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しおりを挟む「あ~、だりぃい」
何が新学期だ。何がクラス替え~だ。
仲良しな友人達とは全員離れた
「はぁ、泣きそう…」
ぐったりと机に倒れ込む
俺には人には言えない秘密がある
俺、林堂たくみは…同性が好きだ
だからこそ友人達と離れたくなかった
同性が好きなのを知ったうえで仲良くしてくれてた唯一無二の存在だったから…
なのに………
「ぅ……ざみじぃよぉ……黒谷ぁ、伊野ぉ……百合ぃ」
友人の名前を呼びながら涙を流す俺を人が見たら恐怖するだろう
クラス替え如きでなく男とは…
冷静になり、涙を拭う
もう少しで恥ずかしい噂が流れるところだった
友人の一人、百合のおかげで俺は男好き、なんて噂は流れない
百合は女性で、とても可愛らしい
そんな百合は俺が男好きと思われないように付き合ってる噂だけを流してくれている
「ほんと、いい子だよなぁ」
窓の外を眺めながらぼんやりと考える
幼い頃から変わらない俺
家族にも言えない事
なんて考えてたら前の席に誰かが座る
「ん…?」
ぼんやりとそいつの背中を見る
背中を丸めて何かを探してるようだった
男、か
まぁ、背中丸めて女々しい男は好みじゃないなぁ…
「ない……」
そいつは焦ってブツブツ言い始めていた
仕方ねぇな…あたりをキョロキョロする
コツン、足に何か当たる
「お?」
机の下を覗くと……メガネが落ちてた
これかー!
てか!メガネ!?あぶねぇよ!落とすなよ!
慌てて拾い上げ、そいつの肩を叩く
「おい、これだろ?探してるの」
「え、あ、ありがとうございます!」
前髪で前が見えてんのが見えてないのかわかんない様な髪型
やっぱり好みじゃない
「メガネは無くすなよ。ケースかなんかに入れとけ、落として踏まれたらどーすんだ」
「心配かけてごめんなさい。でも、本当にありがとう」
そう言って髪をかきあげ、メガネをかけた時、そいつの笑顔が見えた
「え……」
「……?」
首を傾げるそいつに、胸が高鳴る
その笑顔、駄目だ
探してた人の笑顔にそっくりすぎる
「嘘だろ…」
胸が煩い。俺はこんなに惚れっぽかったのか?さっきまで好みじゃないって…さんざん言ってたのに何で……
「えっと、どうしたの?」
「いや、何でもねぇ…」
熱くなりそうな顔を腕で隠し、席に戻る
「あ、後ろの席なんだ!僕は慈音 春。よろしくね」
「あー……林堂たくみ。よろしく」
嬉しそうなそいつから顔をそらして、一息つく
こんなので俺は生活していけるのか…?
不安になりつつも俺は新しい生活を少し楽しみにしているのだった…
赤く染まった俺の顔を、誰かが見ていたのも知らずに……
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