笑ってリアは軽々と外へ飛び降りた


「もう……リアは相変わらずなんだから……」


窓辺に近づき、リアが走り去る後ろ姿を見る

唯一の友人。

本当に頼りになるなぁ
そんな事を思いながらぼーっとしてるといつの間にか背後に立っていたアンに肩を掴まれた

「あ……」

「お嬢様。リナリア様が来ていらっしゃるなら声をかけてください」

「は、はい、す、すみません」

「あと……」


アンの手に少し力がこもる


「リナリア様には窓ではなく入ってきてもらうようにお伝えくださいね」

「は、はひ」


その後は説教地獄だったのは言うまでもない……
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