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最近の百合は不機嫌なことが多い
飯を食う時も
「ごめん。私今日はいいや」
そう言って他のところに行ってしまう
なんだか付き合いが悪い
それと同時に黒谷も女子たちと食べることが増えてしまい、フジとも別になることが増えた
クラスが変わるとこうもみんな冷たいのかよ…なんて絶望しながら教室の隅で一人で飯を食う日々…
あわよくば春と食おうかと思ってたが……
春はこの間の一件から女子たちに囲まれまくってる
話しかけようものなら女子たちからの威圧がすごい
なので絶賛ぼっちな俺は寂しさに震えるのだった……
あぁ、前のクラスが懐かしいな
山田、元気かな
あいつの少し抜けた笑い声が聞きたいなぁ
ホロリと涙が溢れそうになり、山田のクラスを探しに廊下に出てみる
山田はどこだ!
「あれ、林堂くん?」
山田の声に俺は感極まって泣きそうになる
あぁ、懐かしいこの声だ!
「やま……!?」
振り返った俺は衝撃に包まれた
だ、誰だ!?
メガネで眉上ぱっつん黒髪ヘアーの山田はそこにはいなかった
おしゃれパーマに金髪、コンタクトを入れているのか、チャラくなっている
「新しいクラスはどう?なれた?」
「あ、お、おう」
「林堂くんは人見知り激しいから心配してたんだ。黒谷くん達とも離れたんだろ?」
スラスラと話す声は山田なのに目の前にいるのは未知の生物……
なんなんだ、この感覚……
知っていた山田が変わってしまって絶望に似た何かを感じながら俺は教室に戻ろうとした
「林堂くん」
「ん?」
呼び止められ、振り返ると可愛らしい女子がいた
なんかやな予感
「あの、ちょっといいかな」
「あー、うん」
面倒くさいながらも教室に戻っても何もすることがないから仕方なく付き合う
人気のない屋上へと続く扉の前まで案内される
「えっと…」
「私、かなっていいます」
「そうなんだ、えっと、かなちゃん。どうしたの?」
頬を赤らめモジモジするかなちゃん
あぁ、またこれだ
百合がいないと毎回こうなる
正直、この瞬間が一番嫌いだ
「林堂くんのことが、ずっと前から好きなんです」
「あー……ありがと」
「あの、私と付き合ってください」
なんとか笑みを浮かべるが、スーッと心が冷めていくのを感じる
「ごめん」
俺の言葉にショックを受けたように目を見開くかなちゃん
まるで振られるなんて想像してないような、そんな純粋な瞳が絶望に染まっていく
あぁ、最悪だ
吐き気がする
過去の俺を思い出していたたまれない
「なーにしてんの」
「おわ!」
後ろから何者かに抱きしめられ、慌てて振り返るとそこには
黒谷がいた
飯を食う時も
「ごめん。私今日はいいや」
そう言って他のところに行ってしまう
なんだか付き合いが悪い
それと同時に黒谷も女子たちと食べることが増えてしまい、フジとも別になることが増えた
クラスが変わるとこうもみんな冷たいのかよ…なんて絶望しながら教室の隅で一人で飯を食う日々…
あわよくば春と食おうかと思ってたが……
春はこの間の一件から女子たちに囲まれまくってる
話しかけようものなら女子たちからの威圧がすごい
なので絶賛ぼっちな俺は寂しさに震えるのだった……
あぁ、前のクラスが懐かしいな
山田、元気かな
あいつの少し抜けた笑い声が聞きたいなぁ
ホロリと涙が溢れそうになり、山田のクラスを探しに廊下に出てみる
山田はどこだ!
「あれ、林堂くん?」
山田の声に俺は感極まって泣きそうになる
あぁ、懐かしいこの声だ!
「やま……!?」
振り返った俺は衝撃に包まれた
だ、誰だ!?
メガネで眉上ぱっつん黒髪ヘアーの山田はそこにはいなかった
おしゃれパーマに金髪、コンタクトを入れているのか、チャラくなっている
「新しいクラスはどう?なれた?」
「あ、お、おう」
「林堂くんは人見知り激しいから心配してたんだ。黒谷くん達とも離れたんだろ?」
スラスラと話す声は山田なのに目の前にいるのは未知の生物……
なんなんだ、この感覚……
知っていた山田が変わってしまって絶望に似た何かを感じながら俺は教室に戻ろうとした
「林堂くん」
「ん?」
呼び止められ、振り返ると可愛らしい女子がいた
なんかやな予感
「あの、ちょっといいかな」
「あー、うん」
面倒くさいながらも教室に戻っても何もすることがないから仕方なく付き合う
人気のない屋上へと続く扉の前まで案内される
「えっと…」
「私、かなっていいます」
「そうなんだ、えっと、かなちゃん。どうしたの?」
頬を赤らめモジモジするかなちゃん
あぁ、またこれだ
百合がいないと毎回こうなる
正直、この瞬間が一番嫌いだ
「林堂くんのことが、ずっと前から好きなんです」
「あー……ありがと」
「あの、私と付き合ってください」
なんとか笑みを浮かべるが、スーッと心が冷めていくのを感じる
「ごめん」
俺の言葉にショックを受けたように目を見開くかなちゃん
まるで振られるなんて想像してないような、そんな純粋な瞳が絶望に染まっていく
あぁ、最悪だ
吐き気がする
過去の俺を思い出していたたまれない
「なーにしてんの」
「おわ!」
後ろから何者かに抱きしめられ、慌てて振り返るとそこには
黒谷がいた
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