魔女の生まれた屋敷

桜月 翠恋

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【運命には抗えない】





僕は実験されていた

叔父と、その親戚に



僕の魔法は人より強いらしい
そんな僕を死なない身体にして、さらに魔法を強化する…


それが実験



苦しくて、痛いことしかされなかった

母さんにバレないように毎日毎日実験をされる


けれどある日、僕の魔力は暴走し、一部の人が亡くなった

そのせいで両親と姉は、僕を連れて逃げ出した
あの小屋へ移り住んだ


幸せな生活をしていたある日、父は叔母のカトレアに呼び出されて出ていったきり、帰ってこなかった





双子の姉にはまだ名前がなかった
魔力があるかないかわからなかったから


「ねぇ、母さん」

「どうしたの、アオイ」


母さんは不思議そうに俺を見る
俺はずっと考えていたことを口にする


「姉さんの名前…アン、はどうかな…」

「アン…?」

「ほら、名前ないと不便じゃん…あの、アンモビウムって花の名前から取ったんだけど…」


母さんは少し考えるような仕草をする
俺はドキドキしながらうつむく



「そうね、アンにしましょう」

「ほんと?」

「アンはアオイのこと、だーいすきだから、きっと喜ぶわ」



そして暫くして姉がいなくなった
誰かに連れ去られたのだ

そして……



「アンが、死んだ……?」

「そう聞かされたわ…」

「誰にっ!」

「義兄様よ」


俺は怒りで瞳が赤くなる


「あなたは逃げなさい。きっとあなたの事も探しているわ」

「……わかった。ごめん、母さん」


そして俺はこの家から出て、彷徨い歩いた

迷子になって、ボロボロになった頃……





彼女に出会い、数年たち、俺はその人と結婚した



それからまた数年後、アンを見つけた母さんと、姉さんを取り戻す物語が始まった


いつか、アンは思い出せるのだろうか?
記憶のいじられ方が異常だったせいで、過去の事は一切覚えてない

母さんは少し辛い思いをするだろうが、多分二人なら大丈夫…


そして俺は自分の新しい家へ帰る



俺の話は、またいつか
どこかで






俺の悲しみにまみれた物語の序章はこのくらいにしておこう







【魔法が使えるから生まれた悲劇】

【そんなもの無しにみんな幸せに暮らせる力がある】


【幸せを見失いたくない】
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